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EPCF


目次

目次背景アメリカでの事例
津波被害軽減と事前準備に関する包括的アプローチ
カリフォルニア州における地震被害軽減プログラムの歩み
官民のユーザー主導によるライフライン耐震調査のパートナーシップについて
意図的な災害−アメリカにおける自然災害の再評価−
FEMAによる改訂版沿岸建設マニュアル
カリフォルニア州サンフランシスコ沿岸地域におけるHAZUSによる地震リスク評価能力を向上させるための官民のパートナーシップについて
地震被害軽減のための知識の拡充と活用
地震工学シミュレーションのためのネットワーク(NEES)
平時及び大規模災害時の情報交換
陸上や海底での地滑りによって生じる津波災害のモデル化について
サンフランシスコ沿岸地域における「プロジェクト・インパクト」の概要
全米津波防災プログラム
津波に耐えうるコミュニティー
地震リスク軽減のためのプログラム
緊急事態における統合管理

目次背景日本での事例

目次背景日米共同の事例


平時および大規模災害時の情報交換

■日本とアメリカは、世界の先進国の中でも自然災害、とりわけ地震の多い国であるが、系統だった情報交換が十分に行われているとは言えない。現状は主に専門家間の個人ベースでの情報交換に依拠している状態であり、また情報の流れは多くの場合アメリカから日本への一方通 行であり、さらに大規模災害の直後の情報に偏る傾向にある。 「情報交換」は、過去2回、1998年のシアトルと1999年の横浜で開催された日米ハイレベル政策フォーラムのキーワードであった。しかし、情報交換の流れが一方的であることは、報告書を読めば容易に理解できる。会議の報告書の中身は、アメリカ側が編集に当たったためか、基本的には地震災害時に日本で一般 に行われる活動の断片を寄せ集めたものにすぎなかった。つまり、日本では常識となっているようなことでも、アメリカでは貴重な情報とされるのである。日本側は常に連邦緊急事態管理庁(FEMA)や米国地質調査所(USGS)などの災害関連組織のホームページをチェックしており、そのようなことはない。
この問題の根本は言葉の問題であり、容易に解決し得ないものである。

 日米両国は、2000年中にこのフォーラムの成果をまとめて公表するという共同の行動計画を定めており、第3回フォーラムはデッドライン前の最後の会合であった。公表はおそらくはインターネットによるものとなろう。遅れた感は否めないものの、このこと自体は歓迎されるべきことである。問題は公開される内容であり、さらにこれを一度限りのものにしないことである。 継続は力である。発災直後のみならず、平時や発災からある程度の時間が経過した後の被害軽減のための活動を周知させることが、日米両国に求められている。過去の大規模災害発生時の経験から、発生した災害そのものについては、時には過剰なまでの情報が得られることはわかっている。しかし。この情報の流れは、通 常発災後数週間から数ヶ月で突然途絶える。新法の制定や新制度の確立のような政策の変化に関わることや、災害の長期的な影響については、ごくわずかな専門家以外には知られることはないのである。将来の災害対策にとって本当に重要なものは、この種の、発災後しばらく経ってからの情報なのである。

 災害直後の情報は、特に映像の場合人々に大きな影響を与えるが、政策の変更や災害の長期的な影響といったテーマは、一般 には理解しにくく、またニュースバリューも高くはない。日米両国の専門家には、既存の法体制を研究し、人々の生活環境とその背景を十分理解することが求められている。

 フォーラムのホームページが開設されるとのことであるが、このホームページが常に更新され、日米両国の専門家が地震による被害軽減に関する分野での最新情報を得る場となることを望んでいる。そのためには、ホームページは二部構成にするべきだと考えている。第一部は、この3回のフォーラムの成果 といった、世界中の災害対策専門家に向けた一般的な情報を得られる場とし、第2部は、日米の限られた専門家のみがアクセス可能な、この問題についてより深い理解を得るための地震防災に関する情報交換の場とするのである。このようなホームページが実現すれば、フォーラムをネット上で開催することができる。「言うは易く行うは難し」であることは承知しているが、着実な努力が実を結ぶことを願ってやまない。


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