4-2 二国間等防災協力
内閣府は国際機関を通じた取組に加え、海外からの防災を担当する閣僚級の訪問等の機会を通じて、防災政策の経験を共有するなど、世界各国の政府における防災担当部局との連携を深めている。
(1)日ASEAN防災閣僚級会合の開催を通じたASEANとの連携
「日ASEAN防災閣僚級会合」は日本とASEAN間の防災協力を一層強化するため、日本政府(内閣府)とASEAN加盟10か国の防災担当部局により、令和3年10月に発足した。
令和6年10月24日に「第4回日ASEAN防災閣僚級会合」がブルネイ・ダルサラームにて開催され、貫名内閣府大臣官房審議官(防災担当)が共同議長として出席し、令和4年に策定された「日ASEAN防災行動計画」の進捗状況を確認するとともに、日本の災害対応の経験を共有した。ASEAN日本政府代表部の紀谷大使も出席し、日ASEANの更なる協力関係強化の意思を表明した。また、令和6年はインド洋大津波の発生から20年の節目に当たることから、犠牲者を追悼し、ASEAN地域の20年の歩みを振り返る記念式典が執り行われた。
(2)G20防災作業部会を通じたG20各国との連携
令和5年にG20議長国インドにより、G20防災作業部会の設置が提起され、防災を取り巻く課題について国際社会が取り組むべき方針をまとめた議長声明の発表のほか、G20防災作業部会でのアジェンダや今後作成すべき成果物等の確認がなされた。「G20防災閣僚級会合」は、G20防災閣僚宣言の合意形成とその発表を行うため、令和6年にG20議長国のブラジルにより初めて提起され、G20各国の閣僚級代表の出席のもと令和6年11月に開催され、G20防災閣僚宣言が発表された。また、G20リオデジャネイロ首脳宣言においても、防災の重要性や国際社会による取組の推進の必要性が確認された。
(3)内閣府と米国連邦緊急事態管理庁(FEMA)との連携
米国連邦緊急事態管理庁(FEMA:Federal Emergency Management Agency)とは、平成26年12月に締結された協力覚書に基づき、国際会議やウェブ会議等を通じて情報共有や意見交換を実施している。
(4)日韓防災会議の開催を通じた日韓の連携
平成10年10月の日韓首脳会談の際に取り交わされた「21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップのための行動計画」に基づき、平成11年から毎年持ち回りで日韓防災会議を開催している。令和6年は12月9日に香川県高松市で開催された。会議には鳩山内閣府副大臣が出席し、日本からは能登半島地震における政府の対応、香川県における防災施策等を説明し、韓国からは避難所運営の改善や韓国の防災組織の変遷について紹介があった。また、同日に香川県庁の災害対策本部室や同県の防災センター等の視察を行った。
(5)防災技術の海外展開に向けた官民連絡会(JIPAD)の活動
「防災技術の海外展開に向けた官民連絡会(JIPAD:Japan International Public-Private Association for Disaster Risk Reduction)」は、我が国が強みを有する防災技術やノウハウを、官民が一体となり積極的に海外展開していくことを目的に令和元年に設立されたものであり、令和7年3月時点で210企業・団体が会員となっている。
JIPADでは、我が国の防災政策・技術・ノウハウを一体的に紹介するとともに、官民ネットワークを構築し、防災協力関係を強化する官民防災セミナー等を開催している。
令和6年10月には「第10回アジア太平洋防災閣僚級会議」のパートナーイベントとして、フィリピン・マニラにて、UNDRRや独立行政法人国際協力機構(JICA:Japan International Cooperation Agency)と連携し官民防災セミナーを開催した。同セミナーでは、地震計規格や耐震化といった大地震への備えをテーマとし、日本企業2社を含む民間企業が自社の防災技術や防災の取組を紹介した。パネルディスカッションでは、内閣府、国内外の民間企業や非営利団体等により、災害対策における官民それぞれの役割や取組実績、多様な主体の連携の重要性等が議論された。また、同会議の会場には、展示ブースエリアが設けられており、内閣府はJIPAD会員企業の協力のもとJICAとの共同ブースを出展し、日本の防災技術や知見を紹介する展示を行った。
その他にも、海外から防災行政幹部や担当官が訪日する機会を捉え、令和6年6月にはJICA研修で来日したインドネシア防災関連機関を対象に、官民防災セミナーを開催した。内閣府から日本の災害対策の知見を紹介するとともに、JIPAD会員企業がプレゼンテーションを行い、その後参加者との意見交換を実施した。