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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
東京ガスにおけるリアルタイム地震防災 -SIGNALを中心として-
 

2 東京ガスの製造、供給施設の概要
 東京ガスの供給区域は、図1に示すように1都4県を中心に、3,100k㎡の広がりを有し、 約845万件の需要家を擁している。供給方式は図2の如く、高圧、中圧A・Bおよび低圧の4段階の圧力で構成されている。工場から送出されたガスは、ガバナーステーション(高圧から中圧ヘガスを減圧する施設)を介して、中圧ラインに供給される。

  ボイラや発電用燃料など工業用需要家や、ビル冷暖房、地域冷暖房需要家などへは、中庄で直接供給するが一般の家庭用や商業用の需要家には、各地域に約3,600基ほど点在する地区ガバナーで低圧まで減圧し供給している。東京湾をはさんだ東の袖ヶ浦、西の根岸・扇島、三つの主要工場を結ぶ延長約500㎞の 高圧幹線ループライン、供給区域にネットワーク化された中圧A(延長約2,000㎞)中庄 B(延長約3,500㎞)ラインさらに低圧ネットワーク約40,000㎞総計4.6万㎞に及ぶガス導管網によるガスの供給は、総合的にコントロールするTGCS(Total Gas Control System)で管理されている。TGCSは導管網からのリアルタイム情報(各地の圧力、流量)をもとに、コンピュータによって、最適かつ安全に、製造と供給を調整するためのシステムであり、需要変動に対応して、工場の稼動指令、ガスホルダー、ガバナーの遠隔操作や監視など集中管理している。地震時には、そのリアルタイムで収集される圧力・流量情報を用いて異常流量検知 システムや中圧漏洩推定システムを稼動させ、後述するSIGNALで出されるリアルタイム被害推定等とあわせて総合的に迅速・的確な緊急措置を実行することとなっている。

 

3. SIGNAL-地震時導管網警報システム-
3.1 開発の目的  
 地震時のガスに起因する二次災害を極力防止するためには、地域毎に導管網がどの程度被害を受けているのかを地震発生直後に正確に把握し、被害甚大地域についてはガスの供給停止を迅速に行う必要がある。同時に被害が無いまたは軽微な地区では快適な都市生活を保持するために供給サービスを継続する必要がある。しかし、大地震の際には、電話通信網の寸断・輻しん、道路網の寸断・渋滞等のため地震発災直後にガス施設の被害情報の収集を行うことは極めて困難である。事実、阪神大震災においても被害情報の収集が難しく、被害甚大地区へのガス供給の停止は地震発災後15時間後に完了した。従って大地震の際には直接の被害情報の収集を待たず、地震発災直後に被害の全体像を把握するため、地震動を高密度に計測し、どこの地域にどのくらいの被害が生じているかを高精度に推定するシステムを持つことが不可欠と考えられ、当社では1986年より地震時導管網警報システムSIGNAL(Seismic Information Gathering & Network Alert system)の開発を開始 し、1994年6月に世界で初めて実用化して運用中である。
3.2 SIGNALの構成
 SIGNAL全体システムの構成を図3に示す。SIGNALは、事前にGIS上に整備された地盤・導管などのデータベースとともに、地震動モニタリングシステム、震源推定システム、被害推定システムの3つのサブシステムから構成されており、以下にその内容を説明する。

3.2.1 データベース
 地盤、導管、需要家の基本データは地理情報システム(GIS)、マッピングシステムの データベースを利用し、東西250m、南北175mのメッシュを単位としてデータベース化 している(総計約80,000メッシュ)。地震動の大きさは地盤に大きく影響されることから各SIセンサーの観測値(計331ヶ所)は、センサー近傍の同種の地盤の地震動を代表させるものとし、そのため供給区域全域の地盤ゾーニングを20,000本のボーリングデータを使用して行い、各SIセンサーの分担地域を定めている。地盤分類は、地形により台地と沖積低地の2つに分類し、更に沖積低地については固有周期別に3つに区分けし、計4通りの地盤分類をしている。その他管種・口径別導管延長、需要家件数がメッシュ単位で入力されている。

 

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