阪神・淡路大震災教訓情報資料集【03】まちづくり

教訓情報資料集

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  • 4.第3期以降も続く課題(地震発生後6ヵ月以降)
    • 4-02.産業・都市の再生
      • 【03】まちづくり
        • 01.行政の対応は、復興促進地域の数%を占めるにすぎない「黒地地区」に集中され、「灰色地域」や「白地地域」への支援は限られた。
          • 01) 神戸市の例では、面積的に20倍以上の灰色地域・白地地域に対処する職員の数は、黒地地区の10分の1ほどにすぎなかった。
          • 02) 都市計画事業が決定された地域においては、まちづくり協議会活動や専門家による支援なども積極的に進められたが、「灰色・白地地域」での活動は一部に限られた。
          • 03) 住環境整備事業等の活用については地域による差が大きいが、優良建築物等整備事業や専門家の援助は、どのまちも比較的平等に恩恵を受けたといえるとの指摘がされている。□
          • 04) 復興市街地整備事業の事業費規模は、市街地再開発事業地区で156.3億円/ha、密集事業地区で0.8億円/haとなった。★
          • 05) 事業区域の設定と住宅復興の関係性については、さらに分析が必要であるが、両者の政策の整合性があまり無かったとの指摘もある。●
        • 02.灰色地域では、厳しい権利制限がなく、復興の度合いは黒地地区に比べ進んでいるとの見方もある。
          • 01) 灰色地域では、厳しい権利制限がなく、自由なまちづくりを発想する余裕があることから、復興の度合いは黒地地区に比べ進んでいるとの見方もある。
          • 02) まちづくり協定の締結、共同建て替えへの取り組みなどが行われている地区がある。
          • 03) 淡路島では、漁村での市街地整備が密集市街地整備促進事業により進められた。
          • 04) 尼崎市・芦屋市では住宅改良事業への取り組みも行われた。
          • 05) 駅周辺地の宝塚市川面、売布、山本地区、旧村落地区の伊丹市西野、鴻池、荒牧、池尻地区における密集住宅市街地整備促進事業と地区計画による復興まちづくりがスピーディに進められている。◎
          • 06) 細街路の拡幅整備が、街なみ環境整備事業、地区計画等により進められた。◎
          • 07) 三宮地区をはじめとする都心地区では、地区計画等のルールに基づくまちづくりにより、都心再生が図られた。◎
          • 08) 組合施行の震災復興土地区画整理事業が神戸市内の2地区で事業化された。◎
          • 09) 地区の経緯や特性に応じて、様々な環境改善の取組が行われながら、復興まちづくりが進められている。◎
        • 03.白地地域で面整備の芽が見られたのはごくわずかであった。
          • 01) 白地地域では、ある程度、まちづくり協議会も結成されたが、事業化まで進むことが難しく、面整備の芽が見られたのはごくわずかであった。
          • 02) 白地地域での合意形成、計画づくり、事業の組立には、専門家の支援が必要であり、専門家派遣などの制度が設けられた。
          • 03) 震災後3年を経て、白地地域の復興は膠着状態に入っており、本格復興に向けての新たな施策展開が必要との指摘がある。
          • 04) まちづくりコンサルタントが行政と住民との中立的立場で復興まちづくりを支援した。▼
          • 05) 白地地区では、再建できる住宅とできない住宅が明確に分別され、その後の地域の住環境を決定付けてしまうことが指摘されている。●
        • 04.まちづくり協議会は増え続け、連絡会による情報交換やノウハウの交換、まちづくり会社設立の試みなども行われていた。
          • 01) 96年3月時点ではまちづくり協議会の数は約100団体にのぼったが、まちづくり協議会の運営方法などが課題となった。
          • 02) まちづくり協議会の連絡会が作られ、情報交換やノウハウの交換が進められた。
          • 03) まちづくり会社設立の試みを始めとして、様々な官・民・地域の体制づくりが試行された。
          • 04) 行政がバックアップする「まちづくり協議会」と、行政に対抗する形の「考える会」などの活動がうまく連携した場合に、比較的スムーズに事業が展開しているとの指摘もある。
          • 05) 住民の合意形成が迅速になされたのは、日ごろからまちづくり協議会などが機能していた地域がほとんどであった。□
          • 06) 復興まちづくりの体制として評価の高い「まちづくり協議会」についても、人材、資金、拠点等の安定確保、自治会との関係など、残された課題が指摘されている。□
