中央防災会議大都市震災対策専門委員会提言について2


中央防災会議大都市震災対策専門委員会提言について
 
2 大都市震災対策専門委員会提言の概要
1 はじめに
 阪神・淡路大震災の教訓を活かした震災対策の充実については、従来から各機関において対策を講じてきたが、複数の機関の連携が必要な課題については、予防・応急対策等の取組をより効果的なものとすることが必要。
   特に、大都市地域の大規模震災の甚大性・広範性を踏まえれば、国、地方公共団体等の複数の機関が高度な連携を図りながら実効的対策を講じることが重要であるため、あらためて政府全体の検討を深め、詳細かつ具体の対策につなげていくことが必要。
 専門委員会は、今後、国、地方公共団体等の関係機関において、本提言を踏まえた対策の具体化に向けた検討及び施策の推進が図られることを期待。住民等においても、本提言を踏まえた取組の推進が図られることを期待。
   
2 本提言の対象区域
 専門委員会は、大都市特有の課題に対応する震災対策のあり方を検討することとしているが、今回は、都府県の区域を越えた広域的な市街地で大規模な地震が発生した場合の特殊性に焦点を当てて、その対策のあり方について検討。このため、本提言は、都府県の区域を越えて市街地が広域化している三大都市圏の区域を対象。
   
3 大都市地域における地震活動の評価
 南関東地域における地震活動については、従来からの評価どおり、直下の地震の発生が切迫している。
 近畿圏及び中部圏においては、市街地の内部又は近隣に活断層が密集しており、次の南海トラフ沿いの巨大地震の発生に向けて地震活動が活発化する可能性が高い活動澗に人ったと考えられる。
   
4 大都市地域における大規模震災の特殊性

 大都市地域は、地震による揺れが大きい沖積平野に人口や諸機能が集積する市街地が広範囲に広がっており、大規模地震が発生した場合には極めて大きな被害が発生しやすく、単独の都市に発生する災害に比べて対応すべき課題が多い。

  • 多数の施設や構造物への甚大な被害発生の可能性、応急対策需要量の増大
  • 広域な市街地の広がりにより、帰宅困難者の発生など被害の広域性・複雑性
  • 重要な政治・経済・社会機能への影響の発生、国家的・国際的拡大
   
5 大都市地域における震災対策の重点課題
   以下の基本的視点を踏まえて、予防対策・応急対策の備えに関する重点課題の検討、具体化が必要。

(1)基本的視点

   大都市地域の大規模震災に備えるためには、施設・構造物の耐震化、地震に強い都市構造の整備等による予防対策の推進が重要。そのためには、住民や企業等も建築物の耐震性・安全性の確保などに主体的に取り組むとともに、さまざまな主体が行う予防対策を総合的・横断的に推進することが必要。
   予防対策の推進のためには、地震防災に関する調査研究について、地震学、土木工学・建築学、社会学など関連分野間の相互連携に留意しながら、総合的に推進し、その成果を防災対策に活用することが必要。
   応急対策の実践的な備えも平常時から進めておくことが重要であり、各主体間の的確な連携を確保しながら対策を講じることが重要。
(2)予防対策の重点課題
  1) 地域の地震防災に関する整備の現状把握・整備目標等の共有
    【検討すべき施策】
    地域における各種の施設・構造物等の耐震性、市街地の面的整備状況等の横断的把握、認識の共有
    危険度マップの汎用化等による住民の理解を促進するための情報の公表
    地域の地震防災性の向上に向けた目標の設定、共有
       
  2) 震災時に有効に機能する施設整備における関係機関の連携推進
    【検討すべき施策】
    関係機関の連携により、公園、緑地等のオープンスペースの計画的確保、震災時の避難収容を想定した施設整備の推進
    関係機関の連携により、震災時の輸送活動を想定した交通・輸送施設のネットワーク形成、施設整備の推進
    関係機関の連携により、震災時の消火・生活用水の確保方策の推進
       
  3) 耐震基準・耐震改修方法等に関する情報の交換・共有
    【検討すべき施策】
    地質・地盤情報、地震動情報等を含め、施設・構造物に関する基準や改修工法等の情報について、学識経験者等を含む情報交換の場の設定。
       
  4) 圏域を対象とする多様な地震被害想定の検討
    【検討すべき施策】
    三大都市圏の各圏域で、関係都府県、関係省庁等により、予防対策や応急対策の備えに実践的に活用するための広域的な地震被害想定の実施。
   

 
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