(1)災害の状況


4 平成23年台風第12号

(1)災害の状況

平成23年8月25日にマリアナ諸島の西の海上で発生した台風第12号は,9月3日に高知県東部に上陸し,四国地方及び中国地方を縦断して日本海へ進んだ。台風第12号は動きが遅く上陸後も大型の勢力を保っていたため,長時間にわたり台風周辺の非常に湿った空気が流れ込み,西日本から北日本にかけて広い範囲で記録的な大雨となった。特に,和歌山県新宮で1時間降水量が132.5mmを,三重県熊野新鹿で101.5mmを観測したほか,奈良県上北山で総降水量が1,814.5mmを観測する等,紀伊半島では降り始めの8月30日からの総降水量が多いところで1,800mmを超えた。

この災害により,死者78人,行方不明者16人及び負傷者109人の人的被害が発生した。特に,和歌山県では,田辺市伏 菟 野(ふどの)地内において住宅が土砂崩れに巻き込まれ5人の死者が発生する等,死者52人及び行方不明者5人の人的被害が,奈良県では,五條市大塔町宇井地区において,河川の増水により家屋が流出し巻き込まれた4人が死亡する等,死者14人及び行方不明者10人の人的被害が発生した。また,住家被害としては,住家全壊373棟,住家半壊2,924棟,住家一部破損254棟,床上浸水5,664棟及び床下浸水1万9,224棟が発生した。

避難指示・勧告は,17万8,799世帯に出された。

土砂災害については,22道県82市町村で208件が発生した。また,奈良県と和歌山県で河道閉塞が17箇所発生した。

五條市大塔町赤谷における河道閉塞 五條市大塔町赤谷における河道閉塞の写真
河道閉塞の決壊を防止するための緊急排水作業 河道閉塞の決壊を防止するための緊急排水作業の写真

河川については,宮川水系宮川等2水系3河川で計画高水位を超えたほか,5水系5河川で氾濫危険水位を,12水系15河川で避難判断水位を超え,各地で浸水被害等が発生した。

ライフライン関係においては,四国電力・中国電力・関西電力・中部電力・東京電力・東北電力及び北海道電力管内で約199万2,050戸が停電(台風第15号による被害を含む。)したほか,都市ガスは三重県名張市で供給に支障が生じ,上水道では,5万4,357戸で断水した。通信関係では,固定電話で障害が発生し,携帯電話基地局が停波した。

道路については,最大時で高速道路47路線,直轄国道41区間,県管理国道57区間及び都道府県道409区間で通行止めとなった(台風第15号による被害を含む。)。

鉄道については,111区間が運転休止となった。

公共土木施設では,河川3,701箇所,海岸17箇所,砂防353箇所,道路(橋梁含む)2,406箇所,港湾19箇所,下水道9施設及び公園22施設で被害が発生した。

農林水産関係では,農地1万4,808箇所,農業用施設等7,363箇所,林地荒廃935箇所,治山施設126箇所,林道施設5,038箇所,漁港施設9箇所及び漁業用施設1箇所等に被害が発生した。

文教施設等では,国立学校施設14校,公立学校施設153校,私立学校施設8校,社会教育・体育,文化施設等189施設,文化財等70件等で被害が発生した。

社会福祉施設等では,140施設で被害が発生した。


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