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阪神・淡路大震災教訓情報資料集【02】自治体の非常参集・災害対策本部

教訓情報資料集

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  • 1.第1期・初動対応(初動72時間を中心として)
    • 1-02.初動体制
      • 【02】自治体の非常参集・災害対策本部
        • 01.職員自身の被災、遠方からの通勤不能などにより、発災直後の自治体職員の参集状況は必ずしも良くなかった。市町首長の登庁にも時間を要した一方で、警察・消防職員の参集率は高かった。
          • 01) 職員自ら被災したために参集が困難だった。一方で、自宅周辺の被災状況によって災害の大きさを理解することが参集の動機付けとなった場合もあった。
          • 02) 遠方の職員は、被害の大きさに気づかなかったり、交通寸断にはばまれたために参集ができない例もあった。このため、市職員に比べて通勤圏域の大きい県職員は参集率が低かった。
          • 03) 各市町の首長の登庁時刻は、マイカーや徒歩で自ら出庁した場合と、公用車を待った場合とで大きく格差があった。
          • 04) 普段から災害対応を業務としている警察、消防職員の参集率は非常に高かった。
          • 05) 職場と家庭の狭間で、直ちに出勤した人、しなかった人、双方が問題を抱えた、とされる。☆
        • 02.神戸市役所など、災害応急対策の拠点となるべき施設の中には、建物の被害等によって初動態勢確立に支障をきたしたところがあった。
          • 01) 神戸市役所2号館は建物に大きな被害を受けたため、そこから必要資料等を運び出し、関係部局を別庁舎に移さなければならなかった。
          • 02) 建物被害を受けなかった場合でも、窓ガラスの被害のほか、内部で什器、備品類が倒壊するなどの被害を受けており、まずそれらの片づけをしなければならなかった。
          • 03) 停電、断水などにより施設機能が低下したため、活動に支障をきたした。
        • 03.状況を把握し、関係機関と連絡をとるための電話や通信システムは、輻輳や停電、施設被害などの影響で、当初は利用できなかった。
          • 01) 県、各市の災害対策本部では、電話回線の輻輳、問い合わせ電話の殺到などにより、防災関係機関相互の情報連絡に最も重要な電話がほとんど使えなかった。
          • 02) 兵庫県が導入していた「兵庫衛星通信ネットワーク」や防災行政無線も、停電や設備被害のために当初は使用できなかった。
        • 04.兵庫県警では、庁舎等の被害により、災害警戒本部を生田警察署に設置するなど、計画と異なる対応を余儀なくされた。
          • 01) 警察関係の施設にも大きな被害が発生した。
          • 02) 警備本部設置予定だった港島庁舎が液状化などの被害を受けたため、生田署に警備本部が設置された。
        • 05.被害情報の収集は、人命救助を優先せざるを得なかったこともあって非常に困難で、甚大な被害が発生していることが判明するためには時間を要した。
          • 01) 警察官などによる被害情報の収集は、人命救助を優先せざるを得ない場面が多く、困難だった。
          • 02) ヘリコプターによる被害状況の把握も行われたが、装備、性能面で限界もあった。
          • 03) 当初は被害情報の収集が進まず、死傷者数の把握にも時間を要した。通常は確実な数値情報を報告しているため、概括情報の報告に不慣れだったとの反省もある。
          • 04) 被害は、直接の被害情報だけでなく、あらゆる状況から類推すべきだったとも指摘された。
            • 06.災害対策本部における意思決定機構の明確化や、現場との情報連絡・共有が不十分だったための混乱も生じた。
              • 01) 災害対策本部と各部局にそれぞれ別個に情報が入り、それらをリンクして集約する機能が弱かった。部局単位の意思決定が行われることも少なくなかった。
              • 02) 一方で、各対策における現場判断優先や、現場への権限委譲も必要とされた。
              • 03) 現場で対応する職員に情報が行き渡らなかったため、対応が困難だった。しばらくして発行され始めた市民向けの広報紙が、職員にとっても有効な情報源となった。
              • 04) 被災自治体の議会も市当局と連携して、災害対策に取り組む体制を整えた。●
