絵本の力で100年先まで伝えたい、大切なこと 「防災100年えほんプロジェクト」について
阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター
1 はじめに
兵庫県神戸市にある、阪神・淡路大震災記念「人と防災未来センター」は、震災の経験と教訓を後世に伝えるため2002年に設立され、「展示」「資料の収集・保存」「災害対策専門職員の育成」「実践的な防災研究と若手防災専門家の育成」「災害対応の現地調査・支援」「交流・ネットワークの形成」という6つの機能を持つ施設です。
震災や防災・減災について学ぶことができる「展示」には、小・中学校等の学校団体を中心に年間約50万人の来館者があり、本年9月23日には、来館者1000万人を達成しました。
2 「防災100年えほんプロジェクト」について
当センターは、震災を知らない世代に対する防災教育に積極的に取り組んできました。
そして、2020年、新たに「防災100年えほんプロジェクト」を始動しました。
豊かな感性を育む幼児期に、大人から子どもに防災絵本を読み聞かせることで、無意識のうちに命を守る行動が身につき、大人になっても忘れないことが期待されます。幾世代にもわたって防災絵本を読み聞かせることで、親から子、子から孫へと世代間で継承していくことができ、日常の習慣として災害に遭遇しても負けない災害文化が定着することにつながります。
近年、日本だけでなく世界各地で様々な自然災害が起きています。100年先の未来まで防災の知恵を届け、海外への発信にも取り組み、世界の防災・減災に貢献することを目指しています。
2022年に第1期がスタートした本プロジェクトでは、絵本の原案となる物語を一般の方から募集し、入選した作品の中から絵本作家等による絵本化コンペを経て、本年3月に3冊の絵本が完成しました。物語の選考委員を務めていただいた竹下景子さん等を招いた出版記念フォーラムを開催しました。現在、第2期となる絵本を制作しており、来年3月には新たな防災絵本を発行予定で、これから毎年発行を予定しています。
3 終わりに
来年2025年1月17日に阪神・淡路大震災から30年を迎えます。今後も100年先まで伝えるため、様々な防災絵本を制作していきます。いずれはグリム童話やイソップ物語のように、世界中の人々に愛読される、世界の防災・減災に貢献できる絵本集となることを願っています。