平成25年版 防災白書|第2部 第3章 1 災害一般共通事項


第3章 科学技術の研究

1 災害一般共通事項

(1)防災リモートセンシング技術の研究開発

独立行政法人情報通信研究機構においては,航空機等からの先端リモートセンシング技術の高性能化を進めるとともに,これらを用いた災害把握のための地上面変動の把握技術及び迅速なデータ提供技術の開発を進めた。

(2)防災科学技術の推進

文部科学省においては,科学技術基本計画(平成18年3月閣議決定)や「防災に関する研究開発の推進方策について」(平成15年3月科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会決定,平成18年7月改訂)に基づき,科学技術に関する経費の見積もり方針の調整等による総合調整を図った。また,防災分野の研究開発ニーズの的確な把握,研究開発成果の普及を図るとともに,組織,災害の分野,科学技術の分野を超えた研究機関及び研究者間の連携を推進した。

(平成23年度決算額 3百万円)

独立行政法人防災科学技術研究所においては,防災科学技術に関する基礎研究及び基盤的研究開発を行うとともに,内外の防災科学技術資料の収集・整理及び提供を行った。また,防災科学技術に関する総合的及び共通的研究に資するため,平成23年度は,実大三次元震動破壊実験施設(E‐ディフェンス)を用いた振動実験や,三大都市圏や北陸地方においてMPレーダのデータ解析システムの構築を実施した。

(3)衛星等による自然災害観測・監視技術

文部科学省においては,陸域観測技術衛星「だいち」を用いて,東日本大震災からの復旧・復興に資する被災地の緊急観測を実施し,国内の防災機関等に観測データ,解析データを提供した。また,平成23年5月の「だいち」運用停止以降は,航空機観測の活用やセンチネルアジア,国際災害チャータの枠組を利用し,9月の台風第12号豪雨災害等の災害状況把握に貢献した。

また,準天頂高精度測位実験技術について,関係省庁と協力して準天頂衛星初号機「みちびき」の開発を進め,平成22年9月に同衛星を打上げ,同年12月から実証実験を開始した。

(平成23年度決算額 132,655百万円の内数)

(4)災害リスク情報プラットフォーム

独立行政法人防災科学技術研究所においては,各種自然災害情報を集約するとともに,災害リスク・ハザード評価手法の開発や災害リスク情報活用システムの開発を推進した。また,地震動予測・地震ハザード評価手法の高度化に関する研究開発を推進した。

特に,平成23年度においては,東日本大震災に際して「ALL311東日本大震災協働情報プラットフォーム」としてボランティアセンターでの情報支援,被災自治体の応急・復旧業務等に広く活用されるよう,実践的な研究を行った。

(5)農作物,農業用施設等の災害防止等に関する研究

独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構,独立行政法人農業環境技術研究所においては,耐冷性,耐寒性,耐湿性品種の育成,冷害,雪害,風害,凍霜害,湿害,干害,高温障害等の作物への気象災害の防止技術に関する研究を行った。

独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構においては,農地の地すべり防止に関する研究,異常降雨・大規模地震による災害の軽減対策に関する研究を行った。また,農業用施設等の災害に伴う周辺地域への影響予測に関する調査を行った。

(6)寒冷地における港湾・海岸防災に関する研究

独立行政法人土木研究所においては,寒冷地における港湾・漁港・海岸の安全確保のため,冬期における流氷障害対策及び高波による施設被害や護岸の背後における利用障害の防止に関する研究を行った。

(7)船舶における防災技術の研究

独立行政法人海上技術安全研究所においては,リスクベースの安全性評価手法の構築のための研究,船舶の事故を再現することによる事故原因分析手法の構築のための研究等を行った。

(8)港湾・海岸及び空港における防災技術の研究

独立行政法人港湾空港技術研究所においては,安心して暮らせる国土の形成に資するために,次の研究を行った。

  • 地震により強い港湾・海岸・空港施設の実現に関する研究
  • 巨大な津波から地域社会を守る研究
  • 沿岸域の流出油対策技術に関する研究
  • 地球規模の環境変化と高潮・高波防災のための高精度な沿岸海象把握に関する研究
(9)ソーシャルキャピタルの特性に応じた地域防災力向上方策に関する研究

国土交通省国土技術政策総合研究所においては,国土交通省の事業に密接な関連をもつ地域防災力向上に向けた取り組みを推進するため,ソーシャルキャピタルに着目した地域防災力向上に関する地域特性モデルの作成,地域防災力向上事例におけるソーシャルキャピタルの影響と地域特性の関連性の整理とともに,東日本大震災におけるソーシャルキャピタルに関する事例の収集と整理を行った。

(平成23年度決算額 10百万円)

(10)災害等緊急撮影に関する研究

国土地理院においては,関係機関の迅速な災害対応に資することを目的に,被災地の状況を広域的かつ詳細に把握できる空中写真画像をより早く提供可能となるデジタル航空カメラ撮影に関する検討を行った。

(平成23年度決算額 102百万円)

(11)GPSによる地殻変動監視の信頼性向上のための大気擾乱の影響評価に関する研究

国土地理院においては,高分解能な数値気象モデルを用いて,大気擾乱と測位誤差の関連性を明らかにし,影響評価手法を開発した。

(平成23年度決算額 9百万円)

(12)気象・水象に関する研究

気象庁においては,気象研究所を中心に気象業務に関する技術の基礎及びその応用に関する研究を推進した。特に気象観測・予報については,竜巻等突風の監視・予測手法や集中豪雨等の予測精度向上に関する研究等を行った。また,我が国の地球温暖化対策の推進に資するため,日本付近の詳細な気候変化予測を行う数値モデルの開発を行った。

(平成23年度決算額 960百万円)


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