              • 05) 初動対応の問題点を引き起こした全体的な要因として、第1に「地域防災計画の不備」、第2に「起こりうるリスクの想定が甘すぎた」ことが指摘されている。●
                • 07.警察、消防、自衛隊など広域応援が必要とされたが、被害状況の把握が困難だった上、連絡手段となる電話の輻輳などによって、直後の要請は困難だった。
                  • 01) 神戸市からの要請を受けた兵庫県は、午前10時に自治省消防庁に対する消防広域応援要請を行った。一方で、消防本部の中には要請を受けずに出動を開始した部隊もあった。
                  • 02) 兵庫県は、午前10時、陸上自衛隊への派遣要請を行った。海上自衛隊、航空自衛隊への派遣要請は当日夜になった。一方で、芦屋市や伊丹市などのように、独自に災害派遣通知を行った自治体もあった。
                  • 03) 初動において自衛隊との連携が十分に図れなかった理由として、平常時から共同防災訓練などが行われず、防災に関する情報交換や人間関係が不足していたとの指摘もある。
                  • 04) 自衛隊では部隊の出動準備が早朝からなされていたことなどから、要請がなければ出動できない「要請主義」の弊害が指摘された。一方で、派遣要請をする余裕が無かったことや、要請そのものは必要であるとの指摘もある。
                  • 05) 海上自衛隊は陸上派遣隊を編成して、陸上自衛隊とともに活動した。☆
                • 08.被災市町の中には、防災行政無線・同報無線がなく住民への情報伝達手段は広報車のみの自治体もあった。一方で早期からマスコミへの記者発表によって情報提供を行った自治体もあった。
                  • 01) 被災市町の多くでは独自の防災行政無線や同報無線が整備されておらず、発災直後の住民への直接伝達手段は広報車が中心だった。
                  • 02) 神戸市では発災当日から災害対策本部に隣接してプレスルームを設置するなど、マスコミを活用して被災者への情報伝達が行われた。
                  • 03) 3日目から開始した放送協定に基づく放送は、2ヶ月以上にもわたり行われたが、緊急時を脱してもなお有効なものか、という課題が指摘されている。▼
                • 09.被災地の教育委員会や学校園の初動体制も備えがなく、困惑の中でスタートした。▲
                  • 01) 被災直後の学校園の対応としては、児童生徒の安否確認が最も重要な業務となった。▲
                  • 02) 学校園ではその他、安全確保、教職員の安否確認、避難所対応をはじめとする対応を実施した。▲
                  • 03) 教育委員会では、情報収集を行うとともに、当面の休校措置等を決定した。▲
                • 10.被災自治体の情報システムは速やかに復旧し、震災関連業務にも活用された。☆
                  • 01) 稼働時間外であったために情報システムの機器やデータの被害は概ね少なかった。☆
                  • 02) 情報システム本体が無事でも、建物の被害や、電力、空調、エレベータ等の停止の影響より、直後は使用困難となった。☆
                  • 03) り災証明や税等の減免処理など被災者救援をはじめとする震災関連業務に、情報システムは重要な役割を果たした。☆
                  • 04) 情報システムの復旧には、通信や交通等の混乱にもかかわらず、メーカー等の迅速な対応が行われた。☆
                • 11.自治体の災害対策本部のあり方や、災害対策に従事する職員に求められる能力等が提言されている。▼
                  • 01) 災害対策本部の組織や体制は臨機応変の改変が求められる。▼
                  • 02) 災害対策に従事する職員に求められる属性が示されている。▼
                  • 03) 災害時には、従事する職員のコミュニケーション能力が特に重要性を持つ。▼
                • 12.被災自治体の災害対策本部は、10年余を経て、全て廃止された。●
                  • 01) 被災自治体の災害対策本部は、10年余を経て、全て廃止された。●

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