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阪神・淡路大震災教訓情報資料集【05】道路・鉄道・ライフラインの被害

教訓情報資料集

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  • 1.第1期・初動対応(初動72時間を中心として)
    • 1-01.被害発生
      • 【05】道路・鉄道・ライフラインの被害
        • 01.道路橋では、1980年以前に建設されたコンクリート橋脚が破壊、崩壊したほか、多くの鋼製橋脚に座屈を生じた。液状化・側方流動により高速道路をはじめ多くの杭基礎が被害を受けた。落橋防止工が有効に作用せず、落橋が生じた例もある。
          • 01) 昭和55年道路示方書耐震設計編以前の基準により建設されたコンクリート橋脚は、水平方向の鉄筋量が少なくじん性に乏しかったことが原因と見られる破壊・崩壊を起こした。昭和55年道路示方書耐震設計編の基準によって建設されたコンクリート橋脚は概ね良好だったが、中には大被害を被ったものもある。
          • 02) 多くの鋼製橋脚が座屈を生じた。鋼構造物の多くは弾性領域内の設計が行われてきており、今回の地震により降伏後のじん性に関する研究の必要性が改めて認識されることとなった。
          • 03) 液状化および側方流動により高速道路をはじめとする多くの杭基礎が被害を受けた。中には基礎の移動のため落橋に至ったケースも認められた。
          • 04) 震災前より設置されていた落橋防止工が有効に作用せず幾つかの橋梁で落橋が生じた。
        • 02.鉄道では、在来線だけでなく新幹線や地下鉄にも大きな被害が発生した。1960年代から1970年代にかけて造られた高架橋に被害が生じたほか、新幹線を中心に山岳トンネルの覆工にひび割れおよびコンクリートの崩壊が生じた。
          • 01) 新幹線および在来線のコンクリート橋脚において、じん性不足に起因してせん断破壊が生じ、橋脚が崩壊した。地盤条件により地震動が大きく変化し、これが被害、無被害の差となって表われた。
          • 02) 被害を受けた高架橋はいずれも1960年代から1970年代にかけて造られたもので、1983年に制定された基準による高架橋では、軽微な損傷が一部に見られる程度だった。また、大正から昭和初期にかけて建設された高架橋では、破損・損傷は受けたものの破壊に至ったものはなかった。
          • 03) 地下鉄の大開駅をはじめとして多くの駅舎のコンクリート中柱が、地震動によって生じた地盤の大変位によりせん断破壊した。従来地中構造物は耐震設計が行われておらず、被害を受けた駅舎も同様であった。
          • 04) 在来線を中心に盛土のすべりと沈下、擁壁の移動が発生した。
          • 05) 新幹線を中心に山岳トンネルの覆工にひび割れおよびコンクリートの崩壊が生じた。山岳トンネルが断層横断部や抗口付近以外で大被害を受けたのは今回の地震が初めてである。
          • 06) 材料、施工上の問題も指摘されたが、被害の主因とはされなかった。
          • 07) 駅は旅客が集中する場所として、防災に最大限の配慮がなされねばならないとの指摘がある。▼
        • 03.上水道では、液状化などを原因とする地盤変動に伴い、配水管を中心に多くの被害が発生し、兵庫県内の10市7町では、全給水戸数の90%に相当する126万5,730戸で断水した。
          • 01) 臨海部や河川沿いの埋立地、六甲山系よりの傾斜地における配水管を中心に、液状化による過大な地盤のひずみおよび地盤のすべりが原因と見られる多くの被害が発生した。しかし、耐震継手を有するダクタイル管には液状化地盤においても被害が発生しなかったと報告されている。
          • 02) 一部地域において鋼管の溶接部に破断が発生した。山岳の導水路トンネルのコンクリート覆工が破壊・落下し、断層近傍域の強烈な地震動と覆工コンクリートの老朽化が原因と考えられる。
          • 03) 淀川の水を、神戸、尼崎、西宮、芦屋の4市に送っている阪神水道企業団も被害を受けた。可能な限り運転を再開するよう努めたが、管圧が上昇しない状況が続き、必要水量を供給するには至らなかった。
          • 04) 地震動および液状化により、沈殿池など池状施設においてコンクリート打継部の開口により漏洩が発生し、浄水場の機能が失われた。浄水場敷地の斜面が崩壊し、施設に損傷を与えた。
          • 05) 兵庫県と大阪府の32市9町で128万9,468戸の断水が発生した。特に兵庫県内の神戸市、阪神・播磨、淡路地域の10市7町では、全給水戸数140万3,000戸の90%に相当する126万5,730戸で断水した。
        • 04.下水道では、埋立地や沿岸部で、液状化に起因した地盤の側方流動により管継手の抜出し等の被害が多数発生した。埋立地にある下水処理場において液状化と側方流動が生じ、一部の下水処理場では完全に機能が喪失した。
