防災の動き



防災拠点の設置と災害時相互支援体制構築に向けて
熊本県湯前町役場総務課

令和2年7月豪雨の経験から

 熊本県南部に位置する湯前町では令和3年度に公益財団法人ブルーシーアンドグリーンランド財団(以下、B&G財団)の助成事業を活用して、油圧ショベルやホイルローダ、スライドダンプなどの重機を配備しました。

 災害時の道路の開通支援をはじめ、日ごろから道路や用排水路を適正に維持・管理するなどして災害のリスクを減らすことが目的です。

 球磨川の上流域にある本町は令和2年7月豪雨で道路や河川、農・林地にかつてない規模の被害を受けました。球磨川は隣接町村との境を低い位置で流れていることから、幸いにも町内区間で氾らんすることなく、人的被害もありませんでした。しかし、いたるところで河川水が護岸を越水し、流出した土砂や流木によって主要な道路が通行できず一時的に孤立集落も発生しました。

 本町では災害に備えて、道路などの応急復旧工事に関する協定を町内建設業者と結んでいて、当時も建設業者に全面協力をいただきましたが、機械とオペレーターは限られているため、早期に開通できない道路がいたるところにありました。

 もし、人的被害が発生していたならば、土砂や流木によって緊急車両が足止めされる状況が発生していたはずです。災害が起きたとき、主要道路を早期に復旧させる必要性を感じ、公助の取り組みの一つとして重機を配備することにしました。

配備した重機の一部

配備した重機の一部

地域全体で人材を育成

 配備した重機を安全に使用しつつ効率的な復旧を図ることを目的として、ことし6月に湯前町消防団に「機動班」を新設しました。土屋登志久団長が辞令書を交付したのは20~40歳代の団員10人です。

 機動班の団員は、普段地域内の林業事業体や建設業者、役場などで働いています。重機操作に慣れた団員もいれば、必要な資格を取得したばかりの団員もいますが、毎月の重機操作研修に加え、災害支援活動団体から技術指導を受けるなどしてスキルアップを図っています。これらの人材育成の取り組みにもB&G財団の支援を受けていて、令和5年度までに災害時に重機を安全に操作できる人材を育てます。

 災害現場で重機操作を経験した者は地域にはいませんが、実績ある3つの災害支援団体の協力を得ることができ、今後は定期的に機動班や上球磨消防署、町職員などを対象に、重機操作研修を行っていきます。

2022年6月 湯前町消防団機動班の発足式の様子

2022年6月 湯前町消防団機動班の発足式の様子

2022年5月 特別教育の様子

2022年5月 特別教育の様子

自主防災組織の活動再開

 上記の取り組みと併せて、平成18~21年に町内23地区に設立されて以降、活動がほとんど行われてこなかった「自主防災組織」の活動の再開に取り組んでいきます。

 熊本県の自主防災組織活動支援員に協力していただき、まずは組織の意義や目的を地域の住民に再度認識してもらうため、ことし6月に防災講話を開催しました。各地区から区長や役員など50人以上が参加しました。

 防災講話に参加した人からは「自主防災組織が地区にあることは知っていたがこれまで活動もなかったので、何をするのか分からなかった。地区の役員会の際に自主防災組織の役員の編成について協議したい」、「地区防災計画の作成と聞いて、面倒な作業になると思ったが、設問に答える形で地域防災計画ができるのであれば、負担にならないかもしれない」との前向きな声が聞かれました。

 本町では、本年度中にすべての地区に「地区防災計画」を作成することを目標にしていて、引き続き、県の支援員に協力していただきながら、地域が自助・共助の活動に取り組みやすい環境となるよう支援していきます。

2022年6月に開催した自主防災組織への防災講話の様子

2022年6月に開催した自主防災組織への防災講話の様子



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