第1章 科学技術の研究
1 災害一般共通事項
(1)情報収集衛星による自然災害観測・監視技術
内閣官房内閣情報調査室においては、情報収集衛星を運用し、災害発生時に関係機関に対して情報収集衛星で撮像した被災地域の画像の提供を行うほか、大規模災害等事態が発生した場合において必要と認められるときは、情報収集衛星により得られた画像情報に基づく加工処理画像を公開して、被災等の状況の早期把握等に貢献する。
- 令和6年度予算額
- 62,250百万円の内数
- 令和5年度予算額
- 62,508百万円の内数
(2)総合科学技術・イノベーション会議による防災科学技術研究の推進
総合科学技術・イノベーション会議においては、第6期科学技術・イノベーション基本計画、統合イノベーション戦略等に基づき、我が国及び国民の安全・安心の確保に向けた取組の一環として防災・減災機能強化のための科学技術研究、危機管理技術等の研究開発の推進を図る。
<1>戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)
令和5年度に開始した「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」第3期の「スマート防災ネットワークの構築」において、現実空間とサイバー空間を高度に融合させ、先端ICT、AI等を活用した「災害対応を支える情報収集・把握のさらなる高度化」と「情報分析結果に基づいた個人・自治体・企業による災害への対応力の強化」を実現するため、国や地方自治体の災害対応に関する意思決定を支援するための情報システム等の研究開発及び社会実装の取組を推進する。
- 令和6年度予算額
- 科学技術イノベーション創造推進費
55,500百万円の内数 - 令和5年度予算額
- 科学技術イノベーション創造推進費
55,500百万円の内数
<2>研究開発とSociety5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)
内閣府においては、令和5年度に各省庁の研究開発のみならず施策のイノベーション化に向けた取組を支援する「研究開発とSociety5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)」を開始した。内閣府としても、各省庁におけるイノベーション化に向けた、防災・減災機能強化のための科学技術研究、危機管理技術等の研究開発等の施策に対して支援できるよう、引き続き各省庁と検討していく。
- 令和6年度予算額
- 科学技術イノベーション創造推進費
55,500百万円の内数 - 令和5年度予算額
- 科学技術イノベーション創造推進費
55,500百万円の内数
(3)防災リモートセンシング技術の研究開発
国立研究開発法人情報通信研究機構においては、電波や光を用いて広範囲の大気状況や地表面の様子を迅速に把握するリモートセンシング技術に関する研究開発を進める。また、総務省では膨大なリモートセンシングデータをリアルタイムで伝送するための研究開発を進めるとともに、国立研究開発法人情報通信研究機構と一体となってリモートセンシング技術の社会実装に取り組む。
(4)レジリエントICTに関する研究開発等
国立研究開発法人情報通信研究機構においては、大規模災害や障害等の様々な事象によって引き起こされる非連続な変化に対応が可能な、ネットワークの障害検知・予測及び適応制御技術、IoT等による柔軟な情報収集と総合的な可視化・解析の基盤技術、持続性に優れたレジリエントICT基盤技術等の研究開発を推進するとともに、研究開発成果の普及や社会実装について、継続的に取り組む。
(5)グローバル環境計測技術の研究開発
国立研究開発法人情報通信研究機構においては、雲、降水等の大気海洋圏の高精度計測のために、電波センサー技術、解析・検証技術等の研究開発を行う。
(6)宇宙天気予報の高度化の推進
国立研究開発法人情報通信研究機構においては、太陽活動や電離圏・磁気圏の変動によって航空無線、電力網、通信・放送・測位システムなどの社会インフラに異常を発生させるおそれがあることから、宇宙天気予報の24時間365日運用、予報の毎日2回配信等を引き続き着実に実施するとともに、警報の対象やユーザーへの影響を分かりやすく示した新たな警報基準を策定する等、宇宙天気予報の高度化に取り組む。
(7)消防防災科学技術研究推進制度(競争的研究費制度)の促進
消防庁においては、消防防災科学技術研究推進制度(競争的研究費制度)により、AIの活用を含めたDXに関する研究開発を始め、消防防災行政に係る課題解決や重要施策推進のための研究開発、「統合イノベーション戦略2023」(令和5年6月9日閣議決定)等の政府方針に示された目標達成に資する研究開発に重点を置き、消防機関等が参画した産学官連携による研究開発を推進する。
