防災の動き



岐阜県飛騨市 避難所運営 人材育成に力
岐阜県飛騨市危機管理課

1 はじめに

 人口減少と高齢化が加速するなか、市職員も減少し市外から通勤する職員も多いことから、「不特定多数」の避難者が押し寄せる指定避難所を職員だけで運営できるのか不安を感じていました。

 そこで、市内在住在勤の防災士に呼びかけ、職員と一緒になって指定避難所の運営を行う「飛騨市避難所運営協力防災士制度」を令和5年度にスタートしました。この制度は、以下の特徴があります:

(1) 市独自の避難所運営訓練への参加
(2) 協力防災士としての登録
(3) 災害発生時の避難所運営従事に対する謝礼

 現在77名が協力防災士に登録しており、昨年度には、文部科学省「学校安全総合支援事業」と連携し、中学生110人と協力防災士40人による大規模な避難所訓練を行う等、人材育成に力を入れています。

折り畳みベッド設置訓練

折り畳みベッド設置訓練

中学生と協力防災士による訓練振り返り

中学生と協力防災士による訓練振り返り

2 地域貢献への熱い想い

 「協力防災士」制度は、地域に貢献したい、もっと活動がしたい、自分の経験やスキルを避難所運営に活かしたい。という熱い想いを抱く防災士が力を発揮できる仕組みです。

 これまでに3回、独自の避難所運営訓練を開催し、毎回内容を変えながら参加者を募りました。参加された防災士は、皆さん意識が高く、訓練に向き合う姿は、真剣そのものでした。訓練終了後に「協力防災士認定書」をお渡しすることで、使命と誇りを持った協力防災士が、次々と誕生しています。

車椅子等に配慮した避難所レイアウト説明

車椅子等に配慮した避難所レイアウト説明

3 T・K・Bの実践~避難所のリアルを学ぶ

 令和6年(2024年)11月には、(一社)避難所・避難生活学会に講師を依頼し、内閣府が提唱する「避難所の生活環境改善」の取組である「T(トイレ)・K(キッチン)・B(ベッド)」の設置を実践する訓練を開催しました。

 特に、炊き出し訓練に重点を置き、以下の取組を行いました:

-適温でおいしく栄養バランスのとれた食事をプロの料理人と中学生が協力して調理
-関係者も含め200食を学校の家庭科室(調理室)という限られた環境下で調理
-「食寝分離」を学ぶため、校舎内に「仮設食堂」を設置

 これらの実践を通じて、災害関連死を防ぐために重要となる「避難所での食事」について学びました。

中学生とプロの料理人による炊き出し訓練

中学生とプロの料理人による炊き出し訓練

TKBについて学ぶ参加者

TKBについて学ぶ参加者

4 期待される効果

 このような取組により、以下の効果が期待されます。

(1) 「避難所のリアル」を学ぶことで実践的な人材を育成
(2) 「何をどうすれば良いのか」指示待ちではなく「自ら考え動ける人材」を育成
(3) 地域の避難所や自主防災組織への横展開
(4) 「地域防災力」の強化
(5) 若い世代の育成や世代を越えた学び合いによる地域の防災力強化

 協力防災士という制度により、積極的に立ち上がる住民が増えました。公助を補うかけがえのない存在として、今後も協力防災士制度を充実させていきます。

【文献】飛騨市,2024,「中学生と防災士による初の避難所設営訓練が行われました」(2024年11月26日)
https://www.city.hida.gifu.jp/site/koho/2024-11-10.html

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