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EPCF


目次

目次背景アメリカでの事例
津波被害軽減と事前準備に関する包括的アプローチ
カリフォルニア州における地震被害軽減プログラムの歩み
官民のユーザー主導によるライフライン耐震調査のパートナーシップについて
意図的な災害−アメリカにおける自然災害の再評価−
FEMAによる改訂版沿岸建設マニュアル
カリフォルニア州サンフランシスコ沿岸地域におけるHAZUSによる地震リスク評価能力を向上させるための官民のパートナーシップについて
地震被害軽減のための知識の拡充と活用
地震工学シミュレーションのためのネットワーク(NEES)
平時及び大規模災害時の情報交換
陸上や海底での地滑りによって生じる津波災害のモデル化について
サンフランシスコ沿岸地域における「プロジェクト・インパクト」の概要
全米津波防災プログラム
津波に耐えうるコミュニティー
地震リスク軽減のためのプログラム
緊急事態における統合管理

目次背景日本での事例

目次背景日米共同の事例


全米津波防災プログラム

■プログラムの背景

1992年4月、カリフォルニア州北部で起きた地震により発生した津波を契機に、全米海洋大気局(NOAA)は、津波警報発令という任務に加えて、各地の津波対策の現状調査を連邦議会から命じられた。連邦政府は、州政府と協力して「全米津波防災プログラム」に取り組むこととなった。現在同プログラムは、NOAA、米国地質調査書(USGS)、連邦緊急事態管理庁(FEMA)の3つ連邦機関と、アラスカ州、カリフォルニア州、ハワイ州、オレゴン州、ワシントン州の5つの州から構成されている。 「全米津波防災プログラム」は、危険度評価、警報発令、防災の3つの要素からなる。危険度評価は各沿岸地域の性質や危険度を設定するもので、警報発令は、物理学的測定方法の研究、ネットワークのチェック、予報アルゴリズムの研究を行い、また警報発令の実務もになう。防災が目的とするところは、差し迫った津波の危険性に対する適切な対応である。

■プログラムの現状

A.危険度評価
ほとんどの地域は危険地域を特定するための災害履歴データが不足しているため、津波による浸水モデルを用いて、局地的な津波と遠方に発生源のある津波の両方の被災地域を推定している。太平洋沿岸各州では、津波ハザードマップを作成している。シアトルの津波ハザードマップ協力団体(TIME)は津波による浸水モデル実験を行い、それを特定の地域にあてはめる作業や、海洋底の水深/地勢データの記録作成などを支援している。

B.警報発令
津波警報システムには、太平洋全域、地域、地区の3種類がある。太平洋全域警報システムは津波襲来の1時間前に警報を出せる。発生地から(1時間以内に津波が移動する)およそ750km以遠が対象地域である。地域警報システムは同じく約10分前に(発生地から100〜750kmの地域に向けて)、地区警報システムは約5分前(同60〜100kmの地区に向けて)にそれぞれ警報を出す。 これらのシステムは地震の規模と場所から警報発令を想定して、検潮所で津波を確認して、警報を発令する。NOAAは深海探知機の設置と、既存の地震情報ネットワークの改善により、より迅速にハワイと西海岸、アラスカの警報センターに地震情報を伝えられるようになるよう計画中である。2001年中には、6台の海洋探知機と56台の地震計が設置される予定である。この5年間で津波探知システムは進歩し、従来は測定が困難であった北太平洋においても90%以上の確実性を持つデータを提供できるようになった。

C.防災
遠方で発生した津波の場合は、警報センターからの情報を迅速かつ正確にとらえ、適切な処置をとることが必要である。局地的な津波の場合は、津波の発生源から居住区域までの到達時間が短いので、警報発令後、直ちに避難に関する的確な通 達と指示を行わねばならない。

■問題点と今後の見通し

問題点
津波の浸水モデルについては、浸水規模判定の際の精密度が不十分であり、また、リアルタイム深海探知機も不足している。

今後の見通し
今後の研究と津波データの蓄積、インターネットの駆使により津波モデルはより改善されていくだろう。また、国際的な協力により、より多くのリアルタイム探知機が確保できるようになるであろう。

■日米協力体制の見通し

日米の津波モデル制作者は世界最高水準にあり、インターネットに接続していることもあって、協力体制は万全である。両国はともに遠方で発生した津波から海岸線を保護するための深海探知機を必要としていて、今後より一層の相互協力が見込まれる。


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