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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
東京ガスにおけるリアルタイム地震防災 -SIGNALを中心として-
 
東京ガス(株)防災・供給センター所長
高橋邦碩
 

(概要)

 東京ガスは、政治・文化・経済などの機能が高度に集中し、世界有数の過密都市、東京を中心とした首都圏において845万件のお客様に都市ガスを供給しており、たとえ大地震 に見舞われた場合においても安全を確保することは、ガス供給事業者にとっての社会的使命であると認識している。

  さて、1995年1月17日阪神・淡路島地区においてマグニチュード7.2の直下型地震が発生し、神戸市を中心に未曽有の大被害をもたらした。この阪神大震災において、大きく クローズアップされた課題は、地震発災直後の被害情報収集が重要にもかかわらず極めて困難であることであった。その対策の一つとして、東京ガスではSIGNAL-地震時導管網警報システム-の開発を1986年から開始し、阪神大震災の半年前、1994年6月に実用化している。SIGNALは、供給エリア(3,100k㎡)全体に設置された356ヶの地震センサー(SIセンサー331ヶ、液状化センサー20ヶ、基盤地震計5ヶ)から無線で送られてくるリアルタイムの地震情報と予めデータベース化された地盤や導管の情報をあわせてコンピュータ処理し、導管の被害を迅速、高精度に推定するシステムである。

  この他、東京ガスでは流量データ、圧力デ一夕を利用した異常流量検知システムや中圧漏洩推定システムなどのリアルタイム地震防災システムを具備している。さらに1998年より地震発災後の被害把握能力、緊急能力を高めるために3,600ヶの新地震計を用いた超高密度計測・防災システムの整備を開始した。

  今後、日米を始めとする多くの研究者や機関が公開された地震データを基に防災研究を進め、その研究成果の共有化を進めるため情報交換を密に実施していくことが望まれる。

 

1 はじめに
 東京ガスは、政治・文化・経済などの機能が高度に集中し、世界有数の過密都市、東京を中心とした首都圏において都市ガスを供給しており、たとえ大地震に見舞われた場合に おいても安全を確保することは、ガス供給事業者にとっての社会的使命であると認識している。従って、東京ガスにとって、大地震に対する備えはきわめて重要な課題であり、これまで、供給施設に関するハードウエアとしての問題と、緊急対応や復旧の効率化等にかかわるソフトウエアの両面について諸々の対応策を講じてきている。

  さて、1995年1月17日阪神・淡路島地区においてマグニチュード7.2の直下型地震が発生し、神戸市を中心に未曽有の大被害をもたらした。都市ガスにおいても、二次災害防止のため約86万世帯の需要家に対して供給停止を余儀なくされ、改めて、地震災害の脅威 を感じさせるものとなった1)。

  この阪神大震災において、大きくクローズアップされた課題は、地震発災直後の被害情報収集が重要にもかかわらず極めて困難であることであった。この課題を克服する対策の一つとして「リアルタイム地震時被害推定システムの整備」が幾つかの機関で計画または実施されているが、東京ガスではSIGNAL-地震時導管網警報システム-の開発を1986年から開始し、阪神大震災の半年前、1994年6月に実用化した。

  以下、SIGNALを中心としたリアルタイム地震防災システムについて紹介する。

 

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