仁淀川流域治水プロジェクト「安全に逃げる」対策~犠牲者ゼロを目指す!伊野地区自主防災会連合会の挑戦~
高知県いの町総務課危機管理室
1 いの町の地域特性
いの町は高知県の中央部に位置し、一級河川・仁淀川の支川である宇治川流域では、毎年のように水害が発生しています。1,000年に1度級の豪雨で仁淀川の堤防が決壊した場合、町中心部では深さ5m以上の浸水が想定され、最大で約1万人に命の危険が及ぶと公表されています。
2 伊野地区自主防災会連合会の取組
こうした中、危機感を持った宇治川流域の伊野地区自主防災会連合会は、「住民でできることはやろう」との決意のもと、行政と連携し、様々な取組を進めています。この活動は各自主防災会にも広がり、民間施設と連携した合同避難訓練を実施する地区もある等、大規模水害への備えが着実に進められています。
令和4・5年度(2022年度・2023年度)には、水害リスクの見える化と住民の危機意識向上を目的に、想定浸水深の調査や各地区の浸水マップの作成、それらを基にした住民研修会の開催を行いました。また、連合会内に「流域治水推進委員会」を設置し、推進委員を中心に取組の具体化を進めました。
令和6年度(2024年度)には、民間施設との緊急避難場所の協定交渉を行う等避難場所の確保を進め、住民検討会を通じて近隣の緊急避難場所を地域住民と共有しました。令和7年度(2025年度)からは、これらの取組を踏まえ、地域ごとの実践的な避難訓練の実施を予定しています。
この避難訓練では、地域ごとに近隣の避難場所へ実際に足を運び、避難経路を確認することが重要です。その中で、要配慮者の避難方法や、道が寸断されていた場合に他の経路はあるのか等、住民自身が様々な課題に気づくことが期待されます。こうして明らかになった課題をもとに、次の取組へとつなげていきます。

想定浸水深の調査

住民検討会

新町自主防災会と民間施設(グループホームゆとりの里)の合同避難訓練

住民検討会で使用した「伊野地区洪水避難地図」(地区ごとに連合会と町が共同作成)
3 最後に
伊野地区自主防災会連合会による住民主体の活動は、流域治水を含む防災の取組において、町が目指すべき姿であり、大変心強く感じています。「安全に逃げる」対策が進んでいることは行政主導ではなく、自主防災会を中心とした地域との連携があってこそだと実感しています。
今後も、自主防災会の主体性を尊重しつつ、町も協働の立場で関わりながら、住民が参画しやすい仕組みづくりや、「地域は地域で守る」意識づくりを進め、犠牲者ゼロを目指して取り組んでまいります。