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目次

目次背景アメリカでの事例
津波被害軽減と事前準備に関する包括的アプローチ
カリフォルニア州における地震被害軽減プログラムの歩み
官民のユーザー主導によるライフライン耐震調査のパートナーシップについて
意図的な災害−アメリカにおける自然災害の再評価−
FEMAによる改訂版沿岸建設マニュアル
カリフォルニア州サンフランシスコ沿岸地域におけるHAZUSによる地震リスク評価能力を向上させるための官民のパートナーシップについて
地震被害軽減のための知識の拡充と活用
地震工学シミュレーションのためのネットワーク(NEES)
平時及び大規模災害時の情報交換
陸上や海底での地滑りによって生じる津波災害のモデル化について
サンフランシスコ沿岸地域における「プロジェクト・インパクト」の概要
全米津波防災プログラム
津波に耐えうるコミュニティー
地震リスク軽減のためのプログラム
緊急事態における統合管理

目次背景日本での事例

目次背景日米共同の事例


カリフォルニア州における地震被害軽減プログラムの歩み

■連邦緊急事態管理庁(FEMA)の全米自然災害被害軽減計画は、公的セクターと民間セクターの連携を重要視している。その連携のパートナーシップの中には、連邦政府、州政府、郡・市のほか、学術団体や民間企業、ボランティア組織も含まれている。アメリカでは、カリフォルニア州での幾つかの地震やメキシコ地震、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、地震被害軽減プログラムがスタートし、多くの成果 をあげている。そこでは地震によるリスクを軽減するための政策が大胆に展開されているのである。  

  発足当初  
  カリフォルニア州地震安全委員会が発足したのは、1975年1月のことである。様々な経緯を経て同委員会の提唱に基づいて「カリフォルニア地震リスク軽減法」が成立したのは1986年のことであった。このプログラムの実行にあたっては、40以上の州の機関が関わり、地震に対しての安全性向上の責任を共有しあった。プログラムは5ヵ年計画をもとに進められ、年次報告も出されることになった。

 『危機に瀕するカリフォルニア:1987年〜1992年』  
  最初の計画では、「カリフォルニア州の地震に対する安全性を、2000年までにある程度改善するための具体的な行動と到達可能な目標」という主旨の下、全部で72のプロジェクトが認定された。その後、『危機に瀕するカリフォルニア』の初版は、FEMAによってカリフォルニア州の地震防災計画として承認された。  『危機に瀕するカリフォルニア:1992年〜1996年』  1989年にロマプリータ地震が発生した。この地震は、過去14年間の被害軽減に向けた努力が無駄 ではなかったことを示すものではあったが、依然として地震に対する脆弱性は際立ったものであった。『危機に瀕するカリフォルニア』の第2版には、過去5回の地震の教訓が反映されている。プロジェクトの数は減ったが、150ほどの中間目標などが設けられ、進捗状況が計られることになった。さらにノースリッジ地震などの教訓から、復興に時間がかかりすぎるなどの新たな問題が浮上してきた。FEMAは『危機に瀕するカリフォルニア』の第2版も州地震防災計画としての承認したが、地震安全委員会は大きな政策転換を迫られていた。

 変化への挑戦
 1992年から1996年に発生した地震の教訓を基に、同委員会とカリフォルニア州緊急事態局は、第3次計画の基本コンセプトを変更し、関係機関の範囲を広げると共に、計画の刊行に先立って関係機関のコンセンサスを得ることとした。  

 『カリフォルニア地震被害軽減計画』  
  FEMAの全米自然災害被害軽減計画は、公的セクターと民間セクターの連携を重視している。この計画の第3版は、『カリフォルニア地震被害軽減計画』と呼ばれ、カリフォルニア州が行っている、官民連携への貢献を高く評価している。同計画は、既存の脆弱な構造物の耐震性を向上させることにより、地震による被害の発生自体を減らして復興の進展を図るという費用効果 の高い戦略をとっている。この計画は、カリフォルニア州をより安全度の高い州にするためのロードマップのようなものである。  

 動機付けと課題の克服  
  新しい計画は、動機付けを強調して被害軽減に取り組ませ、もって課題を克服するという方法をとっている。  

 日米がとるべき行動  
  カリフォルニア州地震安全委員会と州緊急事態局は、現行計画の改定作業に取り組んでいる。1999年に発生したトルコ、ギリシャ、台湾での地震は、そのための貴重な教訓をもたらした。また、グレー・デービス州知事は、ギリシャとカリフォルニア州との間で、耐震技術や地震防災政策の公式ルートでやりとりする覚書の締結を提唱しており、いずれはこの関係を日本やトルコ、台湾にも広げていくことを想定している。この覚書が多国間地震被害軽減計画の確立につながっていけば、最終的にはすべての参加地域が地震による被害を軽減させる費用効果 の高い活動を行うことが可能になろう。FEMAのリーダーシップが期待されるところである。

カリフォルニア地震被害軽減計画概要図へ


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