1-3 防災訓練・防災教育の取組
災害発生時には、国の行政機関、地方公共団体、その他の公共機関等の防災関係機関が一体となって、住民と連携した適切な対応をとることが求められることから、平時から関係機関が連携した訓練等、防災への取組を行うことが重要である。このため、防災関係機関は災害対策基本法(昭和36年法律第223号)、防災基本計画、その他の各種規程等に基づき、災害発生時の応急対策に関する検証・確認と住民の防災意識の高揚を目的として、防災訓練を実施することとされている。
令和6年度は、防災訓練実施に当たっての基本方針や政府における総合防災訓練等について定めた「令和6年度総合防災訓練大綱」(令和6年6月28日中央防災会議決定)に基づき、以下のような各種訓練を実施した。
(1)「防災の日」総合防災訓練
令和6年9月1日の「防災の日」に、首都直下地震発生直後を想定した岸田内閣総理大臣(当時)を始めとする閣僚による官邸への徒歩参集訓練、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震を想定した北海道知事、釧路市長及び根室市長も参加する緊急災害対策本部会議の運営訓練を行い、また、東京都板橋区を主会場とする九都県市合同防災訓練に岸田内閣総理大臣(当時)や関係閣僚等が現地調査訓練として参加する予定であったが、令和6年台風第10号の接近に伴い特定災害対策本部が設置されたことから、いずれも中止となった。
(2)政府図上訓練
令和6年11月に日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震を想定した緊急災害対策本部事務局運営訓練(内閣府(中央合同庁舎8号館他))と緊急災害現地対策本部運営訓練(札幌第1合同庁舎)を連動させて実施した。本訓練においては、関係府省庁職員や北海道の職員が参加し、訓練会場に参集した上で、実際の災害に近い状況を模擬した状況付与型訓練と、災害発生時に関係機関の連携を要する課題等について討議する討議型訓練を実施した。
地域ブロックごとの訓練では、被災が想定される都道府県と連携し、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、首都直下地震及び南海トラフ地震を想定した緊急災害現地対策本部運営訓練を実施した。令和6年11月に東北(盛岡市)、同年12月に首都圏(千葉市)、令和7年1月に九州(熊本市)、同年2月に四国(高松市)、中部(名古屋市)において、現地に参集した上で、状況付与型訓練と討議型訓練を実施した。
(3)防災教育の取組
<1>防災教育の展開
全ての国民が災害から自らの命を守るためには、災害時に国民一人一人が適切な行動をとることができるようになることが極めて重要である。このため、こどもの頃から必要な防災知識や主体的な防災行動を身に付けることができるよう、実践的な防災教育を全国に展開していく必要がある。
政府においては令和4年3月に閣議決定された「第3次学校安全の推進に関する計画」に基づき、
- 全国全ての学校で地域の災害リスクや正常性バイアス等の必要な知識を教える実践的な防災教育や避難訓練を実施できるよう、発達段階を考慮した防災教育の手引きを新たに作成し周知する
- 学校現場で活用しやすい教材やデータ等を作成し、その普及を図るとともに、特に幼児期からの防災教育については、家庭に向けた情報伝達・啓発を行うためのひな形も含めて幼児向けの教材を作成し、保護者及び幼児に対する防災教育の充実を図る
- 実践的な避難訓練の実施状況や見直しの状況を始めとする全国の学校の防災教育に関する実施内容を定期的かつ具体的に調査し、主要な指標を設定し、その状況を公表する
などの取組を進めている。
令和6年度は、文部科学省において、特別支援教育に関わる教員向けの防災教育の手引きを作成するとともに、内閣府においては、未就学児及びデジタル技術を活用した防災教育の充実に向けた事例収集等を行った。
<2>防災教育の活動支援
防災教育への意欲を持つ全国各地の団体・学校・個人などの多様な主体が連携した防災教育活動を募集し、1年間にわたって有識者の助言や活動資金等の支援を行う「防災教育チャレンジプラン」は平成16年度にスタートし、令和6年度までに延べ366団体の実践活動を支援した。
次年度の実践団体の募集においては、時代に即した歓迎テーマとして、<1>「多様な主体と連携した防災教育」、<2>「火山防災教育」、<3>「令和6年能登半島地震など近年の災害経験や教訓などを踏まえた防災教育」を設定し、その結果、63件の応募があり、最終的に13団体を実践団体として選定した。これまでの実践内容や活動の様子などは、「防災教育チャレンジプラン」ホームページにおいて公開している。
(参照:https://bosaijapan.jp/challenge-plan/)
