3−4 平成19年(2007年)新潟県中越沖地震



3−4 平成19年(2007年)新潟県中越沖地震

(1)災害の状況

平成19年7月16日10時13分,新潟県上中越沖の深さ17kmでマグニチュード6.8の地震が発生し,新潟県柏崎市,長岡市,刈羽村,長野県飯綱町で震度6強,新潟県上越市,小千谷市,出雲崎町で震度6弱,新潟県三条市,十日町市,南魚沼市,燕市,長野県中野市,飯山市,信濃町で震度5強を観測したほか,北陸地方を中心に東北地方から近畿・中国地方にかけて震度1以上を観測した。10時14分には,新潟県上中下越と佐渡に津波注意報が発表され,同注意報が解除された11時20分までに,柏崎で32cmなど,新潟を中心に秋田県から石川県の沿岸で津波が観測された。

この地震により,死者15名,負傷者2,345名,住家全壊1,319棟,住家半壊5,621棟,住家一部破損35,070棟の被害が発生したほか,合計で2,010人に避難勧告・指示が出され,最大で12,724人が避難所に避難した。

土砂災害については,地すべり26件,がけ崩れ82件が発生した。

ライフライン関係においては,東北電力管内で延べ約37,100戸が停電となったほか,都市ガスについては新潟県内で31,179戸が供給停止,上水道については新潟県,長野県内の58,961戸が断水した。また,電気通信関係では,新潟県で約800回線の電話が不通となったほか,携帯電話基地局126局が停波した。

道路については,北陸自動車道,国道8号,県管理道路等43区間において落石や陥没等により通行規制が行われた。鉄道については,JR信越本線等で被害が発生し運休したほか,北陸地方のJR等の各線で点検のため運転を中止した。

公共土木施設では,河川126か所,海岸10か所,砂防施設等11か所,道路(橋梁を含む)1,096か所,港湾23か所,下水道59か所,公園9か所に被害が発生した。

農林水産関係では,農地153か所,農業用施設等639か所,林地荒廃140か所,治山施設8か所,林道施設等254か所,漁港施設等15か所等で被害が発生した。

文教施設では,国立学校施設7校,公立学校施設270校,私立学校施設20校,社会教育・体育,文化施設等163施設,文化財等26件で被害が発生した。

社会福祉施設等では,224施設に被害が発生した。

医療施設関係では,29施設に被害が発生した。

(2)国等の対応状況

地震発生後直ちに,関係省庁の局長級職員からなる緊急参集チームをはじめ,防災担当者が官邸危機管理センターに参集し,警察,消防,自衛隊,海上保安庁,国土交通省などのヘリコプターからの映像等により迅速な情報収集を行うとともに,内閣府の地震防災情報システム(DIS)を稼働させて,建物被害や人的被害などを推計し,概括的な被害規模の把握に努めた。安倍内閣総理大臣から,被災状況の把握について万全を尽くすこと等の指示の下,政府一体となって初動対応に当たった。発災直後には,溝手防災担当大臣を団長とする政府調査団を現地に派遣,同日,柏崎市役所内に政府現地連絡対策室を設置し,現地での情報収集や地元地方公共団体との連絡調整に当たった。また,同日中に,安倍内閣総理大臣による現地視察を実施した。

7月16日21時に,関係閣僚会合を官邸において開催し,被害状況や各省庁の対応状況についての情報を共有するとともに,ライフライン及び交通網の復旧に万全を期すことなどについて総理大臣よりの指示があった。7月16日23時には,内閣府において災害対策関係省庁連絡会議を開催し,被害状況や各省庁の対応状況についての情報を共有するとともに,今後の対応を確認した。また,7月17日15時には,安倍内閣総理大臣が出席し,官邸において災害対策関係省庁局長会議を開催し,早急な対応が求められる課題について各省庁における対応状況を報告するとともに,総理大臣から下記の指示があった。<1>水道をはじめとしたライフラインや緊急物資輸送等に必要な交通網の早期復旧に万全を期すこと,<2>避難所においては,食料,水,トイレの確保,健康面の的確なケア等きめ細やかな対応を迅速に行うこと,<3>原子力発電所については,国民の不安を払拭するよう全力を挙げること,<4>激甚災害の指定の前提となる復旧事業費を把握するため,国の職員が現地調査に全面的に協力するなどスピード感をもって対応すること。その後,7月17日から8月3日にかけて,内閣府において災害対策関係省庁連絡会議を9回開催し,被害状況や対応状況,支援物資等の提供要望への対応状況及び今後の対応についての申し合わせ等を行った。

適用日を7月16日として,新潟県が長岡市,柏崎市,小千谷市,上越市,出雲崎町,刈羽村,三条市,十日町市,燕市及び南魚沼市に対し,災害救助法を適用した。これに基づき新潟県は仮設住宅1,222戸を建設することとした。

また,適用日を7月16日として,新潟県が県内全域に対し,被災者生活再建支援法に基づく被災者生活再建支援金支給制度を適用した。

更には,この災害について,「平成十九年新潟県中越沖地震による新潟県長岡市等の区域に係る災害についての激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令(平成19年8月7日閣議決定,8月10日公布・施行)」により激甚災害として指定し,公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助等の措置を適用した。

海外からの支援に関しては,政府は,被災自治体の意向を確認した上で,避難所の酷暑対策として,米国より冷房機96台を受入れた。

各府省の対応は, 附属資料2 のとおり。


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