東海地震対策

第10章 地域への救援活動

第1節 計画の主旨

 この計画は、発災後における飲料水、食糧、医療品等、緊急物資の供給、救助、救護活動等の円滑化を図るものである。

第2節 緊急物資の確保計画量

 市は、別に定める各品目ごとの推定必要量を確保するよう努めるものとする。

第3節 食糧、日用品の確保

1 非常持出しができない被災住民や旅行者等に対して緊急物資を配分する。
2 調達先は、原則としてあらかじめ協定した業者又は静清中央卸売市場組合とする。これによって調達出来ないときは、他の業者から調達し、又は県及び協定先地方公共団体に対して協力を求めるものとする。
3 緊急物資の輸送は、事情の許す限り調達先に依頼する。当該物資が調達できないときには、輸送計画に定めるところによる。
4 緊急物資の配分にあたっては、事前に広報を行うとともに公平の維持に努める。
5 避難地その他の要所に炊出し施設を設け、食糧の提供を行うとともに、炊出しに必要なプロパンガス及び燃料器具の支給又はあっせんを行う。
6 自主防災組織は、市の行う物資の配分に協力し、必要に応じ、炊出しを行うものとする。
 また、炊出しに必要なプロパンガス及び燃料器具等を地域内のプロパンガス販売業者等の協力を得て確保する。

第4節 救援、救護のための標示

1 市は、地震発生後のヘリコプター等による空からの救援、救護活動を迅速かつ的確に行うため、小学校等の公共建物及び指定した病院の屋上に番号を標示する。
2 市は、孤立する恐れがある地域について地名標示シート、無線施設等の整備を実施、促進する。
(1) 救助内容標示シート
ア 目的 東海地震発生後の孤立集落に対して、ヘリコプター等による上空からの救援、救助活動を的確、迅速に行う。
イ シートの内容 ポリエチレン製の黄色生地シートに黒文字で標示。
地名標示シート (3間×2間)1枚
おおむね字名で標示
(例)
30 − 桂山

救助内容標示シート (2間×1.5間) 4枚
食料、水、けが人、医者
無標示シート(2間×1.5間) 1枚
救助内容をペンキ等で書く
ウ 使用方法 災害により道路、電話が不通となって孤立したとき、ヘリコプター発着可能地、又は集落内の平坦な畑、川原等に救援要請内容を標示したシートと地名標示シートを合わせて広げ、要請をする。

第5節 飲料水の確保

1 市の実施事項
(1) 飲料水確保が困難な地域に給水拠点を定め給水車等による効果的な応急給水を行う。
(2) 地震発生に際して、支部及び自主防災組織が行う応急給水活動に必要な資機材の整備促進を図る。
(3) 自主防災組織と連携し、効果的な応急給水を行う。
(4) 必要に応じ、仮設給水栓を設置し応急給水を行う。
(5) 応急給水の実施上、必要と判断した場合には、県に次の事項を示して、支援に係わるあっせんを要請する。
ア 給水を必要とする人員
イ 給水を必要とする期間及び給水量
ウ 給水する場所
エ 必要な給水器具、薬品、水道用資機材の品目別数量
オ 給水車両のみ借上の場合は、その必要台数
(6) 飲料水に関し、保健衛生上留意すべき事項の情報提供を行う。
2 市民及び自主防災組織の実施事項
(1) 地震発生の後3日間は自己貯水(1人1日3リットル以上)等でそれぞれ飲料水を確保する。
(2) 応急給水資機材を活用し地域内の井戸、湧水、プール等の有効利用に努める。
(3) 市と連携し、応急給水の円滑化に努める。

