令和3年版 防災白書|第2部 第3章 4 4-3 その他


4-3 その他

(1)土砂災害・水害等の災害時における避難対策等の推進

内閣府においては、東京都とともに首都圏における大規模水害からの広域避難の検討を進めるととともに、平成30年7月豪雨の教訓を踏まえ、関係機関と連携して地域の災害リスクの把握等による住民避難の実効性を高めるための対策の検討を行った。また、令和元年台風第19号等を踏まえ、中央防災会議の下にワーキンググループを設置し報告書を取りまとめるなど、土砂災害・水害等の災害時における避難対策の検討を行った。

(令和元年度決算額 107百万円)

(2)風水害に対する警戒体制の強化

警察庁においては、管区警察局及び都道府県警察に対して、災害危険箇所の事前把握、災害の発生が予想される場合における警備体制の早期確立、部隊派遣の検討・実施、自治体・関係機関との連携による迅速な避難誘導の徹底を指示するなど、警戒警備体制の強化を図った。

(3)風水害対策の推進

消防庁においては、災害応急対策の実施体制の確立、迅速かつ的確な避難勧告等の発令・伝達、災害危険箇所等に対する措置及び指定緊急避難場所等の周知、避難行動要支援者等の避難対策の推進、防災訓練の実施等について地方公共団体に対し要請・助言等を行った。

(4)災害時要援護者関連施設に係る防災対策の推進

農林水産省においては、災害時要援護者関連施設を保全するため、本施設に係る山地災害危険地区及び農地地すべり危険箇所等の周知を図るとともに、治山事業及び農地防災事業等による防災対策を推進した。

(令和元年度決算額 161,564百万円の内数 ※この他に農山漁村地域整備交付金の内数)

(5)山地災害防止のための普及啓発活動

農林水産省においては、山地災害の未然防止について、住民への山地災害危険地区等の周知徹底及び防災意識の高揚に資することを目的に、山地災害防止キャンペーン(5月20日~6月30日)を実施した。

(6)国土交通省の水災害に関する防災・減災対策の推進

国土交通省においては、近年の巨大台風等に伴う大規模な災害の頻発化・激甚化を踏まえ、水災害が発生した際に実施すべき対策を具体化して取組を強化するために設置した「国土交通省水災害に関する防災・減災対策本部」において、水災害対策に取り組むとともに、この取組を更に発展させるべく、令和2年1月に「国土交通省防災・減災対策本部」を設置し、総力を挙げて防災・減災対策を進める体制を構築するなど、水災害対策を推進した。

(7)要配慮者利用施設に係る防災対策の推進

国土交通省においては、要配慮者利用施設の土砂災害対策について、土砂災害防止施設による保全対策を重点的に推進した。

また、「水防法」及び「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)」に基づき、市町村地域防災計画において浸水想定区域内又は土砂災害警戒区域内の要配慮者利用施設の名称及び所在地、情報伝達体制等を定めるとともに、これら要配慮者利用施設の管理者等による避難確保計画の作成及び計画に基づく訓練の実施を促進するなど、引き続き警戒避難体制の充実・強化を図った。

(8)河川情報基盤整備の推進

国土交通省においては、近年、増加する集中豪雨や局所的な大雨による水害や土砂災害等に対して、適切な施設管理や避難行動等の防災活動等に役に立てるため、洪水時の水位観測に特化した低コストな水位計や簡易型監視カメラの整備を推進した。

(9)河川情報の提供の推進

国土交通省においては、観測施設等を適切に維持管理するとともに、災害時における迅速な危機対応が可能となるよう、リアルタイムのレーダ雨量、洪水予報、河川カメラ画像等の河川情報を一元的に提供する「“気象”ד水害・土砂災害”情報マルチモニタ」の運用を開始した。また、メディア等と連携した「住民の自らの行動に結びつく水災害ハザードマップ・リスク情報共有プロジェクト」を推進するとともに、台風接近前などには地方整備局と地方気象台での合同記者会見やSNS等による防災情報発信など、住民の適切な避難行動等を支援した。

