防災の動き



本格的な出水期を前に、災害時に活用可能なキッチンカー、トイレカー等の災害対応車両登録制度の運用を開始しました。
内閣府政策統括官(防災担当)付/参事官(被災者生活再建担当)付

1 背景

  令和6年(2024年)能登半島地震では、キッチンカー、トレーラーハウス、トイレカー、ランドリーカー等のいわゆる災害対応車両が、被災地で有効活用され、被災者に対して良好な居住環境、温かい食事、快適なトイレ環境等の提供がなされました。

  一方、これらの災害対応車両のストック状況は、日頃から行政側で十分に把握ができていなかったことから、能登半島地震の発災直後は、行政側から関係事業者に対して、被災地への提供の可否等を、都度、確認せざるを得ない状況がありました。

  このため、内閣府では、発災後に円滑な被災者支援を実現するため、平時から災害対応車両をデータベースへ登録しておき、発災後に被災自治体がデータベースにアクセスし、ニーズに応じた災害対応車両に対して、迅速に支援を求めることができる仕組みを構築し、令和7年(2025年)6月1日から運用を開始しました。

2 制度の概要

  災害対応車両登録制度の概要は、次のとおりです(図1・図2)

○災害対応車両(本項において「車両」といいます。)とは、発災時に、避難所、仮設住宅若しくはトイレの用途に供され、又は、食事、洗濯若しくは入浴サービスを提供する用途に供される自走型、牽引型(トレーラー等)、運搬型(コンテナ等)の車両をいいます。

○登録の対象は、車両又は災害対応車両調整法人(発災時に車両の配車調整等を行う法人です。以下「調整法人」といいます。)のいずれかです。

○内閣総理大臣は、車両の所有者又は調整法人の申請に基づき、各申請者が発災時に被災自治体を支援する意思を有しているか、車両が登録基準に適合するか等を確認し、登録します。また、登録した車両又は調整法人の情報は、データベース化し、自治体等へ共有します。

○被災自治体は、車両を必要とする場合、災害対応車両検索システム(後述)を参照し、所有者又は調整法人と個別に調整します。国は、被災自治体による活用を支援し、必要に応じて調整を実施します。

○内閣総理大臣は、車両の提供を受けた被災自治体が負担した各種費用について、災害救助法に基づき負担(災害救助法の適用災害が前提です。)します。

  上記制度の骨格は、内閣府告示(災害対応車両等登録規程)で規定しています。

図1 災害対応車両登録制度の概要(内閣府資料)

図1 災害対応車両登録制度の概要(内閣府資料)

図2 災害対応車両に係る登録基準の概要(内閣府資料)

図2 災害対応車両に係る登録基準の概要(内閣府資料)

3 特設ホームページ及び災害対応車両検索システム(D-TRACE)の構築

  本登録制度の運用に当たり、制度についての情報提供を目的とした特設ホームページと災害対応車両等の登録に係る申請機能や、登録車両等に係る検索機能(データベース機能)等を搭載した災害対応車両検索システム(D-TRACE)を立ち上げました。

  特設ホームページでは、登録を検討されている方や、実際に支援の要請をするユーザーとなる地方公共団体の担当者に向けて、制度内容の説明やQ&A等を掲載しており、制度への理解を深めていただけるような内容としています。併せて、能登半島地震での活用事例も掲載し、今後も事例の追加・更新をしていきます。

  また、D-TRACEについては、災害対応車両等の登録申請機能や、登録車両等に係る検索機能(データベース機能)等を搭載しており、災害対応車両の所有者や災害対応車両の調整法人である支援をする側と、地方公共団体の支援を求める側のニーズをマッチングさせる機能を果たすシステムとなっています。なお、このD-TRACEは、発災時における迅速な被災者支援等を実現する制度の趣旨を踏まえて、一般には広く公開はせず、国、地方自治体、本制度による登録を受けた方が閲覧できるようにしています(図3)。

 (災害対応車両登録制度 特設ホームページ:https://pr.d-trace.go.jp

図3 災害対応車両検索システム(D-TRACE)の概要(内閣府資料)

図3 災害対応車両検索システム(D-TRACE)の概要(内閣府資料)

4 登録促進に向けたインセンティブの措置

  大規模災害に備えるためには、可能な限り多くの災害対応車両及び調整法人の登録をしていただくことが重要であるため、登録を促進するためにも、インセンティブ措置を実施していくことが必要と考えています。

  制度設計のために実施した事業者ヒアリングにおいても、例えば、キッチンカーの場合、災害支援を円滑に行うためには、平時における事業規模の拡大が重要であり、そのためには、平時の事業拠点を十分に確保することが必要との意見がありました。

  このような意見を踏まえ、例えば、登録をした災害対応車両が、公共主体が所有する施設(行政庁舎、河川施設、公園施設、道路施設、運動施設、図書館、病院等)に優先的に入構し、事業活動を行えるインセンティブの導入を進めていきたいと考えています。

  なお、内閣府では、中央合同庁舎8号館及び永田町合同庁舎における職員向けのキッチンカーや、迎賓館赤坂離宮における来館者向けのキッチンカーについて、次回の契約更新の際に、本制度による登録を受けた事業者を相対的に高く評価できるよう選定基準の見直しを行うことを予定しています(写真1)

  また、この取組は、各省庁及び地方公共団体にも協力要請を行っており、今後は全国の公共主体が所有する施設で広まっていくことが期待されています。内閣府としては、各省庁や地方公共団体等における取組状況についてフォローアップを行いつつ、好事例を収集して、特設ホームページで紹介をすることで横展開を図っていきたいと考えています。

写真1 迎賓館赤坂離宮における来館者向けのキッチンカーの様子(令和7年(2025年)4月撮影)

写真1 迎賓館赤坂離宮における来館者向けのキッチンカーの様子(令和7年(2025年)4月撮影)

5 最後に

  登録をいただいた災害対応車両等については、順次、登録内容の審査・確認を行い、可能な限り速やかに登録・データベース化を進めてまいります。今夏以降に発生する災害から登録された災害対応車両等が有効活用できるよう、運用していきたいと考えています。

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

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