阪神・淡路大震災教訓情報資料集【08】市民生活

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教訓情報資料集


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  • 4.第3期以降も続く課題(地震発生後6ヵ月以降)
    • 4-01.生活の再建
      • 【08】市民生活
        • 01.「生活再建」は、「つながり」「こころとからだ」「行政とのかかわり」「すまい」「まち」「そなえ」「くらしむき」の7要素で構成されるという提案がなされた。□
          • 01) 「つながり」としては、一人一人の自律がまず必要であること、助け合いにも一定の限度があることを踏まえた上で、個人の自律を補い合い認め合う共生・連帯も必要とされた。□
          • 02) 「こころとからだ」は、地震の被害の有無でまったく異なる対応が必要となった。□
          • 03) 「行政とのかかわり」では、地震によって行政サービスへの期待が高まり、関わりが深まった。□
          • 04) 避難所に行き、住宅の確保から自宅周辺のまちなみや内装・インテリアの回復までを「すまい」の再建としてとらえている。□
          • 05) 「まち」は、公共財、住宅の再建、都市のコモンズの3つのレベルでとらえられている。□
          • 06) 「そなえ」では、まず個々人が体力を付けること、次に家庭、地域レベルで被害を軽減するための取組をすること、そして情報をしっかり手に入れることが指摘された。□
          • 07) 「くらしむき」では、自宅と職場の被害が借金という形で顕在化し、財政的な余裕を奪っている。□
          • 08) 震災から5年目にはすまいが生活再建のカギとされたが、10年目には人と人とのつながりをもう一度再構築することこそが、市民の意見としては第一の課題として語られていた。▼
        • 02.市民や事業者の生活再建・復興についての意識は、震災後約5年を経ても厳しい感じ方が続いている。□
          • 01) 99年の神戸市民の意識調査では、依然として震災の被害が激しいほど、また中高年層が、震災による住宅費増、失業・廃業等に伴い、暮らし向きや健康に不満を抱いている。□
          • 02) 99年の神戸商工会議所の事業者意識調査では、前年度よりも復興度合いが低下するなど、復興過程が長引く厳しい見方をしている。□
          • 03) 震災から約5年を経た時点における芦屋市と西宮市の市民意識調査においても、依然として市民生活に震災の影響が大きく残っており、生活の再建状況や復興感についての市民間の格差の問題が指摘されている。◎
          • 04) 震災を経た後も個人消費は縮小していないが、資産の格差が拡大しており、家計の経済復興格差がみられるという指摘がある。◎
          • 05) ライフステージが進んだ段階、とくに60歳以上の高齢者が被災した場合の復興が難しくなっている。▲
          • 06) 家族関係のあり方が復興感を規定していた。▲
          • 07) 生活復興感に関しては、地域による単純な有意差は見られない。▲
          • 08) 職業によって復興感に差が見られるが、被災地内の経済システムへの依存度の影響と見られる。▲
          • 09) 2003年度の市民アンケート調査では、くらし向きが震災前よりも低下している人についても、その原因は不況など全国的課題や個人的な問題によるものが大きい。★
          • 10) 地震発生から10年近くが経過した時点では、住宅、市街地整備、インフラ分野の復興が進み、産業復興分野が遅れていると認識されている。☆
          • 11) 地震発生から10年近くが経過しても、被災からの立ち直り状況には依然として被災程度による差が歴然と残っている。☆
          • 12) 家庭における役割や家族の絆など、女性を取り巻く従来からの問題が震災により顕在化した。▼
        • 03.恒久住宅への入居後も、新たな不安や孤立感を緩和し、新しいコミュニティに親しめるよう支援していくケアが継続されている。◎
          • 01) 新市街地に建設された大規模な災害復興公営住宅団地におけるコミュニティ形成が、今後の街づくり、被災者の生活再建等に関わる恒久住宅入居後の大きな課題であるとされている。◎
          • 02) 恒久住宅への入居後も、新たな不安や孤立感を緩和し、新しいコミュニティに親しめるよう支援していくケアが継続されている。◎
          • 03) 南芦屋浜地区では、入居前からのワークショップやアートづくりを通してコミュニティ形成、環境づくりを行う「コミュニティ&アート計画」の取り組みがが行われた。◎
          • 04) 防犯等の面から、復興住宅対策交番員等による復興住宅等への立ち寄りが強化された。◎
          • 05) 復興公営住宅団地のコミュニティ形成は、被災地全体と大きな差のないレベルまで達してきている。★
          • 06) 復興公営住宅団地の入居者の復興感は、自治会活動等への参加、人とのふれあい等による影響が大きい。★
          • 07) 居住者間のネットワークづくり等のコミュニティ活動の構築に向けた一歩踏み込んだ支援活動が、居住者全体の生活復興感の向上に効果をあげている。★
          • 08) 被災高齢者を定期訪問し、安否確認や生活相談などを行う高齢世帯生活援助員(SCS)を、基金事業として実施している。☆
          • 09) 自治会活動を再軌道に乗せるための支援が引き続き求められている。▼
