阪神・淡路大震災教訓情報資料集【01】遺体対応

教訓情報資料集

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  • 1.第1期・初動対応(初動72時間を中心として)
    • 1-08.保健衛生
      • 【01】遺体対応
        • 01.遺体検視場所として計画されていた施設の被災や、多数の死者発生により、遺体の収容、遺体安置場所の確保は困難で、多数の施設に遺体が安置されることになった。遺体のための棺、ドライアイスが不足した。
          • 01) 遺体検視場所として計画されていた施設が被災したり、遺体安置場所に予定していた施設は多数の避難者で使用できないなどの状況が発生した。地元住民の救出救護活動等により、近くの小中学校や公的施設等へ運び込まれる遺体も多かった。
          • 02) 様々な施設が遺体安置所になった。避難者のいる避難所、負傷者の殺到した医療機関も遺体安置所となった。
          • 03) 遺体のための棺、ドライアイス、供花の白菊が不足した。葬儀社も多くが被災し、被災地外からの調達が必要だった。ボランティアグループの協力によって、防腐措置が施された例もある。
          • 04) 遺体安置場所では遺族、関係者以外は立ち入り禁止としたり、写真撮影等遺族感情を逆なでる無用なトラブルを避けるため、報道関係者を規制して検視業務が行われた。
        • 02.遺体検案は、監察医のほか一般臨床医も行った。数多くの遺体に対応するため、日本法医学会の応援などによる検死体制が構築された。
          • 01) 各警察署では、監察医以外の一般臨床医にも検案を要請していた。既に死亡した者まで医療機関に運ばれ一般臨床医により死体検案がなされた。このことが、医療資源が限られる中での救命医療の障害となったとの指摘もある。
          • 02) 19日以後、日本法医学会の応援態勢が整い、各遺体安置所での死体検案書の発行が可能となり、混乱は解消された。
          • 03) 警察による検視を経ないまま火・埋葬された遺体もあった。
          • 04) 法医学専門家と一般臨床医との検案結果に、死亡した時期、死因等に差があり、死体検案書の精度の偏在が問題となった。▼
          • 05) 監察医制度区域は神戸市の一部に限られ、区域外との検案体制の差は歴然としていた。そのため、阪神間での震災死亡者の死亡構造に関する検討は十分になされていない。▼
        • 03. 遺体検案書・埋火葬許可書などの書類作成、遺体引き取りの遺族対応も困難を極めた。
          • 01) 交通渋滞や電話の輻輳などの影響により、初期の検案医師の不足も影響して、遺族からの早急な遺体引き渡し要求、遺族に交付する死体検案書の作成の遅れなどで混乱が生じた。
          • 02) 行政機関が埋火葬許可書を発行することができず、許可書なしの火葬を認めるという特例措置がとられた。
        • 04.遺体数が被災地内の斎場の処理能力を上回ったため、他府県での火葬が実施され、自衛隊等による遺体搬送が行われた。
          • 01) 遺体数が被災地内の斎場の処理能力を大きく上回ったため、一時は空き地での「野辺の送り」も検討された。
          • 02) 神戸市衛生局は18日朝から火葬場の確保に奔走。周辺の市、京都、大阪などの政令指定都市にも応援を要請した。1日の遺体受入能力は被災市町288体、県内その他市町188体、大阪府、京都府、岡山県等の近接府県市241体など、計647体であった。
          • 03) 海上保安庁や自衛隊ヘリコプター及び自衛隊車両による搬送も行われた。
          • 04) 26日までに他府県を含め火葬された遺体数は約4800体であった。
        • 05.初期に弱者対応すべき福祉担当職員が遺体への対応にあたる計画となっていたことは、弱者への初期対応の遅れを招いた。(→「第2期 被災地応急対応,II.被災生活の支援・平常化,B.災害時要援護者への対応」参照)
          • 00) 26日までに他府県を含め火葬された遺体数は約4800体であった。

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