阪神・淡路大震災教訓情報資料集【03】復興都市計画の決定

教訓情報資料集

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  • 第3期・本格的復旧・復興始動期(地震発生後4週間~6ヵ月)
    • 3-03.復興計画の策定と計画的市街地復興
      • 【03】復興都市計画の決定
        • 01.神戸の復興都市計画事業は、震災直後の1月20日から事実上スタートした。
          • 01) 1月20日、建設省の区画整理課長らが大混乱の神戸市役所を訪れ、神戸の復興都市計画事業が事実上スタートしたとされる。
          • 02) 都市計画決定のスケジュールは、建築制限の切れる『3.17』に向けて進められた。この背景には、国の補正予算編成に間に合わせる必要もあったとされる。
          • 03) 2月1日には神戸市・西宮市、2月9日には芦屋市・宝塚市・北淡町で、震災当日に遡って建築基準法の84条による建築制限が適用された。
          • 04) 「市街地復興の基本的方向」が示された。★
          • 05) 復興都市計画の検討は、既往の大災害復興資料を集めることからはじまった。☆
        • 02.神戸市は、1月26日に「震災復興計画に関する基本的な考え方」を示した。2月16日には「震災復興緊急整備条例」が制定され、「復興促進区域」の指定など、基本的枠組みが示された。以降、阪神間の各都市でも類似の条例が制定された。
          • 01) 神戸市は、1月26日に「震災復興計画に関する基本的な考え方」を示した。
          • 02) 神戸市は2月16日に震災復興緊急整備条例を制定し、六甲山南側市街地5887haを「震災復興促進区域」に指定。また、2月17日には特に重点的に住宅供給・市街地整備を進める「重点復興地域」が指定された。
          • 03) それらの地域には将来のまちづくり・事業の動きについての情報提供、建築物の防災へのアドバイス、共同化の誘導を目的として、建築行為の届け出が課された。
          • 04) このような地域区分を指定したことについては、1)その後の地域の復興のあり方を規定してしまう、2)指定区域以外の地域が冷遇される、3)区分の設定が被災の実態に即していたかどうか疑問、などの指摘もある。
        • 03.3月16日、 兵庫県都市計画地方審議会は市町の都市計画案を可決し翌日に都市計画決定されたが、住民のとの対話が不十分として異例の「二段階方式」の都市計画決定となった。
          • 01) 神戸市は2月23日に、土地区画整理、再開発等の復興計画案を広報した。
          • 02) 2月28日、 5市町は復興区画整理、再開発等の復興都市計画案の縦覧を開始したが、その提案は急で、周知と縦覧は十分に行うことができなかった。
          • 03) 住民不在の都市計画決定手続きへの反対、広域的施設である近隣公園への反対などが相次ぎ、大量の意見書が提出された。
          • 04) 16日には兵庫県都市計画地方審議会が開かれ計画案は原案通り可決。ただし、住民のとの対話が不十分として、この計画は大枠を示す「骨格」を定めたものとし、詳細な計画を追加決定するという「二段階方式」をとることとなった。
          • 05) 尼崎市築地地区だけは、過去に開発・市街地整備計画などが住民の反対で断念した経緯もあって区画整理都市計画決定をいそがず、8月8日の都市計画決定となった。
          • 06) 淡路島の北淡町富島地区は、2月7日に都市計画区域に編入され、いきなり土地区画整理事業に取り組むこととなった。☆
        • 04.2月26日に公布された被災市街地復興特別措置法では、最長2年間の建築制限が可能だったが、3月17日の都市計画決定では、被災市街地復興推進地域の指定と、土地区画整理・第二種市街地再開発事業の施行区域が、同時に決められることとなった。
          • 01) 各市町が復興案を発表したのは特別措置法の可決前で他に選択肢はなかったが、公布以降は、手続きをやり直すことは可能だったとの意見もある。
          • 02) 特別措置法での建築制限は、自己居住用に限定するなど許可要件が厳しいことから都市計画による権利制限が選択され、促進地域制度はかさあげされた事業補助金獲得として機能することとなったとの見方もある。
          • 03) 土地区画整理事業、第二種市街地再開発事業などの手法は、震災復興の手段としては必ずしも有効ではないとの指摘もあった。
            • 05.被災自治体には都市計画決定を急がざるを得なかった面があったともいわれる。迅速な都市計画決定についての評価は専門家の間でも大きく別れた。
              • 01) 被災自治体には事業をするかしないかの選択しかなく、事業化を急ぎ、補助金を確保するための事業の足がかりを築かざるを得なかったとの指摘もある。
              • 02) 迅速な都市計画決定についての評価は専門家の間でも大きく別れた。早期の計画立案は必要だったとする意見がある。一方、時間をかけた都市計画案づくりが必要だったとする意見もある。
              • 03) 行政が早い段階で復興のたたき台を示すのと住民の合意形成まで建築制限を継続することのどちらが復興の早道かの是非は、地域の事情の違いもあり即断できない。□
              • 04) 震災発生後、早期にマスタープラン(あるいはその骨子としての復興方針)を決められるようにすべきとの提言がある。□
              • 05) 計画立案の前提となる市街地の被災状況調査のマンパワー等を確保するために、関係自治体、公団、コンサルタントとの連携を図る必要があるとの指摘がある。□
              • 07) 二段階都市計画決定方式について震災復興の都市計画としては、防災が軽んじられた計画となったという指摘がある。◎

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