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EPCF


目次

目次背景アメリカでの事例
津波被害軽減と事前準備に関する包括的アプローチ
カリフォルニア州における地震被害軽減プログラムの歩み
官民のユーザー主導によるライフライン耐震調査のパートナーシップについて
意図的な災害−アメリカにおける自然災害の再評価−
FEMAによる改訂版沿岸建設マニュアル
カリフォルニア州サンフランシスコ沿岸地域におけるHAZUSによる地震リスク評価能力を向上させるための官民のパートナーシップについて
地震被害軽減のための知識の拡充と活用
地震工学シミュレーションのためのネットワーク(NEES)
平時及び大規模災害時の情報交換
陸上や海底での地滑りによって生じる津波災害のモデル化について
サンフランシスコ沿岸地域における「プロジェクト・インパクト」の概要
全米津波防災プログラム
津波に耐えうるコミュニティー
地震リスク軽減のためのプログラム
緊急事態における統合管理

目次背景日本での事例

目次背景日米共同の事例


陸上や海底での地滑りによって生じる
津波災害のモデル化について

■遠方に発生源のある津波は、主に地殻変動によって生じるもので、この津波による被害は、一般 的な伝播モデルや沿岸部毎の浸水モデルでおおむね説明できる。これに対して、発生地が近い局所的な津波の場合は、中には地殻変動に起因するものもあるが、多くの場合、何らかの形で地滑りが絡んでいる。さほど大きくない地震が比較的大きな地滑りを誘発し、地震自体の規模から予想される規模をはるかに上回る津波を発生させることもある。津波による被害の90%以上は、発生地が近い津波によってもたらされている。地震によって生じた落石や、陸上部や海底での大きな地滑りが、発生地が近い津波に影響して、地殻変動モデルで予測された浸水域を越える被害をもたらすことも考えられる。

 地球の表面は、陸地であれ海底であれ、程度の差こそあれ地滑りが生じる条件は整っている。地滑りの発生は自然の摂理といえる。全米で発生した地滑りや落石の原因を分析すると、地震によるものと明らかに地震活動とは無関係に発生したものの二種類に分けられることがわかっている。

 では、地滑りが引き起こす津波に対して、我々はどのように対処すればよいのか。まず、こうした地震発生の合理的なモデル作りを進める必要がある。そのためには、今までに起きた地滑りと、それを引き起こした環境の特徴を再調査しなくてはならない。また、堆積や侵食のプロセスを理解して、地滑りを起こす要因を知ることも重要となってくる。特に脆弱な場所については、地滑りに起因する津波被害の程度を予測するために、様々な地滑りの大きさや形態を計測し、海岸線との距離についても考慮する必要があろう。

 以上のような情報が入手できれば、地震によるものであれ地震に無関係なものであれ、津波災害に地滑りが大きく関与している地域を見分けることが可能となろう。また、こうした研究の結果 、遠方に発生源のある津波のデータのみに基づいた津波による浸水予測を改める必要が出てくるかもしれない。

 世界の海岸線は実にダイナミックである。沿岸部にすむ住民は多くの地域で急速に増えつつある。津波災害のモデル化にあたっては、地上や海底での地滑りの可能性についても十分考慮すべきである。地滑りによる津波はつねに脅威である。比較的地震の少ない地域であっても津波の危険性があるからである。


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