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EPCF


目次

目次背景アメリカでの事例
津波被害軽減と事前準備に関する包括的アプローチ
カリフォルニア州における地震被害軽減プログラムの歩み
官民のユーザー主導によるライフライン耐震調査のパートナーシップについて
意図的な災害−アメリカにおける自然災害の再評価−
FEMAによる改訂版沿岸建設マニュアル
カリフォルニア州サンフランシスコ沿岸地域におけるHAZUSによる地震リスク評価能力を向上させるための官民のパートナーシップについて
地震被害軽減のための知識の拡充と活用
地震工学シミュレーションのためのネットワーク(NEES)
平時及び大規模災害時の情報交換
陸上や海底での地滑りによって生じる津波災害のモデル化について
サンフランシスコ沿岸地域における「プロジェクト・インパクト」の概要
全米津波防災プログラム
津波に耐えうるコミュニティー
地震リスク軽減のためのプログラム
緊急事態における統合管理

目次背景日本での事例

目次背景日米共同の事例


サンフランシスコ沿岸地域における
「プロジェクト・インパクト」の概要

■サンフランシスコ湾沿岸地域は、自然災害に苦しめられている地域である。災害によるリスクそのものをもっとも深刻なのは地震である。今後30年のうちにマグニチュード6.7以上の地震が起きる確率は70%に達するという、米国地質調査所研究結果 も出ている。都市化が高度に進んだ地域ゆえに、サンフランシスコ湾沿岸地域が大地震に大して脆弱であることを州や連邦当局者は認めている。大きな被害をもたらす予測不可能な災害に大して国家としてどのように備えたらよいか。この課題に率先して取り組んでいるのが連邦緊急事態管理庁(FEMA)である。 近年では災害の起きる前に、被害が発生しやすいところに事前に手を打ち、損害の発生自体をくい止め、リスクをそのものを軽減することが費用効果 の高い策であるという認識が一般化してきている。1997年にはFEMAの「プロジェクト・インパクト」が誕生し、連邦政府の政策と地方自治体の活動を組み合わせたプログラムがスタートした。FEMAは資金面 と技術面の支援を行うとともに、州政府が計画に参加するよう求める役割も担っている。具体的には、FEMAは全米で7つの地域を選び、それぞれの地域が各地に特有の災害状況に解決策を出すよう指導し、住民に対してもプログラムへの積極的な参加を働きかけることで、このプロジェクトを達成させている。FEMAの当局者は、こうした隣接する地域社会の「プロジェクト・インパクト」活動に参加することで、災害に大して十分に備えるという意識が芽生えるとしている。

「プロジェクト・インパクト」の例

FEMAが州の「プロジェクト・インパクト」の手始めに選んだのは、オークランドであった。オークランドにおけるプロジェクト(SAFEと呼ばれる)のパートナーには、シェブロンをはじめとする企業やNGOが名を連ねた。パートナーらは、オークランドの家屋等の補強プログラムを作った。こうした活動が奏功し、住民は緊急時に備えるようになり、災害が起きても首尾よく復興できるようになった。バークレーは1999年にFEMAのモデル地域に選ばれ、以来地域社会の安全のための活動に取り組んでいる。主に公共の建物を災害に強くするプログラムを展開して成功を収めている。バークレーの「プロジェクト・インパクト」は、ビジネス界の重要人物との連携を強化し、危険性と安全性に関する情報を彼らとうまく共有して、古い建物の改良や建築法規の改正のための政策や法律の起草に重点を置いている点に特徴がある。カリフォルニア大学バークレー校との連携も特筆されるべきである。

「プロジェクト・インパクト」の問題点と展望

FEMAのカリフォルニア州での投資は成功している。今後、地域社会が「プロジェクト・インパクト」で直面 する問題は主に、連邦からの資金が限られる中でどのようにイニシアチブを続けていくかという点である。「プロジェクト・インパクト」は、対応から防災にいたるまでの災害に対するアプローチを組み立てなおす起動力を地域社会に与える。それは、言葉をかえれば地方政府の連邦政府依存を減らすことであり、地域社会内の意見交換を活発にして、災害に立ち向かう活動をごく普通 の活動にすることである。

「プロジェクト・インパクト」が日米の協力関係推進に及ぼす影響

日米ハイレベル・フォーラムのもっとも重要な成果は、双方が引き続き意見交換を行い、直接防災行動を起こしていくことを約束したことであろう。現代社会の複雑な環境とグローバル化による相互依存により、「防災と備え」はなおさら重要になってきている。「プロジェクト・インパクト」とは、災害に効果 的に作用する1つの防災モデルである。FEMAは、災害に対して「防災と備え」という二つのアプローチを展開し、我々の都市の未来に寄与しているのである。


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