阪神・淡路大震災教訓情報資料集【07】鉄道の復旧

教訓情報資料集

参考文献を含む詳細ページ(PDF)はこちら (PDF形式:134.9KB)別ウインドウで開きます

  • 2.第2期・被災地応急対応(地震発生後4日~3週間)
    • 2-05.都市基盤・サービスの復旧
      • 【07】鉄道の復旧
        • 01.大阪と神戸を結ぶ鉄道3線の不通により一日45万人の足が奪われたため、代替バスによる輸送が行われ、バス優先レーンも設置されて、多くの人に利用された。
          • 01) 大阪と神戸を結ぶJR神戸線、阪急電鉄神戸線、阪神電鉄本線の3線の不通により、一日45万人、ラッシュ時最大1時間12万人の足が奪われた。
          • 02) JR西日本東海道・福知山・山陽線、阪急宝塚・今津・伊丹線、神戸電鉄有馬線の不通区間については、震災直後から代替バスによる輸送が行われた。
          • 03) 国道2号線が開通した1月23日から、同国道と山手幹線を使って、大阪~神戸間の代替バス輸送が実施された。
          • 04) 1月28日からは、国道2号、43号線に代替バス優先レーンが設置され、効率的・円滑な運行が確保された。
          • 05) 代替バス利用者は、当初は1日あたり3~5万人であったが、バスレーン設置後は上昇し、3月末までは1日約20万人が利用した。
          • 06) 当初、代替バスは交通渋滞に巻き込まれ、通行に多くの時間を要したが、バスレーンの設置後は約半分の所要時間に短縮されるなど、徐々に時間は短縮された。
        • 02.大阪−姫路間を結ぶJRの迂回ルートが設定されノンストップ列車が運行されるなど、生き残っている路線を用いた迂回ルート利用された。また、2月20日にはJR、阪神、阪急の乗り継ぎで大阪−神戸間の鉄道による移動が可能となり、定期券の共用が認められた。
          • 01) JR西日本では、1月23日から福知山~山陰~播但線、福知山~加古川線の2つの迂回ルートを設定、前者には直通快速を走らせ、後者にはノンストップ快速を走らせて和田山駅で特急等に接続させた。
          • 02) 神戸電鉄有馬線、三田線によって、神戸電鉄から三田駅を経由するルート、谷上から北神急行で新神戸へ入るルートも使われた。
          • 03) 2月20日、JR東海道線灘~神戸、阪神岩屋~三宮が開通して阪急御影~王子公園を乗り継ぐことで大阪~神戸の鉄道利用が可能となり、3社いずれの定期券・回数券を持つ人はどの線でも乗り継いで利用できることになった。
        • 03.運輸省に設置された「鉄道施設耐震構造検討委員会」により、補強による復旧方策、再構築する場合の復旧方策が検討された。補強せず再構築するに対しては「阪神・淡路大震災に伴う鉄道復旧構造物の設計に関する特別仕様」が示された。
          • 01) 運輸省は、1月18日に学識経験者や鉄道事業者からなる「鉄道施設耐震構造検討委員会」を設置し、被災原因の調査分析とともに被災鉄道施設の復旧の考え方、既存施設への対応方針、今後の耐震構造のあり方等に関する検討を行った。
          • 02) 検討委員会での検討をふまえて鉄道事業者が作成した復旧計画について、運輸省が復旧に関する特別な仕様として個別承認を行った。
          • 03)  4月27日、同検討委員会により「阪神・淡路大震災に伴う鉄道復旧構造物の設計に関する特別仕様」が示された。
        • 04.JR線の復旧にあたっては、損傷した高架橋支柱の部分補修、落下した橋桁等の再利用も行われた。
          • 01) 新幹線、山陽線の高架橋の橋脚・支柱については、修復可能なものは鋼板巻き付けなどの手法で補強するなどの方法がとられた。
          • 02) 落下したもののダメージを受けなかった高架橋床板部分の再利用が鉄道施設耐震構造検討委員会に了承されたため、工期が短縮されると同時に工費も節減された。
            • 05.私鉄では、高架率の高さ、高架下利用者との交渉、沿道倒壊家屋などから復旧に時間を要した。鉄道開通を優先させるため、仮復旧の後に列車走行中の線路下で工事が継続したところもあった。
              • 01) 高架率の高かった阪急電鉄は、そのために復旧が遅れたと言われている。
              • 02) 阪急電鉄・阪神電鉄では、高架下の利用者の立ち退き交渉が必要となることも復旧に時間を要する一因とされた。
              • 03) 沿道に家屋が密接していて工事用スペースが確保できなかったり、隣接家屋が倒壊したため瓦礫撤去のために住民や所有者の同意をとる必要もあった。
              • 04) 山陽電鉄塩屋駅付近では、まず鋼管杭の上にコンクリート桁をかけた軌道を敷設して列車を開通させた後、その下で基礎杭の橋脚本体を造るという工事が行われた。
                • 06.当初は復旧には長期間を要するのではないかと言われたが、被害の大きい駅を通過扱いするなどして復旧が進められ、8月23日の神戸新交通「六甲ライナー」全線開通を最後に、すべての鉄道が復旧した。
                  • 01) 大きな被害のため、当初は「梅田~三宮が開通するのは、早くても、あと1年半か2年はかかる」と言われた。
                  • 02) 神戸市営地下鉄は、途中の新長田・上沢・三宮の3駅を通過、一部徐行という形で2月16日に板宿~新神戸間を開通、神戸高速も大開駅通過という形で8月13日に開通した。
                  • 03) 当初4~5カ月必要と見込まれたJRの復旧は、在来線が4月1日、新幹線が4月8日の始発からの開通となった。
                  • 04) 8月23日、神戸新交通の六甲アイランド線(通称「六甲ライナー」)「魚崎−住吉」間の運転再開をもって、被災地内の鉄道はすべて復旧した。
                • 07.鉄道各社の施設被害額(復旧費用)は巨額にのぼったため、鉄道軌道整備法の一部改正により国庫補助が行われた。
                  • 01) 各社の復旧費用については、JR西日本1,020億円、阪急電鉄440億円、阪神電鉄457億円をはじめとして、総計2,380億円にのぼった。
                  • 02) このため政府は、鉄道軌道整備法を一部改正、同法にもとづく国庫補助198億円を阪神大震災復興対策として計上した。
                  • 03) 国・県等では、鉄道の復旧に際して必要となる諸手続きの迅速かつ弾力的な運用など、早期復旧のための支援を行った。▼
                  • 04) 兵庫県・神戸市は被災したバス事業者の支援のため補助事業制度を設けた。▼

          目次へ戻る

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.