防災リーダーと地域の輪 第48回



「防災手帳」を活用した親子防災授業に取り組む
〈内閣府(防災担当)普及啓発・連携担当〉

防災リーダーと地域の輪 第48回

 茨城県つくば市では小中一貫教育を導入しており、吾妻学園は吾妻小学校と吾妻中学校からなる施設分離型の小中一貫校です。「吾妻学園おやじの会」は、吾妻学園の児童・生徒の保護者とそのOB・OGらが立ち上げた任意団体で、学校の環境整備や防犯・防災活動を行っています。中でも特に力を入れているのが防災への取り組みです。

 きっかけとなったのは平成23年の東日本大震災でした。吾妻小学校はつくば駅に近いことから、帰宅困難者の受け入れを行い、市内最大の避難所となったのです。

 「それまでPTAで夜回りや防災啓発に取り組んできたので、その経験が避難所の運営や避難者のケアなどに生かされました。しかし保護者の入れ替わりや教員の異動などもあり、こうした経験がなかなかその後に引き継げません。そこで継続的な取り組みとして、親だけでなく、子どもたちも一緒に学べる親子防災授業や学校防災キャンプなどをおやじの会が中心となって行うことになりました」(吾妻学園おやじの会・長屋和宏さん)

 平成24年からは茨城県が学校の防災強化の事業を開始し、平成26年には吾妻学園が防災教育モデル校に選ばれます。そして同年、保護者や教員がアイデアを出し合って「吾妻学園防災手帳」がつくられ、新1年生を対象に手帳を活用した防災授業を開始しました。

 授業は保護者も参加して、おやじの会のメンバーが講師となって行われます。地震が起きた際に「あぶないものからはなれましょう」「ダンゴムシのポーズ」など基本的な行動を学び、部屋や街なかの絵を見ながらみんなで危ない場所を探したり、親子で防災手帳裏面の防災マップに自宅や通学経路を描き入れたりといったワークを行います。この活動を継続的にすることで、子どもたちは必ず防災授業を受け、大人用と子ども用に分かれた防災手帳は全児童・生徒と保護者がもつことになります。

 防災手帳にはいざという時の行動やその備えなどの学びに加えて、引き渡しカードや家族の日常行動表など、家族で記入して使うページもあり、日頃から災害をわがこととして考える内容となっています。平成29年からは、つくば市内の他の学校へも防災手帳の取り組みが水平展開されるようになり、総合学習の防災単元との連携が図られています。

部屋の中の様子を表した絵の中の危ない箇所を探す子どもたち

部屋の中の様子を表した絵の中の危ない箇所を探す子どもたち

親子で防災地図に自宅や通学路を描きいれるワーク

親子で防災地図に自宅や通学路を描きいれるワーク

吾妻学園防災手帳

吾妻学園防災手帳



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