工夫をこらした「あそぼうさい」で子どもたちが遊びながら防災を学ぶ
福岡県北九州市 認定NPO法人好きっちゃ北九州

九州第2の都市・北九州市を「もっと好きになってほしい」という想いで2008年から活動を続けている認定NPO法人好きっちゃ北九州。多岐にわたる活動の中で、特に力を入れているのが防災まちづくりです。
「地域づくりを進めるなかで防災活動の支援に関わっていたのですが、イベントを開催してもお年寄りしか集まらないという現実がありました。そこで2018年に始めたのが「あそぼうさい」の取組です。主として子どもたちをターゲットに、遊びながら防災を学ぶというツールで、子どもたちを取り込むことで多世代の交流を促し、防災まちづくりを実践する狙いもあります」と話すのは、好きっちゃ北九州理事長の入門真生さんです(入門さんは現役の消防士でもあります)。
「あそぼうさい」には、30を超えるユニークなプログラムが用意されています。例えば、ハンドベルを鳴らして緊急速報メールが届く際のメロディーを再現する「緊急速報ハンドベル」を通して緊急通報の音を認識したり、谷の形に折り曲げたダンボールに球を投げて下の籠に入れる「山の形ボール投げ」では、「どこに投げても必ず球は谷底に集まる=水や土石流が谷底に集まる」ことを体感したり、遊びを通して、子どもたちは防災に親しんでいきます。
特筆すべきは、「好きっちゃアカデミー」の存在です。市内の大学・高校の学生・生徒たちが好きっちゃ北九州の活動に参画しており、協働が実現しています。「あそぼうさい」には、多くのプログラムがあるため、イベント等では複数のブースが必要になります。そのブース運営は好きっちゃアカデミーが担っています。入門さんがアカデミーのメンバーに「○月○日○○で「あそぼうさい」のイベントをします」と呼び掛けると、希望者が手を挙げ、多くの参加者が集まります。
「私たちが活動の場をつくり、そこでアカデミーに活躍してもらうという形ですが、彼らのことを「便利に使える人手」とは考えていません。一人ひとりを個人として尊重し、お金の心配がなく参加できるように交通費も支給することも心掛けています。」(入門さん)
現在、「あそぼうさい」は、市内の校区単位で実施していますが、最近では、市外からの引き合いもあるといいます。
「現状、市外に出て活動することは考えていませんが、どこでもできるものですし、ツールのつくり方や遊び方も全てウェブで公開しているので、どんどん真似していただければ嬉しいです。」(入門さん)

八幡東区の「中央町商店街」で子ども食堂との共同企画として実施した「あそぼうさい」。「災害ダーツ」等ユニークなプログラムにアカデミーメンバーも大活躍。

「防災の日」「救急の日」にちなんで地元のJリーグクラブ「ギラヴァンツ北九州」とのコラボ企画で実施されたスタジアム前広場での「あそぼうさい」の様子。「大雨前線ゴルフ」やステージでのアカデミーによる○×クイズも。