          • 01) 液状化に起因した地盤の側方流動により、管継手の抜出し等の被害が多数発生し、ヒューム管などの継手の変位吸収能力は側方流動などに対して十分でないことが示された。マンホールの浮き上がりは一部地域を除いて発生しなかったが、その理由として、地震動の継続時間が短かったことや埋立地の地盤特性の影響が指摘された。
          • 02) 埋立地にある下水処理場において液状化と側方流動が生じ、管理棟、各種タンクおよび沈殿池の基礎杭が破損した。一部の下水処理場では完全に機能が喪失した。
            • 05.電話施設では、地震直後、交換機の商用電源の途絶とバッテリの倒壊や過放電が重なり、計28万5,000の加入回線の交換機能が停止、加入者ケーブル損傷によるサービス中断回線数は約20万回線に及んだ。
              • 01) 神戸市内の8局のNTT交換所では、商用電源の途絶とバッテリの倒壊や過放電が重なり、計28万5,000の加入回線が被災した。移動電源車による応急的な電源供給が確立されるまで、最長約30時間の通信機能麻痺の原因となった。
              • 02) 中継伝送路ではNTTの長距離伝送4区間で障害が発生したほか、日本テレコムではJR在来線に敷設したケーブルが被災、日本高速通信では阪神高速道路神戸線の倒壊でケーブルが切断された。
              • 03) NTTの通信施設は、洞道7箇所、管路5.9%(217km)、橋梁添架管路72箇所、マンホール10.0%(約2,600箇所)、地下ケーブルの 0.23%、電柱の1.5%、架空ケーブルの1.7%などの構造的被害を受けた。加入者ケーブル損傷によるサービス中断回線数は約20万回線だった。
              • 04) 通信建物については、大開、西宮の2つのビルが中規模程度の被害を受けたが、その他は軽微な被害であった。しかし、大開ビルおよび神戸港ビル屋上の鉄塔が損傷するなどの被害も発生した。
                • 06.電力施設では、発電所の主要設備には被害はなかったが、送変電設備及び配電設備の被害により約260万軒の停電が発生した。配電柱が多数被災したが、被害の約8割は家屋などの倒壊によるものであった。
                  • 01) 地震発生時、送変電設備及び配電設備の被害により283.6万kWの電力供給支障(停電変電所189箇所、停電配電線649回線)が生じ、兵庫県南東部、大阪府北部、淡路島を中心に約260万軒の停電が発生した。
                  • 02) 水力発電所、原子力発電所に被害はなく、損傷を受けたのは尼崎・大阪などの火力発電所であった。いずれも主要設備に致命的な被害はなかったが、埋立地盤の液状化により燃料タンク、タービン建屋等の基礎杭が破壊した例がある。
                  • 03) 送変電設備では、送電や変電機能に支障を生じた18変電所を含む50変電所で被害が発生。送電施設にも架空線で119線路の主要電気工作物(鉄塔11基、電線断絶3径間、がいし3基)が被害を受けた。
                  • 04) 多くの配電柱が倒壊した。被害の約8割は隣接構造物(家屋など)の倒壊によるものであるが、一部の配電柱では電柱自体の慣性力によると考えられるものもあった。また、従来は地震で被害を受けにくかった地中配電設備にも被害が発生した。
                    • 07.都市ガスの生産施設、高圧幹線には供給に支障を及ぼすような被害は発生しなかったが、中圧導管が106箇所も被害を受けたのはこれまでになかったことである。低圧導管が多数被災したが、耐震メカニカル継手、ポリエチレン管は無被害であった。
                      • 01) 都市ガスの生産施設には供給に支障を及ぼすような被害は発生しなかった。被害が発生しなかった理由の一つとして大規模な供給施設が液状化地域に設置されていなかったことも指摘された。
                      • 02) 高圧幹線に被害はなかったが、病院・斎場等の社会的に重要な施設へ直接供給している中圧導管が106箇所も被害を受けた。神戸高速鉄道駅舎部分の陥没、第2神明道路盛土の崩壊などの被害も受けたが、ガス漏れはなかった。
                      • 03) 低圧導管は、特にネジ継手部分を中心に26,459箇所で被災した。耐震メカニカル継手、ポリエチレン管は無被害であった。
                        • 08.廃棄物・ゴミ処理施設の被害は、相対的には軽かったが、ライフライン被害により稼働できない処理施設もあった。
                          • 01) 廃棄物・ゴミ処理施設の被害は相対的に軽く、ゴミ焼却施設20ヶ所、粗大ゴミ処理施設3箇所、ゴミ再生施設1箇所、し尿処理施設3箇所であった。
                          • 02) 施設自体の崩壊などの被害はないが、断水や停電などの影響で運転停止を余儀なくされた処理施設もあった。

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