阪神・淡路大震災教訓情報資料集【05】応急仮設住宅の建設・入居

教訓情報資料集

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  • 第3期・本格的復旧・復興始動期(地震発生後4週間~6ヵ月)
    • 3-01.避難所解消と応急住宅の提供
      • 【05】応急仮設住宅の建設・入居
        • 01.被災地域では、応急仮設住宅の建設用地が不足した。上下水道等の基盤整備が前提であったほか、周辺住民からの反対もあった。
          • 01) 既成市街地での用地確保が難しく、郊外や県・市外にも立地せざるを得なかった。神戸市では、建設戸数の約79%は市有地等公有地で、その他約21%は民間事業者、住宅・都市整備公団(当時)、国鉄清算事業団(当時)からの無償提供となった。
          • 02) 応急仮設住宅としては初めて水洗式トイレが標準仕様となり、早期に建設するためには上下水道等基盤が整っており、ある程度の規模も求められることから、市街地等の公有地での対応が基本となった。
          • 03) 仮設住宅を建設する場所の周辺住民から反対の声があがった所もあった。
        • 02.兵庫県は(社)プレハブ建築協会に協力を要請したが、不足が予想されたことから海外からの輸入住宅も供与された。
          • 01) 兵庫県は(社)プレハブ建築協会に協力を要請。各住宅メーカーは住宅・都市整備公団(当時)の応援を得てプランの作成と組織化を進めた。
          • 02) 海外からの輸入住宅も供与された。しかし、数多くの輸入規制があり、その調整が緊急を要する仮設住宅の建設に障害となった。
          • 03) 神戸市では、仮設住宅建設には時間がかかることから市独自でコンテナハウスを「簡易避難所」として建設し1月末から設置。しかし、厚生省の基準に合わないとして約3カ月で撤去された。
          • 04) 仮設住宅への入居は、4月1日時点でも10,308戸に留まった。こうした状況から、被災者は避難所に長期間とどまらざるを得ず、避難所閉鎖も遅れた。
          • 05) 供給スケジュールに対して、大工の不足による内装工事の遅れが問題となった。☆
        • 03.仮設住宅団地では、400戸を越える団地が16ヶ所、1,000戸以上も2ヶ所あり、環境面での問題も指摘された。
          • 01) 400戸を越える団地が16ヶ所、1,000戸以上も2ヶ所建設された。
          • 02) 大団地が高密度に隙間無く建設されるために、きわめて殺風景で圧迫感を伴う環境との指摘もある。
          • 03) 当初は標識や街灯もない場所があり、買い物に出た高齢者が道に迷い、亡くなるという例も起きた。
          • 04) 多数の世帯が居住するにもかかわらず、当初は住宅のみで、店舗や集会施設等がないことが問題となった。
        • 04.自己所有地への仮設住宅・店舗等の建設も検討されたが、実現は難しかった。自力での仮設建築も進められ、それらへの支援も必要とされた。
          • 01) 自己所有地への仮設建設も検討されたが、公共施設である仮設住宅への土地所有者優先入居の是非、撤去の際の紛争などが問題とされ、実現しなかった。
          • 02) 自力再建者への支援がないことから、仮設住宅入居者との格差を問題視する声もきかれた。
          • 03) 自力仮設住宅には、一定の需要があり、地域密着型の復興を行えることから何らかの支援が必要との意見もある。一方、居住環境に問題があること、恒久住宅として再建されずに継続して残る可能性も指摘されている。
            • 05.用地不足及び被災者の多様なニーズに対応するため、様々なタイプの仮設住宅が認められた。高齢者や障害者に配慮した地域型応急仮設住宅も建設された。
              • 01) 用地不足及び早期に大量の戸数を供給するため、長屋形式のプレハブ造平家建て1Kタイプ、2階建て寮形式の地域型応急仮設住宅などが作られた。
              • 02) 地域型応急仮設往宅は、当初高齢者等への配慮が十分ではなかったが、出入口段差解消、通路簡易舖装、緊急呼び出しブザー設置や、生活支援員、ホームヘルプサービス等の在宅福祉サービスなどの対応も進められた。
              • 03) スウェーデンのグループホーム制度をとりいれたケア付き仮設住宅も試みられ、入居者から高い満足度が得られた。
                • 06.郊外の仮設住宅については不便さなどが強調されたが、大阪府など遠隔地の仮設住宅の入居者からは、生活面・環境面を評価する声もあった。
                  • 01) 被災者は、就業・就学、医療等の面から、従前の居住地へのこだわりが強く、遠隔地や郊外仮設への応募は少なかった。
                  • 02) 大阪府八尾市の仮設住宅では、「他の仮設に比べ交通の便が良い、市場、スーパー等が近くて良い」「思ったよりもずっと快適」などの生活面、環境面を評価する意見が多かった。
                • 07.高齢者が優先され、抽選による決定がなされたことが様々な課題を引き起こした。
                  • 01) 弱者優先と抽選による入居によって、高齢者・弱者ばかりの団地ができるなどの偏りが生じ、その後のコミュニティづくりが課題となった。
                  • 02) 弱者優先・抽選などの措置はやむを得なかったものの、平等、地域性、コミュニティの維持、弱者優先などの総合的視点で抽選と優先入居を組み合わせる必要があるとの指摘もあった。
                  • 03) 淡路島北淡町では、比較的小規模単位で元の居住地の近くに立地しており、従前の近隣単位で入居できたことから問題は少なかった。尼崎市築地地区でも地区内の事業用仮設に多くの世帯が入居でき、近隣関係の構築がスムーズに行われた。

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