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EPCF


目次

目次背景アメリカでの事例
津波被害軽減と事前準備に関する包括的アプローチ
カリフォルニア州における地震被害軽減プログラムの歩み
官民のユーザー主導によるライフライン耐震調査のパートナーシップについて
意図的な災害−アメリカにおける自然災害の再評価−
FEMAによる改訂版沿岸建設マニュアル
カリフォルニア州サンフランシスコ沿岸地域におけるHAZUSによる地震リスク評価能力を向上させるための官民のパートナーシップについて
地震被害軽減のための知識の拡充と活用
地震工学シミュレーションのためのネットワーク(NEES)
平時及び大規模災害時の情報交換
陸上や海底での地滑りによって生じる津波災害のモデル化について
サンフランシスコ沿岸地域における「プロジェクト・インパクト」の概要
全米津波防災プログラム
津波に耐えうるコミュニティー
地震リスク軽減のためのプログラム
緊急事態における統合管理

目次背景日本での事例

目次背景日米共同の事例


地震リスク軽減のためのプログラム(PRESISMICO)  
 

■メキシコは世界有数の地震国である。ココス、リベーラ、太平洋の各プレートとの間で地震が起きている。 二十世紀にマグニチュード6.5以上の地震は100回起きており、過去20年だけでも数千人が死亡し、約46億ドルの被害が出ている。1999年6月15日と9月30日に起きた地震では死者55名、負傷者485名、そして住宅5万390軒と学校3443、病院92、公共建造物2054と53kmに及ぶ高速道路・橋が倒壊した。

 このような地震の教訓を踏まえ、メキシコでは様々な機関が設立され、研究がなされ、地震学、建築基準、法制度が立案し、国民の意識と理解も高まってきている。国家レベルで整備された制度の1つに国家市民防護システム(National System of Civil Protection)がある。国家市民防護システムは災害の危険と被害の軽減を目標として、以下の四点を事業内容としている。

・科学的知識を現実の災害防止と市民防護のために役立てること
・決定方針及び通信システムを更新すること
・国民の参加の場と責任を拡大すること
・市民保護に貢献するようメディアに呼びかけること

 以上の趣旨に沿って、国立メキシコ大学地球物理工学研究所、国防省および海軍、工科学校、建築業会議所、民間の諸機関ならびに専門家、ジャーナリストらが集められ、PRESISMICO(地震リスク軽減のためのプログラム)が作られた。その主な趣旨は以下の六点である。

・優先順位および全国の地域ごとの地震の水準を画定すること
・情報源と測定・分析機関との間の全国的連絡網を作ること
・全国をカバーするために必要な観測装置等の数を算出すること
・全国地震システムの近代化のために資金調達計画および資金分担の案をだすこと
・国民に情報と災害対応の知識をたえず与えるよう技術的情報を国が管理すること
・集団災害対応訓練を全国的に推進すること

 具体的なプログラムの内容は以下の六点である。

1.地震による危険の範囲を明確に規定すること。 調査の結果、全土が地震の被害を受けること、特に2090の市町村が甚大な被害を被りうることが判明した。これらの市町村は国土の27%にあたる54万平方キロメートルを占め、全人口の1/3にあたる3100万人が住んでいる。

2.技術を最新のものに更新すること。 地震活動を記録・測定し、評価する器械を導入して全国各地の基盤情報を集め、ハザードマップをたえず更新し、各地で許容し得る建築基準を決定できるようにする。現在50の地震計と250の加速時計があり、さらに増やす予定である。将来的には、これらの装置はリアルタイムで相互にデータ交換ができるようになろう。

3.建築基準。政府が建築基準を決定・更新し、各自治体はそれを法制化しなければならない。ハザードマップにしたがって建築基準はたえず更新されなければならない。

4.公共の建造物、特に学校、病院、協会、市場やオフィスビル等の耐震性を査定し、必要に応じて補強すること。

5.住宅の耐震性を査定し、必要に応じて補強すること。

6.国民の自覚と意識を高めること。国民に広く適切な情報を提供し、災害に的確に対処できるようにする。各課廷内での家具の状態などを定期的にチェックし、非常口と避難経路を決めておき、各人が適切な決定を下せるように心がけ、定期的に避難訓練を行うようにすること。そして、慌てないこと。地震は防ぐことも予測することもできない。普段の心がけが大切である。


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