(5)長周期地震動の影響


(5)長周期地震動の影響

地震動は,短い周期の揺れと,ゆっくり繰り返す長い周期の揺れ等様々な周期で構成される。長周期地震動は後者を指し,高層ビルや,石油タンク,長大橋梁等の長大構造物は,周期数秒から十数秒の固有周期を有するため,大地震に伴って発生する長周期地震動と共振することによって大きな揺れを生ずることがある。東北地方太平洋沖地震では,長周期地震動によって,首都圏や大阪府等で,高層ビル等において大きな揺れが観測された。

大阪府庁の咲洲庁舎においては,約10分間の揺れが生じ,最上階(52階)では,最大1m(片側)を超える揺れが確認された。内装材や防火戸等の一部で破損が見られたほか,エレベータの停止や閉じ込め事象が発生した。なお,机・棚等は固定されていたため,これらの転倒・移動による被害は認められなかった。

東京都内の34棟の高層ビルにおける内装材の破損や家具,什器等の移動・転倒について,気象庁が行った聞き取り調査は図表1-1-6のとおりであるが,多くの高層ビルで,内装材に亀裂が生じる等の軽微な損傷が認められた。また,高層ビルの低層階と高層階との揺れの違いについては,高層階になるにつれ,人が行動することが困難になったり,本棚や車輪付き什器等の動きが大きくなるといった傾向が認められた(図表1-1-7)。

図表1-1-6 高層ビル内の内装材の破損や家具,什器等の移動・転倒 図表1-1-6 高層ビル内の内装材の破損や家具,什器等の移動・転倒の図表
図表1-1-7 高層ビル内(低層,中層,高層)の揺れの状況 図表1-1-7 高層ビル内(低層,中層,高層)の揺れの状況の図表

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内閣府政策統括官(防災担当)

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