第6節 医療救護活動

方針
1 負傷者の医療救護を応急的に行うために医療救護所を設ける。
 ただし、軽傷者(医師の処置を必要としない者)の処置は、家庭又は自主防災組織が行うことを原則とする。
2 重傷者(入院を必要とするもの)の医療救護は救護病院が行う。
3 負傷者の医療救護が市内の救護施設で措置できない場合は、県に対し応援を要請する。
実施事項
1 地震発生後直ちに各医療救護施設の被害状況を調査し、被害に応じた対策を講じ、医療救護体制を確立する。
2 被害のない医療救護施設は速やかに医療救護活動を開始する。
3 重傷者は、あらかじめ地域ごとに指定した救護病院に収容する。
4 医療救護施設が効果的に機能するよう、傷病者等の医療活動状況を各医療救護施設ごとに把握し、必要な調整を行う。
5 救護所、救護病院の収容状況等の把握のため職員を配置する。
6 血液の確保
(1) 輸血用血液の確保について必要があるときは、献血予約登録者等に協力を呼びかける。
(2) 医療救護施設から、輸血用血液の調達・あっせんの要請を受けたときは、ただちに県災害対策支部に調達・あっせんを要請する。
7 医療救護所及び救護病院の役割
(1) 医療救護所
ア 重傷患者、中等傷患者の振り分け
イ 中等傷患者の処置
ウ 重傷患者の応急処置及び救護病院への収容指示
エ 死体の検案
オ 医療救護活動の記録及び本部への措置状況等の報告
カ その他必要な事項
(2) 救護病院
ア 重傷患者の収容と処置及び中等傷患者の処置
イ 死体の検案
ウ 医療救護活動の記録及び本部への収容状況等の報告
エ 広域救護病院への患者移送手配
オ 県への医師等派遣要請
 本部長は、救護病院において医療救護活動に従事する医師等が不足したときは、次の事項を示して県に派遣を要請する。
(ア) 派遣を必要とする人員(内科、外科、助産等別人員)
(イ) 必要な救護班数
(ウ) 医療救護活動を必要とする期間
(エ) 救護班の派遣場所
(オ) その他必要事項
(カ) その他必要な事項
8 医薬品の確保
 災害が発生し、又は発生する恐れがある場合で、医療救護所において災害時に必要とされる医薬品及び衛生材料等を調達する必要があると認めるときは、「災害時医薬品等の備蓄及び引渡しについての協定」に基づく協定締結薬局等に対し、当該薬局等があらかじめ備蓄する医薬品及び衛生材料等を医療救護所へ搬送するよう要請する。
9 自主防災組織の役割
(1) 備蓄医療救護資機材を利用して軽傷者の医療救護を行う。
(2) 医療救護所及び救護病院へ負傷者を搬送する。
10 負傷者の搬送
(1) 中等傷患者の救護所への搬送は自主防災組織が行う。
(2) 重傷患者の救護病院への搬送は消防機関等によるものとするが、消防機関等によりがたいときは自主防災組織が行う。
(3) 医療救護所で応急処置を受けた重傷患者の救護病院への搬送は、上記の方法に準ずる。
11 医療に係る救援物資は、中央体育館及び市民文化会館に集積し、市薬剤師会等の協力を得て管理、供給する。
12 本部長は、薬剤師等が不足したときは、知事を通じて(社)静岡県薬剤師会及び(社)静岡県薬事振興会に派遣要請する。