- 令和6年度予算額
- 138百万円
- 令和5年度予算額
- 135
(8)災害時の消防力・消防活動能力向上に係る研究開発
消防庁消防研究センターにおいては、大規模自然災害時においてより多くの国民の生命を守るため、要救助者を迅速かつ安全に救助するための現場対応型情報収集システムと情報分析・評価手法の開発及び自力避難困難者の円滑かつ安全な避難に関する研究開発を行う。
- 令和6年度予算額
- 56百万円
- 令和5年度予算額
- 58
(9)衛星等による自然災害観測・監視技術
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構においては、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)等を運用し、国内外の防災機関に大規模災害における被災地の観測画像の提供を行う等、災害状況の把握に貢献する。
(10)デジタル技術を活用した防災・減災に関する総合的な研究開発の推進
国立研究開発法人防災科学技術研究所においては、社会を構成する多様な主体が科学的知見に基づく適切な意思決定が行えるよう、防災・減災に係るデータの統合・流通基盤の整備や、復旧・復興までのモデル化とシミュレーション技術の開発、ハザード・リスク評価、対策・対応プロセスに関するシミュレーションを活用した研究開発を推進し、その成果を統合・可視化させた情報プロダクツを生成・利活用するための基盤整備を実施する。
(11)防災・減災のための基礎・基盤的研究開発の推進
国立研究開発法人防災科学技術研究所においては、地震・津波・火山、気象災害等やそれらが複合した災害の被害軽減に向けた研究開発を実施する。具体的には、陸海統合地震津波火山観測網(MOWLAS)のデータを活用した地震動等の情報を即時的・逐次的に提供するための研究開発や、火山災害の即時・推移予測技術等の研究開発、マルチセンシング技術やシミュレーション技術を活用した気象災害の予測技術やハザード評価技術の研究開発を実施する。
(12)農作物、農業用施設等の災害防止等に関する研究
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構においては、耐冷性・耐寒性・耐湿性・高温耐性品種の育成や、作物の気象災害の防止技術に関する研究、農村地域の強靱化に資する防災・減災技術の開発に関する研究を行う。
(13)漁港・海岸及び漁村における防災技術の研究
国立研究開発法人水産研究・教育機構においては、漁村地域の防災・減災機能を強化するために、漁港施設・海岸保全施設の耐震・耐津波に関する研究を行う。
(14)港湾・海岸及び空港における防災技術の研究
国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所においては、既往の災害で顕在化した技術的な課題への取組を継続しつつ、沿岸域における災害の軽減と復旧に関する研究開発課題に取り組む。
(15)船舶における防災技術の研究
国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所においては、船舶の安全性向上や海難事故防止に係る技術開発を進めることにより、海難事故を削減するため、海難事故等の原因究明手法の深度化、防止技術及び適切な再発防止策の立案に関する研究等を行う。
(16)災害等緊急撮影に関する研究
国土地理院においては、関係機関の迅速な災害対応に資することを目的に、デジタル航空カメラや航空機SAR等を用いた、地震、火山噴火、水害等の被災状況の把握、迅速な情報提供を行うための手法の検討を行う。
- 令和6年度予算額
- 135百万円
- 令和5年度予算額
- 135
(17)自然災害からいのちと暮らしを守る国土づくりに関する研究
国立研究開発法人土木研究所においては、自然災害の外力が増大し激甚化しているとともに、自然災害の発生が頻発化していることへの対応として、災害予測技術の開発、大規模な外力に粘り強く耐える施設の開発など、新たな技術的課題へ即応するための研究開発を行う。
(18)気象・水象に関する研究
気象庁においては、気象研究所を中心に気象業務に関する技術の基礎及びその応用に関する研究を推進する。特に気象観測・予報については、台風や線状降水帯等による集中豪雨等の監視・予測技術に関する研究等を行う。また、地球温暖化対策に資するため、数値モデルの改良を行う。
- 令和6年度予算額
- 969百万円
- 令和5年度予算額
- 1,046