          • 07) 黒地地区のまちづくり協議会の中には、事業の完了期を迎え、当初の役割を終えて解散したり、自治会に移行するなど、新たな展開に進み出したところもある。◎
          • 08) 復興まちづくりの過程には様々な要因が絡むが、結局はそこに関わり、支えてきた人々の努力の結集であるという指摘がある。◎
          • 09) 復興まちづくりに関するマスコミの報道が、ときには事業の進捗に影響を及ぼすことがあった。◎
          • 10) 個別の地区に対する民間の基金が設立され、資金支援活動が行われた事例もある。▼
          • 11) 地域のコミュニティがしっかりしている農山漁村部においては、必ずしも「まちづくり協議会」の設立を必要とせず、既存の自治会や町会などにより合意形成を図ることも可能であるとの指摘がある。▼
          • 12) 下町的な様相をもっていた被災地では、新たな産業を育み、新たな居住者を迎え入れることによって、街の再生を図っていかなければならない、という課題に取り組んでいる。▼
            • 05.再建が進まず取り残された空地の扱いは、今後の復興の大きなテーマとなっている。
              • 01) 再建の動きが停滞している住宅市街地にはかなりの空地が残り、街の活気を失わせ、防犯上の問題や景観上の問題が生じた。
              • 02) 住民やボランティアが力を合わせ、空地が花の咲く広場として使われて街に潤いをもたらしている事例もあった。神戸市は「まちづくりスポット創生事業」を創設し、被災空き地の有効利用に取り組んでいる。
              • 03) 震災後に生じた空地は、これからのまちづくりの資源と見ることもできるという、前向きな捉え方もある。◎
              • 04) 空地とともに再建住宅により構成されつつある町並み景観が、地域性を失い画一化しているが、一方で、外構・外部空間の協調化・共同利用化・共同化等の新たな町並み形成の兆しもみられるという指摘がある。◎
              • 05) 建物の再建も進み、超高層建築物の増加など新たなまちなみができてきたところもある。★
              • 06) 再建されない空地の増加と、それらをコミュニティのための空間として活用したいという要望に対応するため、助成制度が拡充された。▼
              • 07) 兵庫県は、被災した歴史的、文化的に重要なまちなみや、まちのシンボル的建築物の復興を図るとともに、被災地におけるまちなみ景観の形成を図る取り組みを支援するため、景観ルネサンス・まちなみ保全事業等を行った。▼
              • 08) 歴史的市街地や伝統的な集落などだけでなく、普通のまちにおいても住民に愛され親しまれている風景が失われた。復興は、地域で新たな町並みをつくっていくことと理解されるようになった。▼
              • 09) 工業化住宅などに伴う景観の変化は、被災地の住宅生産・維持管理を取り巻く産業構造の反映であったと考えるべきとの指摘がある。▼
              • 10) 阪神・淡路震災復興支援10年委員会は、約30万本の植樹の支援を行い、10年でほぼ活動を終えた。●
            • 06.震災はまちづくりに対する市民参加の強い動機になり、これまでにない都市計画における新しい政策方向への影響を与えることになった。□
              • 01) 復興まちづくりに対しての住民の役割が提言されている。□
              • 02) まちづくりコンサルタントの社会的位置づけや職能を広く世間に認知させる必要があると、提言されている。□
              • 03) 被災地の復興まちづくりの成果のひとつとして、まちの中にコモンスペースを積極的に設ける試みが行われるようになったことが挙げられる。◎
              • 04) 今回の復興市街地整備にあたり、燃えやすい都市の体質の改善がはかれなかった、との指摘がある。●
                • 07.公園やみどりの復興が、まちづくりにおける市民参加の契機となるなど、重要な意義が再認識された。▼
                  • 01) 公園・緑地等の復旧に際して、通常よりも手厚い財政支援が行われた。▼
                  • 02) 住民主導のまちづくりのなかで、ワークショップ方式など様々な公園づくりの取り組みが行われた。▼
                  • 03) 六甲山中の登山道も被害を受けたが、復旧工事が行われた。▼
                  • 04) 震災においてみどりは、防災上の意義、景観形成上の意義、住民参画の流れを作り出すなど、大きな意義が改めて見出された。▼
                  • 05) 災害に強く、安心して暮らせる都市づくりのため、緑の砂防事業として、六甲山系グリーンベルト整備事業が進められている。▼

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