2 地震災害対策
2-1 地震に関する調査研究
(1)地震調査研究推進本部
地震調査研究推進本部(本部長:文部科学大臣)は、「地震調査研究の推進について -地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策(第3期)-」(令和元年5月31日地震調査研究推進本部決定)等の方針に基づき、地震調査研究を政府として一元的に推進する。文部科学省においては、上記方針等に基づき、活断層調査の総合的推進等を行う。
- 令和6年度予算額
- 680百万円
- 令和5年度予算額
- 738
(2)南海トラフ海底地震津波観測網の構築・運用
文部科学省においては、南海トラフ地震の想定震源域のうち、まだ観測網を設置していない西側の海域(高知県沖から日向灘)に新たに南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)を構築し、得られた観測データを地震・津波研究へ活用するとともに、気象庁の各種業務への活用を進める(後掲 第1章3-1(1))。
- 令和6年度予算額
- 429百万円
- 令和5年度予算額
- 55
(3)海底地震・津波観測網の運用
文部科学省においては、海域で発生する地震・津波を即時に検知して緊急地震速報や津波警報等に活用するとともに、海域の地震発生メカニズムを精度良く解明するため、南海トラフ地震震源域に整備した地震・津波観測監視システム(DONET)、新たに整備中の南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)の一部及び東北地方太平洋沖を中心とする日本海溝沿いに整備した日本海溝海底地震津波観測網(S-net)を運用する。また、首都圏の揺れを詳細に観測し直下の地震活動等を高精度に把握することを目的とした首都圏地震観測網(MeSO-net)を運用する(後掲 第1章3-1(2))。
- 令和6年度予算額
- 1,109百万円
- 令和5年度予算額
- 1,157
(4)地震の発生及びその災害誘因の予測等に関する基礎的研究の推進
文部科学省においては、「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)の推進について(建議)」(令和5年12月22日)に基づいた5か年計画(令和6~10年度)により、国立大学法人等における地震現象の解明、地震活動の予測、津波や地震動などの災害誘因の予測などに関する研究や、防災リテラシー向上のための研究を推進するとともに、南海トラフ沿いの巨大地震など、災害科学として特に重要な事象について総合的研究を実施し、関連分野間の連携強化を通じた「総合知」により成果創出を目指す。
(5)地震防災研究戦略プロジェクト
文部科学省においては、「通常と異なる現象」が観測された場合の地震活動の推移を科学的に評価する手法開発や、被害が見込まれる地域を対象とした防災対策の在り方などの調査研究により、地震被害の軽減を図るため、「防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト」を実施する。
また、これまで蓄積されてきた多様かつ大規模な地震データ等を活用し、IoT・ビッグデータ・AIといった情報科学分野の科学技術を採り入れた調査研究等を行い、従来の地震調査研究に革新的な知見をもたらすことを目指し、「情報科学を活用した地震調査研究プロジェクト」を実施する。
- 令和6年度予算額
- 415百万円
- 令和5年度予算額
- 566
(6)海域で発生する地震及び火山活動に関する研究開発
国立研究開発法人海洋研究開発機構においては、海底地殻変動の連続かつリアルタイムな観測システム開発・整備、海底震源断層の広域かつ高精度な調査を実施する。さらに、観測データをもとに、より現実的なモデル構築及び推移予測手法の開発・評価を行う。また、海域火山の活動を把握するために海域火山活動観測システムを開発する(後掲 第1章5-2(2))。
(7)活断層評価の研究
国立研究開発法人産業技術総合研究所においては、地形・地質学及び地球物理学的知見を取り入れて社会的に重要な陸域及び沿岸海域の活断層情報を収集し、過去の地震活動を解明する。また地震発生ポテンシャル評価のための地殻応力・地下構造情報の整備を行う。
(8)海溝型地震評価の研究
国立研究開発法人産業技術総合研究所においては、南海トラフ地震の短期的な予測を目標とした地下水・地殻変動の観測施設の整備及び観測データの解析並びに地形・地質学的手法に基づいた過去の海溝型巨大地震・津波の発生履歴解明及び津波波源の推定を行う(後掲 第1章3-1(3))。
(9)地震災害予測の研究
国立研究開発法人産業技術総合研究所においては、地震動予測や断層活動による地表変形を評価するため、都市に広がる平野部において地下地質情報の3次元モデル構築及び沿岸域の地質や地盤による地震動特性の違いに関する研究を進める。また、過去の地震を再現できる高度化した震源断層モデルの開発や断層破壊メカニズムの解明を進める。
(10)防災・減災に資する地殻変動情報の抽出関連研究の推進
国土地理院においては、地殻活動モニタリングを強化し、また地殻活動を解明するため、測地観測データを用いた研究を行う。また、地震予知連絡会を開催し、地震予知に関する調査・観測・研究の情報交換及び学術的検討を行う。
- 令和6年度予算額
- 85百万円の内数
- 令和5年度予算額
- 64百万円の内数
(11)測地技術を用いた地殻変動の監視
国土地理院においては、電子基準点等によるGNSS連続観測や、人工衛星の観測データを用いたSAR干渉解析等により地殻変動の監視を行い、得られた情報を災害対策の判断に資する資料として防災関係機関等へ提供する(後掲 第2章5-3(4))。
- 令和6年度予算額
- 1,050百万円の内数
- 令和5年度予算額
- 1,090百万円の内数
(12)地震に関する調査研究
気象庁においては、気象研究所を中心に地震の監視・予測技術の開発・改良に関する研究を推進する。また、南海トラフで発生する地震の規模、破壊領域やゆっくりすべりの即時把握に関する研究等を行う(後掲 第1章3-1(4))。
- 令和6年度予算額
- 30百万円の内数
- 令和5年度予算額
- 31百万円の内数
(13)地震観測等
気象庁においては、全国における地震観測、地殻岩石ひずみ観測、地磁気観測等を行う。また、気象庁及び関係機関の地震に関する基盤的調査観測網のデータを収集し、その成果を防災情報等に活用するとともに、地震調査研究推進本部地震調査委員会に提供する(後掲 第2章2-3(10)、3-3(5))。
- 令和6年度予算額
- 1,392百万円
- 令和5年度予算額
- 1,388
(14)海底地殻変動観測等
海上保安庁においては、巨大地震の発生が懸念されるプレート境界域における海底基準局を用いた海底地殻変動観測、験潮所による地殻変動監視観測、人工衛星レーザー測距観測を実施し、プレート運動の把握等を行う。
- 令和6年度予算額
- 48百万円
- 令和5年度予算額
- 51