第7節 し尿、ごみ処理

1 計画収集及び処理が可能となるまでは、し尿については仮設便所、一時貯留等で対応し、ごみについては指定した場所に搬入し、一時仮置きで対応し、処理施設復旧後は施設能力に応じた処理を実施する。また、下水道普及地域においては、処理可能となるまでの間は住民に、仮設便所等で処理し、水洗便所を使用しないよう広報活動を実施する。
2 自主防災組織の実施事項
(1) 自主防災組織は、職員の仮設便所の設置に協力し、管理を行う。
(2) 家屋倒壊等による廃材、がれき等は危険がないように整理する。
(3) ビニールごみ袋の配布、ごみ置場の整理等を実施する。
(4) 下水道施設の被災に伴い水洗便所が使用できない場合は、仮設便所等を使用し処理する。
3 し尿処理対策
(1) 仮設便所の汲み取り
 し尿汲み取り業者に協力を要請し、バキューム車を6支部に配備し、避難地等の汲み取りを行う。なお、収集・処理に必要な資機材及び人員が不足する場合は、県の応援を要請する。
(2) 仮設便所の設置
 下水道施設、浄化槽が使用不能の場合、避難地等に配備してある仮設便所を支部職員と自主防災組織で公園、広場等に設置する。
(3) 速やかに下水道施設、し尿処理施設の応急復旧に努めるものとする。
4 ごみ処理対策
(1) ごみ仮置場の設置
 清掃工場が復旧するまでの間、環境衛生上支障のない範囲で仮置場を設置し対応する。
(2) ごみの収集
 西ヶ谷、沼上清掃事務所を基地とし、必要な地域から順次収集を実施するとともに、併せて自主防災組織等に収集体制について広報する。
(3) 支援受入れ体制の整備
(社)全国都市清掃会議に対し、他都市への支援要請を行うとともに、市内の一般廃棄物許可業者へ協力要請を行う。
 支援申し入れに対しては、受入れ窓口を設置するとともに受入れ場所を整備する。
(4) 収集・処理に必要な資機材及び人員が不足する場合は、県に応援を要請する。

第8節 防疫活動

1 市長は、防疫班を編成し必要な防疫活動を行う。
2 防疫薬剤が不足したときは、卸業者等から調達し、必要に応じ県に対して防疫薬剤及び資機材の調達を要請する。
3 津波浸水地域については、被災後直ちに防疫活動を行う。
4 保健福祉部は、感染症患者及び保菌者の早期発見に努め、検病調査等必要な措置を行う。感染症が発生したとき、又はその恐れがあるときは、発生状況を調査し、感染症伝播の媒介となる飲食物の販売、授受の禁止等必要な防疫措置を講ずるとともに汚染場所、物件の消毒等必要な防疫指導を行う。
5 感染症汚染地区については、知事の指示に基づき臨時予防接種を行う。
6 避難地等で使用する飲料水については、滅菌等の指導を行う。
7 食品衛生監視指導の実施
(1) 被災地での食品取扱施設の監視指導
(2) 飲料水の安全性確保
(3) 避難所での食品取扱の衛生指導
8 必要に応じて被災動物の保護収容及び避難所でのペット動物の飼育指導を行う。
9 地震による災害のため、防疫機能が著しく阻害され、市が行うべき防疫業務が実施できない時、また、不十分であるときは、県に代執行を要請する。

第9節 遺体の捜索、処理及び埋火葬

1 遺体の捜索
(1) 本部長は、届出に基づき遺体の捜索を消防部に指令するとともに、警察官、消防団、地元関係者等の協力により行う。
(2) 必要に応じ、重機その他機械器具を活用するとともに、人員に不足が生じたときは人夫の雇上げにより積極的に活動を実施する。
2 遺体の処理
(1) 遺体の検案
遺体の検案は救護班が市医師会、市歯科医師会及び市内病院等の協力を得て行う。
(2) 遺体の引渡し及び一時保存
 検案を終えた遺体は、遺族等に引渡すものとするが、身元不明の遺体は、身元が確認できるまで市が指定する安置所へ一時保存する。
(3) 遺体処理の内容
 洗浄、縫合、消毒などの処置のほか、身元不明の遺体については、識別確認のため、写真撮影、遺品の保存などの措置を行う。
3 遺体の埋火葬
 引取人の判明しない遺体又は引取人が判明しても埋葬することが困難な場合には、埋葬又は火葬の応急仮葬を行う。
4 市長は、遺体の捜索、処理及び埋火葬について、市のみで対応できないときは、次の事項を示して県に応援を要請する。
(1) 捜索、処理、埋火葬別とそれぞれの対象人員
(2) 捜索地域
(3) 火葬施設の使用可否
(4) 必要な輸送車両の数
(5) 遺体処理に必要な器材資材の品目別数量
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