4−1 震災対策(9) 総合防災情報システムの整備



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4−1 震災対策

(9) 総合防災情報システムの整備

a 地震防災情報システムの整備
 阪神・淡路大震災に際しては,発災時における応急対策活動を円滑に行うための課題として,特に被災地の状況を迅速に把握するとともに,情報を統合化し,総合的な意志決定を行うことの重要性が改めて指摘された。
 内閣府ではこうした経験にかんがみ,様々な防災情報をコンピュータ上の数値地図と関連づけて管理する「地震防災情報システム(DIS:Disaster Information Systems)」の整備を進めており,地震発生直後に被害のおおまかな規模を把握するための「地震被害早期評価システム(EES:Early Estimation System)」を,平成8年4月から稼動している(図2−4−59,図2−4−60)。

クリックで拡大表示 図2−4−59 地震防災情報システム(DIS)の概要

クリックで拡大表示 図2−4−60 地震被害早期評価システム(EES)

このシステムでは,地震災害の規模が大きいほど緊急かつ大規模な対応が必要となる一方で,その判断に必要な情報が時間的にも量的にも極めて限られたものとなるという問題を解消するため,地震による被害規模の概要を発生から30分以内に推計し,国の迅速かつ的確な初動対応のための判断材料として国の防災関係機関に提供している。
 本システムは震度4以上の地震が発生した際に自動的に起動し,地震発生直後に気象庁から送られてくる震度情報と,あらかじめデータベースに登録された,全国の各市区町村ごとの地盤,建築物(築年・構造別),人口(時間帯別)等のデータに基づいて,建築物の全壊棟数と建築物の全壊に伴う死傷者数という人的被害の概要を推計するものである。
 また,平成11年度から気象庁が津波の高さを数値化した新しい津波予報を発表したことに対応して,個々の海岸における津波浸水域を予測するシステムの整備を継続している。
 なお,「地震被害に関する検討委員会」を開催し,地震発生後の結果を踏まえ,推計の精度向上を行っている。

b 人工衛星等を活用した被害早期把握システムの整備
 本システムは,大規模災害発生時に,広範囲の撮影が可能な人工衛星等の画像を活用することにより,交通・通信網の途絶等により被災状況等の把握が極めて困難な場合においても,実被害情報を早期に把握し,迅速かつ的確な初動体制の確立を図ることを目的として整備を行っている。(図2−4−61)。
 現在,既に多数の人工衛星が地上を撮影しているが,それぞれの衛星が被災地を撮影する機会は数日に一度であること,衛星によって分解能等の性能がまちまちであること,光学センサーでは夜間や悪天候の場合は撮影出来ないこと,等の制約条件がある。そのため,発災後に出来るだけ早く画像を得て被害状況を把握するためには,多くの人工衛星に対して速やかに撮影要求を行うことや,得られた画像から速やかに被災状況を抽出することが求められることから本システムでは,以下の機能を備えている。
 ・観測対象域決定機能:DISからの被害推計情報を元に,撮影すべき対象地域を特定する。
 ・被災地域抽出機能:入手した被災後の画像データと予め蓄積しておいた被災前データを比較し,その差分が激しい地域を甚大な被害の可能性ありとして抽出する。

クリックで拡大表示 図2−4−61 衛星画像による被災地撮影の例(2004新潟県中越地震)


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