具体化に向けた取組(基本方針)

基本方針

災害被害を軽減する国民運動の具体化に向けた取組について

「災害被害を軽減する国民運動の推進に関する基本方針」(平成18年4月21日中央防災会議決定)を踏まえ、さらに国民運動を推進していくため、次のような事項に取り組むべきである。

1.国民運動の全国的な枠組み作り
現在政府と協力して防災知識普及の事業を行っている防災推進協議会を拡大し、近年、新たに地域の防災活動を担いつつある多様な団体等の参加のもと、国民運動の全国的な枠組みを作り、その継続的な推進を図る。
この枠組みは、全国や各地域における連携の輪を広げることや、地域防災力強化の先進的な取組をネットワーク化するなどのほか、防災に関連する記念日・週間等の機会を生かした関連行事を開催する。
また、参加する各団体等は、国民運動をそれぞれの得意な分野や関心事項を生かして、互いに協力しながら意欲的に展開することが期待される。
これらの各団体等のうち全国的な団体は、全国レベルでの連携を密にし、各団体ごとに活動方針を伝達することにより、各地域における効果的な協力の構築を図る。
2.国民運動の展開に資する情報ライブラリの整備
減災のための活動を企画し実践する個人・団体等が知りたい情報やノウハウを、簡単に入手できるようにすることが必要である。このため各種の情報源が整備されることが望ましい。
そこで、まず内閣府の「みんなで防災」のホームページをもとに、上記1で述べた推進枠組みも協力して、国民運動の情報ライブラリとなるホームページを作成する。さらに企業、団体等が特色ある情報ライブラリを整備し、広く普及されることが望まれる。
国民運動の情報ライブラリは、広く国民や各企業、団体等から提供された、防災に取り組む際に必要な情報や防災まちづくりなどのノウハウを収録したデータベースであるとともに、他の有用なホームページとリンクするなど、郷土の防災史、洪水や土砂崩れ等のハザードマップなど防災に関する様々な情報にアクセスするための窓口機能も持つものとする。
3.ロゴ・マーク等の制定
防災活動への協賛、防災に関する付加価値、空間の安全性などを表示するロゴ・マーク等を制定し、広く活用することは、防災のための投資や備えと行動の促進に有効である。
このため、まず上記1で述べた推進枠組みがロゴ・マーク等の制定・活用を検討する。
さらに地域団体、経済団体、NPO等が、積極的にロゴ・マーク等を活用していく仕組みを検討し推進することが必要である。
4.社会的課題の一つとして防災を関連づけた企業活動の促進
社会的な課題、例えばガン撲滅、森林保護等の解決に向けて企業がこれに関連付けた活動を行い、収益の一部を問題解決に役立てる活動が行われているが、防災に関しても同様の手法が有効である。また、既存の公益的活動の中に防災の要素を加えることも同様に有効である。
これらの取組については上記1で述べた推進枠組みが、その推進役・支援役になることも期待される。さらに各企業等も進んで取り組むことが望まれる。
防災関連支出に係る融資への優遇金利などの経済的インセンティブの活用、防災関係の展示会や見本市の活用、防災の取組が優れているまちの安全性の周知、消防団協力事業所の表示や防災活動への表彰なども、防災に関連づけた企業活動の促進策として有効である。
また、各企業が様々な防災活動に協賛することや、先進的な取組を全国的に紹介しその取組を成長させるための様々なインセンティブを与えることが望まれる。
5.災害をイメージする能力を高めるコンテンツを広範かつ効果的に提供するための環境づくり
災害をイメージする能力を高める良質のコンテンツを子ども向け、大人向け、あるいは家庭向け、地域向けなど各々の対象別に広範かつ効果的に提供するための環境づくりが必要である。
そのため、上記2で整備する情報ライブラリを通じて各種コンテンツを提供する。このほか新たに各団体等が連携し、全国各地で商業施設や社会教育施設、あるいはビジネス街などで普及イベントを頻繁に開催し、防災教材及びその提供モデルの開発を行い、その成果を共有することが必要である。
これには、上記1で述べた推進枠組みも環境づくりの役割を果たしていくことが期待される。さらに広く国民の気づきを促すため、マスメディアなど多彩な媒体を通じた啓発活動や防災知識の普及が望まれる。
6.重点課題を設定することによる推進
国民運動の推進にあたっては、問題意識を広く共有することが重要であるため、時機に応じ重点課題をその都度設定することにより、上記1で述べた推進枠組みとその課題解決に積極的に取り組む団体が、当面の活動の目的と手段を明らかにすることが有効である。
当面の重点課題の例としては、建築物耐震化、家具の固定、企業・組織の事業継続計画(BCP)策定促進、家族同士の安否確認、緊急地震速報の活用、災害時要援護者の支援、消防団・自主防災組織の充実などが考えられる。
7.国民運動展開のためのノウハウ等の蓄積と活用
「災害被害を軽減する国民運動の推進に関する基本方針」をもとに、全国や各地域で様々な団体が協力して国民運動を展開するに当たっては、政府及び上記1で述べた推進枠組みとも連携しつつ、ノウハウ等を蓄積し、活用していく必要がある。
なお、当専門調査会が国民運動展開のためのノウハウについて調査検討した結果は次頁以降 別紙1 のとおりであり、調査検討の過程において参照した事例は 別表1 のとおりである。今後、これらの事例についての調査検討を一層進める必要がある。
今後このノウハウ等が多様な主体による運動の実践の中でさらに充実されていくことが望まれる。

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