阪神・淡路大震災教訓情報資料集【03】病院間連携・患者搬送

教訓情報資料集

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  • 1.第1期・初動対応(初動72時間を中心として)
    • 1-04.救助・救急医療
      • 【03】病院間連携・患者搬送
        • 01.被害を受けた医療機関では、震災による負傷者や震災前からの入院患者の転院、通院患者の紹介なども必要だった。
          • 01) 被害を受けた病院では震災前からの入院患者を転院させるなどの対応も必要だった。
          • 02) カルテ散乱やコンピュータ停止のため、転院先、紹介先への診療データ引き継ぎも困難だった。
          • 03) 負傷者の治療は、ライフラインが停止し患者の殺到している被災地内の医療機関では限界があった。
        • 02.受け入れ先、搬送手段の確保が困難だったため、震災直後の後方医療機関への搬送は困難だった。
          • 01) 電話回線の混乱により消防本部、市町への連絡がとれなかったため、各医療機関による転院・転送先の確保は困難だった。
          • 02) 転送先の多くは、医師や看護婦等の個人的ネットワークによって確保されたとされている。
          • 03) 特に震災直後の搬送手段としては自家用車が多かったが、その後、病院の患者搬送車のほか、応援救急隊やヘリコプター、船舶も利用された。
          • 04) 地震発生後6時間以内に大阪府内の病院へ転送されたのは3例のみであった。大阪地区への搬送は地震発生30時間後からの12時間がピークだった。
          • 05) 震災から15日間に被災地内医療機関から後方医療機関へ搬送された患者数は1,774名、そのうち初期3日間に搬送されたのは36%だった。
        • 03.被災地周辺の医療機関は受け入れ体制を整えたが被災地との連絡はなかなかとれなかったので、医師自らが被災地に入り、患者を搬出してきた例も少なくなかった。
          • 01) 大阪府内の医療機関は、被災地内の医療機関との連絡を試みたが、当日連絡がとれたのはわずか15%、患者の搬送もわずかだった。
          • 02) 要請がなかったため、医師自らが被災地に乗り込み、患者等を被災地外へ転送した例もあった。
        • 04.被災地近隣医療機関は、自ら患者の治療にあたったほか、患者の受入と周辺病院への転送を受け持つ「ハブ的機能」も果たした。
          • 01) 大阪府内の三次救命救急センターでは、被災地からの患者受け入れと治療が行われた。
          • 02) 大阪府内の基幹病院は、被災地からの患者を受け入れ、周辺病院へ転送するハブ機能も果たした。
        • 05.患者搬送にあたっては最も威力を発揮するヘリコプターは、震災直後には十分活用されなかった。
          • 01) 緊急の患者搬送に最適なヘリコプター輸送は、初日には1件のみ、本格化したのは4日目以降だった。
          • 02) ヘリポートの確保も困難であった。航空法により民間ヘリコプターが臨時ヘリポートを利用できなかったが、1月20日、運輸大臣の指示で今回に限り認められることとなった。
          • 03) ヘリコプター活用が低調だった理由として、平常時における医療機関等の活用経験がほとんどなく関心も低かったことなどが指摘されている。
          • 04) 今後のヘリ活用のために、医療機関近隣のヘリポートの必要性が指摘されたが、一方で大量輸送の必要性、事故の危険性などから航空搬送に頼りすぎてはならないとの意見もあった。
            • 06.行政区域を越えた広域搬送のため、要請が必要とされたり、無線周波数が合わないなど、円滑な連携の障害もあった。
              • 01) 被災地内病院からの患者受入要請を受けたある病院では、地元消防本部に救急車を依頼したが、先方医療機関から依頼がないこと、それぞれの自治体間での協定がなかったことから単独では動けなかった。
              • 02) 広域応援の救急車は、無線の周波数が異なっていて交信できず、また地理や病院の場所が分からなかった。このため神戸市では、職員1名が案内役として救急車に乗り込んで救急活動を行った。

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