(10)国土交通省と気象庁との河川及び気象等に関する情報のリアルタイム交換の整備

国土交通省と気象庁においては、「水防法」及び「気象業務法」に基づき共同で実施する洪水予報業務その他の業務の高度化に資するため、それぞれの保有する河川及び気象等に関する情報のリアルタイム交換を行った。

(11)総合治水対策の実施

国土交通省においては、浸水被害の著しい既成市街地が大部分を占める河川流域等について、河川や下水道の整備、流域の保水・遊水機能の確保等を行うための流域貯留浸透事業等の総合治水対策を推進した。また、内水被害を軽減するため、地方公共団体と協力して、土地利用規制策等のソフト対策と一体となった計画を策定し、総合内水対策を推進した。

(12)総合的な都市型水害対策の推進

国土交通省においては、「特定都市河川浸水被害対策法」に基づき、浸水被害等の著しい都市部の河川の流域において、河川管理者、下水道管理者及び地方公共団体が共同で策定する流域水害対策計画に沿った総合的な都市型水害対策を推進した。

(13)被害想定区域図等の作成及び公表

国土交通省においては、「水防法」に基づく想定最大規模の降雨(洪水・内水)・高潮に対応した浸水想定区域図の作成や「土砂災害防止法」に基づく土砂災害警戒区域等の設定を促進し、市町村による洪水・内水・高潮及び土砂災害に係るハザードマップの作成・公表を支援した。その他、ハザードマップの作成・公表状況を関係自治体間で共有する等、関係自治体と連携し、住民の防災意識の高揚と災害への備えの充実を図った。

(14)氾濫域対策の推進

国土交通省においては、洪水被害が度々生じているにもかかわらず、上下流バランス等の理由から早期の治水対策が困難である地域において、輪中堤の築造、宅地の嵩上げ等を推進することにより、住家の洪水による氾濫からの防御を図った。

(15)総合的な土砂災害対策の推進

国土交通省においては、人命を守ることを最優先に砂防堰堤の整備等のハード対策と、警戒避難体制の整備等のソフト対策を組み合わせた総合的な土砂災害対策を実施した。ソフト対策としては、都道府県が行う土砂災害警戒区域の指定や情報基盤整備等に対して支援を行った。また、深層崩壊に伴う河道閉塞等の大規模な土砂災害が急迫している地域において、「土砂災害防止法」に基づく緊急調査を行い、被害の想定される区域等に関する情報の周知を図った。

(16)土砂災害防止のための普及啓発活動

国土交通省においては、土砂災害による人命、財産の被害の防止・軽減に資することを目的として、土砂災害防止月間及びがけ崩れ防災週間を実施し、土砂災害防止に関する広報活動や防災教育の推進、土砂災害防止功労者の表彰、危険箇所の周知、点検、避難訓練等を実施した。

(17)水防に関する普及啓発活動

国土交通省においては、水防に対する国民の理解を深めるとともに広く協力を求めるため、水防月間において、都道府県、水防管理団体等とともに各種の行事、活動を実施した。また、市町村等職員に対する水防研修、水防団員に対する水防技術講習会を実施した。

(18)地下駅等の浸水対策

国土交通省においては、各地方公共団体の定めるハザードマップ等により浸水被害が想定される地下駅等(出入口及びトンネル等)について、止水板や防水ゲート等の浸水対策を推進した。

(令和元年度決算額
     鉄道施設総合安全対策事業費補助 6,344百万円の内数
     都市鉄道整備事業費補助(地下高速鉄道)) 6,042百万円の内数)

(19)港湾における災害対応力強化

(再掲 第3章2-3(9)3-3(5)

(20)予報、警報その他の情報の発表及び伝達

気象庁においては、避難勧告等の判断等、地方公共団体等が行う災害応急対策や、国民の自主的防災行動に資するため、気象、高潮及び洪水に関する予報及び警報並びに大雨警報・洪水警報の危険度分布等の防災気象情報の発表をするとともに、防災関係機関等に伝達し、災害の防止・軽減に努めた。


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