(2)アジア・太平洋地域における防災協力


(2)アジア・太平洋地域における防災協力

<1> アジア太平洋経済協力

平成23年の「アジア太平洋経済協力」(APEC)においても,防災分野が取り上げられた。

同年8月には,宮城県仙台市等において,「民間部門の緊急事態への備えワークショップ」が開催され,本会議には外務副大臣が出席し,企業の事業継続計画(BCP)について東日本大震災を受けた今後の課題等が議論された。

また,同年9月には「防災担当高級実務者会合」が,米国・サンフランシスコで開催された。我が国からは,内閣府大臣官房審議官及び外務省経済局審議官が出席し,それぞれセッションにおいて発表を行った。内閣府大臣官房審議官からは,東日本大震災の被害状況や政府の対応等の概要のみならず,震災の際に高速道路や鉄道等のインフラが早期復旧したことや,防災教育や過去の教訓の伝承が功を奏した事例を紹介した。外務省経済局審議官からは,同年8月のワークショップの内容と成果を説明し,BCP策定に当たっては法規制,補助金・税制,認定制度等を合わせて促進することの必要性を説明した。

こうした会議成果を踏まえ,同年11月の「閣僚会議」において,BCPにも言及した「災害への強靱性に関するハイレベル政策対話」が取りまとめられた。

<2> 東日本大震災に関する専門家会合

東日本大震災から得られた知見・教訓を共有するため,内閣府,国際協力機構(JICA),国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)及びアジア防災センターが主催し,アジア太平洋各国及び国際機関の政策担当者の出席(25か国,25国際機関等,計112人)のもと,平成23年12月16〜18日に「東日本大震災に関する専門家会合」が開催された。本会合では,中央防災会議の東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会座長が基調講演を行うとともに,岩手県釜石市長が東日本大震災被災地からの報告を行った。

また,平成23年10月の「日中韓防災担当閣僚級会合」において専門家による会合を開催することとされたことから,「日中韓防災担当実務者会合」が併催された。中国及び韓国からの発表に続いて,我が国からは中央防災会議の東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会による報告内容について発表を行い,意見交換を行った。

また,岩手県宮古市及び釜石市の視察を実施し,釜石市立釜石東中学校教諭から東日本大震災当日の様子やその後の状況の説明があり,応急仮設住宅において釜石東中学校の生徒との交流が行われた。

宮城県宮古市田老地区堤防視察 宮城県宮古市田老地区堤防視察の写真

<3> アジア防災センターの活動

アジア地域のメンバー国29か国(平成24年3月時点)による,災害被害軽減のためのネットワークの要として平成14年7月に設立されたアジア防災センターにおいては,東日本大震災の発生直後から,災害情報をホームページから英語で発信するとともに,研究員を被災地に派遣して被害状況の把握に努め,それらの調査結果もインターネットを通じて英語で発表した。

平成23年6月には内閣府等との共催により「アジア防災会議2011」をスリランカ・コロンボ市において開き,メンバー国,国際・地域機関等の防災関係者がアジア各国の防災能力向上策について議論を行った。我が国からは,内閣府副大臣が特別講演を行い,被害状況の報告,政府の取組みと復興方針の説明を行うとともに,世界各国からの支援に対する感謝を述べた。

アジア防災センターからは,同年5月に同センターが日本で内閣府等と共催した「東日本大震災に関する専門家会合」の内容について発表した。

また,平成24年1月には,内閣府,国際防災復興協力機構等との共催により「国際復興フォーラム2012」を神戸市において開催した。同フォーラムにおいては,東日本大震災の被害状況の報告や,スマトラ島沖地震・津波,タイ水害等の大災害からの復興の状況報告を基に,「しなやかな復興」の実現のための地域間協力の在り方が議論された。

この他,アジア防災センターでは,「第3回防災グローバル・プラットフォーム会合」及び「民間部門の緊急事態への備えワークショップ」のほか,アジア太平洋地域宇宙機関会議(平成23年12月)及び国連教育科学文化機関・国連大学国際シンポジウム(平成24年2月)といった国際会議において,東日本大震災への対応状況等の情報発信を行った。


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