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目次

目次背景アメリカでの事例
津波被害軽減と事前準備に関する包括的アプローチ
カリフォルニア州における地震被害軽減プログラムの歩み
官民のユーザー主導によるライフライン耐震調査のパートナーシップについて
意図的な災害−アメリカにおける自然災害の再評価−
FEMAによる改訂版沿岸建設マニュアル
カリフォルニア州サンフランシスコ沿岸地域におけるHAZUSによる地震リスク評価能力を向上させるための官民のパートナーシップについて
地震被害軽減のための知識の拡充と活用
地震工学シミュレーションのためのネットワーク(NEES)
平時及び大規模災害時の情報交換
陸上や海底での地滑りによって生じる津波災害のモデル化について
サンフランシスコ沿岸地域における「プロジェクト・インパクト」の概要
全米津波防災プログラム
津波に耐えうるコミュニティー
地震リスク軽減のためのプログラム
緊急事態における統合管理

目次背景日本での事例

目次背景日米共同の事例


意図的な災害 −アメリカにおける自然災害の再評価−
−「国際防災の10年」の活動の一環として− (2)

■被害を軽減する手段
自然災害による被害を軽減するための手段としては、土地利用計画、警報、建築基準、保険、新技術の導入などがあげられる。  災害に見舞われやすい場所の開発を制限するような分別ある土地利用計画の立案は不可欠であるにもかかわらず、このような場所の開発(制限)に関する包括的な指針はまだない。国や自治体が作成する様々な規則がちぐはぐなため、短期的には損害を減らし得るとしても、潜在的な損害の規模は増大しているのが現状である。

 数時間から数日前に出される短期予報と警報システムの長足の進歩により、災害による死者や負傷者の数はかなり減ってきている。とはいえ未だに警報が十分に機能し得ないでいる自治体も多い。また、短期予報は災害による構造物の被害や経済の破綻を抑えることにはあまり役に立たない。数年ないし数十年前から潜在的危険を知らせる長期的予報こそ、自治体の計画に資するものである。

 地域が災害から復興するにあたっては、構造物が災害に耐えることは必須の条件である。現行の建築基準は未だ不十分であり、強制力も弱い。あらゆる災害に対して、被害自体の発生を軽減するという観点から建築基準は見直されるべきであり、また自治体は監視を厳しくしなければならない。保険への加入者は増えているとはいえ、まだ少ない。保険は復興のために重要であるばかりでなく、保険会社が普及啓発活動や建築基準作成への協力、災害に見舞われやすい場所を保険対象から外すなどの措置によって被害軽減に貢献することも可能である。しかしながら、確率は低いが被害は甚大な自然災害に対する保険を支給することは困難であるのも現実である。ここ20年の間に、コンピューターを使った様々な災害対策システムが開発されており、今後の拡充も期待される。

 踏むべきいくつかの段階
 国家レベルでは、総合的な対策が求められる。そのために会議を開き、頻繁に調査を行うことが考えられる。また、地域毎に「防災力の向上を伴う被害軽減ネットワーク」を作り、それぞれが独自に、土地利用や環境、社会、経済上の目標を統合した計画の立案が考えられる。自治体と業者と住民とが完全な合意に達することは不可能かも知れないが、大切なのは話し合いのプロセスであり、そこから生まれるアイディアや共同体意識である。国はネットワーク作りに技術的・経済的援助をしなければならない。

 災害に備える対策
 災害時の対応や復興のための対策などを立てることにより、防災力の向上を伴う被害軽減の達成が可能となる。災害が起きる前に計画を立てることで被害の発生が抑えられ、復興を早めることにつながる。復興には自治体、業者、住民及び第三者が関係しているが、外部から技術的・経済的支援を受けつつ自治体に根ざした組織が責任を負うとき、最も効率的な復興がなされる。  復興という機会をとらえ将来起こり得る危険に備えるべく地域計画を建て直し、より安全な地域を作ることが極めて重要であるが、地域の指導者はしばしばこれを怠りがちである。  その他、地勢、人口分布、構造物について全国的な評価を行い、リスク分析に基づく地図を作成すること、そして今まで発生した災害については、どこでどのような損害があったのか、それぞれの原因、被害額などについて全国的なデータベースを国が作成し、公開することなどが必要である。  被害を軽減するための指針としては、以下の6点があげられる。

 *災害は、地勢、人口分布、構造物の相互作用によって生じるという観点から考えること  
 *災害の責任の一端は人間にあることを自覚すること  
 *臨機応変に対処すること  
 *長期的視野で考えること  
 *社会全体が取り組むこと  
 *防災力の向上に合致するような開発を心がけること

以上の各点に留意しつつ、継続的な評価を繰り返すことが重要であり、また過剰な放牧、森林破壊、貧困、無計画な開発など、災害の環境要因については国際的に対処しなければならない。

 被災地の担う重要な役割  
 防災力の向上を伴う被害軽減のためには、学際的な研究と普及啓発、地域的な災害アセスメント、コンピューターによる分析、政府の総括的政策などが必要である。また公的なまた政府の援助をどのようにして得るかについては、被災地が重要な役割を果 たしていくであろう。

意図的な災害 −アメリカにおける自然災害の再評価「国際防災の10年」の活動の一環として− (1)へ


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