フェーズフリーな防災用マットの導入で備蓄スペース不足を解消
岐阜県大垣市生活環境部危機管理室
1 フェーズフリーな防災用マットを導入
大垣市では、平常時は学校の椅子のクッションとして児童が使用し、災害時は面ファスナーで複数枚組み合わせることでマットとして使用できる、フェーズフリーな防災用マットを導入しました。
避難所における生活環境の改善を図るため、パーテーションや段ボールベッド等を備蓄していましたが、食糧や水のほか、必要な資機材は多岐にわたることから、段ボールベッド等を大量に備蓄することは、スペースの都合上できておりませんでした。
2 市内の小中学校で半年間の実証実験
そうした中で、大垣市に本社のある太平洋工業株式会社から「産業廃棄物を活用して防災に役立つものづくりがしたい」というお話をいただきました。子どもたちが学校で使えるクッションのようなものだということで、市の危機管理室と教育委員会も加わって意見交換を進めました。
製品化を進めるに当たり、ジェンダーレスなカラーや、平常時や災害時を問わず使用可能となるフェーズフリーな製品となるよう打合せを重ね、さらには、製品化に向けて、「防災用マットの開発に向けた実証実験に関する連携協定」を大垣市と大垣市教育委員会及び太平洋工業株式会社で令和5年9月に締結し、令和5年10月から市内の小中学校で半年間の実証実験を実施しました。実証実験を進める中で、児童に対して、使用した感想や意見についてのアンケートを複数回実施し、アンケート結果を踏まえ、実証実験期間中に製品改良を重ねました。実証実験を経てフェーズフリーな防災用マットが完成し、令和6年6月から市内全小学校の児童に対して配布しました。

平常時の使用風景

災害時を想定した使用風景
3 備蓄スペースの不足を解消
今回、導入した防災用マットは、平常時は児童が椅子のクッションとして使用するため、保管する必要がなくなり、備蓄スペースの不足を解消しました。また、環境・循環型社会、SDGs、福祉、防災の視点を取り入れた製品で、防災教育の教材としても今後活用が期待されます。
今回の防災用マットの配布を契機として、児童たちが友人や家族と災害時はどこへ避難するのか、避難所生活ではどのようなものが必要か等、防災についての話し合いのきっかけになればと思います。