防災の動き



災害時の糖尿病医療支援~SNSを利用した患者登録システムと災害訓練の実施
JADEC(公益社団法人日本糖尿病協会)

 糖尿病がある方、特にインスリン治療を必須とする患者さんは、災害発生時にインスリン注射を行えない環境に陥ると、生命の危機に直面します。そのため、JADEC(日本糖尿病協会)は、こうした方々のリスクを減らす目的で、LINE公式アカウントを利用した登録システムを構築し、2024年8月から運用を開始しました。

 このシステムは、インスリン治療を必須とする方を対象として、居住地や治療内容を予めJADEC公式LINEアカウントに登録するものです。そして、災害発生時に登録者がインスリンを持ち出せなかった場合に、位置情報等をLINEで送信すると、JADECから被災地での薬剤の入手方法等の情報を提供します。登録に当たりJADECの会員資格は不要で、現在、1型糖尿病のある方を中心に、約450人が登録しています。

 9月1日、JADECは、防災の日にあわせてこのシステムを使った防災訓練を実施しました。LINE上の情報受発信をスムーズに行うためのテストです。登録者が、災害モードになったLINE画面からSOS情報を送信すると、本部の管理者が情報をトリアージし、内容に応じた返信をするという流れで、約100人が参加しました。この訓練では、情報の送受信に大きなトラブルはなく、このシステムが有効に稼働することが確認できました。

 実施後の参加者アンケートでは、「体験できて、不安が薄らいだ」「安心材料が増えた」「防災準備に向けて動くきっかけとなった」等、肯定的な声が寄せられました。

 JADECは、今後、できるだけ多くの対象者に登録いただけるようシステムの改良を進めるとともに、関係省庁、関連学会、製薬企業等と連携して、災害時に薬剤を必要とする人に適切に薬剤が届けられる仕組みを作りたいと考えています。

 また、現在の登録システムは、インスリン治療が必須の糖尿病の方を対象としていますが、それ以外の糖尿病の方に向けても、平時及び災害時の糖尿病治療に有用な情報を配信するLINEアカウント開設を準備中です。公開時にはぜひ友だち登録していただけると幸いです。



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