防災の動き



南海トラフ地震の新しい被害想定と実施すべき防災対策~南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ報告書公表~
内閣府(防災担当)調査・企画担当

  南海トラフ沿いでは、歴史的に見て大規模地震による甚大な被害が繰り返されてきたことが知られています。この南海トラフ地震への備えは重要であり、中央防災会議の「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」により、新しい被害想定や今後実施すべき防災対策をまとめた報告書が令和7年3月に公表となりました。

  最新の科学的知見に基づく、最大クラスの地震・津波の想定では、強い揺れや津波が広範囲で発生し(図1参照)、最悪のケースでは、津波や揺れ等による死者数は約29.8万人、全壊焼失棟数は約235万棟、資産等の被害は約224.9兆円等、これまでの対策の効果は一定程度あるものの、改めて甚大な被害が発生することが想定されました。

図1:震度及び津波の高さの想定

図1:震度及び津波の高さの想定

  このように、南海トラフ地震では、広域で甚大な被害が発生する中で、人的・物的リソースが不足する等大変困難な状況が想定されます。そこで、国民・事業者・地域・行政等のあらゆる主体が総力をもって災害に臨むことで、命と社会を守る、助かった命や生活を維持する、生活や社会経済活動を早期に復旧することを実現していくことが必要です。

  そのため、防災意識の醸成、被害量低減のための強靱化・耐震化、被災者の生活環境の整備、防災DX充実等による災害対応の効率化・高度化、時間差をおいて発生する地震等への対応強化等、今後実施すべき対策についても提言されました。

  また、対策に取り組んだ場合の減災効果として、例えば、早期避難意識が低いと津波による死者数は約21.5万人と想定される一方、全員が早期に避難を開始した場合には、この死者数は7割減となると試算されました(図2参照)。迅速な避難行動のほか、住宅の耐震化や家庭での備蓄等、個人でも取り組める対策により被害軽減が見込まれます。各主体が着実に対策に取り組んでいくことが重要です。

図2:対策に取り組んだ場合の効果の試算の例

図2:対策に取り組んだ場合の効果の試算の例

<参考情報>内閣府防災「南海トラフ地震防災対策」のページ

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