          • 10) フェニックス推進員らが口伝えに情報を伝え、相談を受ける素朴な“原始的”方法が有効であることが明らかになったとの指摘がある。▼
          • 11) 当該住宅以外から民生委員を選出せざるを得ず、入居者の情報が民生委員に十分行き渡らない、入居者と民生委員間の被災体験に温度差があるなどの課題があった。▼
          • 12) 老人クラブも、市町・社会福祉協議会等と連携して地域における見守り活動に参加した。▼
          • 13) 復興公営住宅では、震災10年を前に徐々にコミュニティが培われ、他の住宅とほとんど変わらない近所づきあいが行われるようになった。▼
        • 04.被災者と行政の中間に立って、双方に提言や助言を行う第三者機関として「被災者復興支援会議」はII、IIIと展開している。◎
          • 01) 生活再建の基礎をつくる段階で、数々の提言をしてきた前身の被災者復興支援会議を受け継ぐ一方、中長期的視野で被災地の問題解決にあたる「被災者復興支援会議II」が99年4月に発足した。◎
          • 02) 本格的な生活復興期を迎え、個別、多様化した被災者の生活復興支援、市場・商店街の活性化や雇用の創出、安全・安心で魅力的なまちづくりなどの課題に対応する「被災者復興支援会議III」が2001年4月に発足した。◎
          • 03) 神戸市では、兵庫県の「被災者復興支援会議」と同種の取組として、行政へ適切な助言を行うことを目的とし、学識経験者、住民代表、ボランティア代表により構成される「市民のすまい再生懇談会」が96年6月に発足した。◎
          • 04) 当初の支援会議の位置づけは、行政側の体制が平常化していくとともに変化していった。▼
          • 05) 兵庫県は被災者復興支援会議を解散、震災10年以降の復興施策のフォローアップを行うため、復興フォローアップ委員会を設置した。●
        • 05.震災後の被災地では、市民活動団体等の活動の活発化、ネットワーク化など、様々な活動展開が見られるようになった。◎
          • 01) 震災後の被災地では、多様な市民活動が活発に展開されるようになったという指摘がある。◎
          • 02) 被災者の自立を支援する各種団体のネットワーク・支援組織として「生活復興県民ネット」が設けられた。◎
          • 03) 市民運動を民間の側からも支援するため、民間の助成基金が相次いで設立された。◎
        • 06.震災は、多くの震災孤児をうむなど、子ども達の生活に対して大きな影響を及ぼしている。▲
          • 01) 震災は、児童生徒の生活環境を変容させ、大きな影響を与えている。▲
          • 02) 震災の影響は、児童生徒の健康面にも及んでおり、被害が大きい地域では児童生徒の肥満傾向が増している。▲
          • 03) 被災後の生活環境の変化が、児童生徒の問題行為の現れ方にも影響している。▲
          • 04) 震災遺児に対して、あしなが育英会では実態の把握、奨学金の貸与、レインボーハウスの運営等の支援を行っている。▲
          • 05) 震災遺児の心のケア施設の設置、支援事業等が各方面で行われている。★
          • 06) 子どもたちの元気が、逆に周囲の大人を助ける場面もあった。▼
          • 07) 青少年関係団体は、青少年への様々な支援活動を行った。▼
        • 07.兵庫県は、被災者の本格的な生活復興に向けた取り組みを進めるため、「生活復興協働プログラム」を策定した。▲
          • 01) 兵庫県は2000年2月17日に、「生活復興協働プログラム2000」を策定した。▲
          • 02) 兵庫県は2001年2月16日に、「生活復興協働プログラム2001」に改訂した。▲
          • 03) 兵庫県は2002年2月15日に、「生活復興協働プログラム2002」に改訂した。▲
        • 08.被災により失われた生命や財産に対して、その負担のあり方について議論した訴訟がいくつかある。▲
          • 01) 建物倒壊等の瑕疵の立証が難しく、損害に対する負担のあり方についてきちんと議論した事例はさほど多くない。▲
          • 02) 手抜き工事・欠陥工事による建物被害に対して損害賠償請求の訴訟が起こされた例がある。▲
          • 03) 被災して倒壊危険性のある建物による巻き添え被害について、損害賠償責任が発生したケースがあった。▲
          • 04) 火災で住宅を失った被災者が損害保険会社等を相手取り、火災保険金の支払に関して提訴した。▲
          • 05) 高速道路やガスといった社会基盤の被災に伴う犠牲者の損害賠償請求訴訟が行われた。▲
          • 06) マンション建て替え訴訟が長期化し、新たな問題を生み出している。☆
          • 07) 訴訟ではないが、地震保険の支払内容についても混乱が生じた。☆
          • 09) 震災による裁判件数の大幅な増加は見られなかった。▼
        • 09.医療・保健分野において様々な復興・支援のための取り組みが行われてきたが、なお課題があり、新たな取り組みも始められている。▼
          • 01) 心身の健康に関する復興はまだ十分とは言えず、支援の拡充が求められているとの指摘がある。▼
          • 02) 震災後の被災病院の患者数は減少し、医業経営を大きく圧迫することとなった。▼
          • 03) 看護師を中心に健康アドバイザーによる支援が行われ、その後の「まちの保健室」へつながった。▼
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