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目次

目次背景アメリカでの事例
津波被害軽減と事前準備に関する包括的アプローチ
カリフォルニア州における地震被害軽減プログラムの歩み
官民のユーザー主導によるライフライン耐震調査のパートナーシップについて
意図的な災害−アメリカにおける自然災害の再評価−
FEMAによる改訂版沿岸建設マニュアル
カリフォルニア州サンフランシスコ沿岸地域におけるHAZUSによる地震リスク評価能力を向上させるための官民のパートナーシップについて
地震被害軽減のための知識の拡充と活用
地震工学シミュレーションのためのネットワーク(NEES)
平時及び大規模災害時の情報交換
陸上や海底での地滑りによって生じる津波災害のモデル化について
サンフランシスコ沿岸地域における「プロジェクト・インパクト」の概要
全米津波防災プログラム
津波に耐えうるコミュニティー
地震リスク軽減のためのプログラム
緊急事態における統合管理

目次背景日本での事例

目次背景日米共同の事例


津波に耐えうるコミュニティー
連邦緊急事態管理庁(FEMA)

■ここでは、「全米津波防災プログラム(NTHMP)」の対策小委員会の活動について述べることにしたい。同プログラムは津波による危険性の軽減を目的とした連邦政府と州政府のパートナーシップである。アメリカ西海岸の5州(アラスカ州、カリフォルニア州、ハワイ州、オレゴン州、ワシントン州)、全米海洋大気局(NOAA)、連邦緊急事態管理庁(FEMA)、米国地質調査所(USGS)が、それぞれの専門知識や経験を生かして参加している。

 FEMAが主宰する対策小委員会は「津波コミュニティー」を、

1)津内災害の特性を理解している 
2)津波の危険をくいとめる手段を持っている 
3)津波災害に関する情報を広報する 
4)他の危険地域と情報を交換する 
5)津波対策の計画を制度化する

と定義している。

 1994年当時この5つの州いずれにも、津波対策の総括的な公的プログラムはなかったが、2000年には連邦・州の連携に基づいた国家的なプログラムや、各地域の特色とニーズに合わせた戦略的計画をもつに至った。さらに、避難用の標識や普及啓発用のパンフレット誌などをはじめ、住民が津波被害の実態を認識するための教材などを備えていたのは、1994年当時はハワイ州だけだったが、現在は西海岸諸州とアラスカ州で統一デザインの標識が導入されたほか、学校用教材とカリキュラム、観光客用インフォメーションマテリアルなどが整備されつつある。浸水危険度マップ、避難ルートの整備とそのパンフレットなどの作成・改訂は、ハワイ州以外の州でも80年代からはじまった。異なった立場の代表者らの話し合いの場の設定、災害に対応した製品や活動のデータベース作成、ホームページ作成、ワークショップの開催なども、現在は活発に行われるようになった。また津波対策計画の制度化、地域のワーキンググループの組織化、損害の推定などの長期的被害軽減策も、現在はどの州でも活発に行われている。その一方で、土地区分の基準、防潮、土地利用ガイダンス、構造物の建築方法や補強の規制などについては、多くの課題が残されている。強い地震と津波の両方に対処する技術がまだ十分に開発されていないことと、政策決定側が開発業者や土地所有者の反対に抗するだけの支持を得にくいことが障害となっている。複数の州にまたがるプロジェクトとしては、「津波・インフォアラート」ニュースレターなども進行している。

  NTHMPは連邦と州、州と地域コミュニティーとの連携の上に成り立っているが、このパートナーシップをさらに高いレベルに拡大し、是非日本の機関や地域も相互に学んでいきたい。例えば津波対策と他の災害対策との兼合い、資料の翻訳、姉妹都市の締結、ホームページ上のフォーラムの開設など、様々な可能性が考えられる。将来の日本の協力によって、コミュニティーが津波に耐えうる力をさらに高めることができれば幸いである。


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