3−4 平成18年10月の低気圧による災害



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3−4 平成18年10月の低気圧による災害

(1) 災害の状況

台風第16号の接近に伴い本州の南岸に停滞した前線の活動が10月4日頃から活発となった。また,5日12時に四国沖で前線上に発生した低気圧が6日に急速に発達しながら本州の南岸を進み,さらに発達しながら7日には三陸沖,8日には北海道の東方海上に進んだ。

この急速に発達した低気圧が本州の太平洋沿岸を北上したため,関東地方から北海道にかけての太平洋側で最大風速25m/sを超える暴風となり,宮城県女川町江ノ島では,7日7時30分に観測史上最大となる最大風速30m/sを観測し,海上では9mを超える猛烈なしけとなった。

また,近畿地方,関東地方,東北地方の太平洋側及び北海道のオホーツク海側等で降り始めからの総雨量が250mmを超える大雨となった。特に,北海道網走支庁の一部では総雨量が10月の月間平均雨量の4倍を超える大雨となった。

この暴風雨により,死者1名,負傷者43名,住家全壊1棟,住家半壊18棟,住家一部破損978棟,床上浸水293棟,床下浸水1,004棟などの被害が発生した。

土砂災害については,土石流1件,地すべり2件,がけ崩れ34件が発生した。

河川については,網走川等8水系8河川ではん濫危険水位(危険水位)を超えたほか,15水系20河川ではん濫注意水位(警戒水位)を超え,各地で浸水被害等が発生した。

ライフライン関係においては,北海道,東北電力管内で延べ約150,000戸が停電となったほか,上水道については北海道等で8,056戸が断水した。

道路については,高速自動車国道,一般国道,都道府県道,有料道路等448区間で通行規制が行われた。鉄道については,全国各路線で雨量規制等のために運休が発生した。

公共土木施設では,河川1,378か所,海岸124か所,砂防施設等11か所,道路(橋梁を含む)603か所,港湾30か所,公園5か所に被害が発生した。

農林水産関係では,農地940か所,農業用施設等1,171か所,林地荒廃等222か所,林道施設等722か所,森林被害6,971ha,漁港施設等155か所等で被害が発生した。

なお,この低気圧に伴い,海上では船舶の座礁や転覆が相次いで発生し,海上における事故により,死者19名,行方不明者14名の被害が発生した。

(2) 国等の対応状況

この災害については,「平成十八年十月六日から同月九日までの間の暴風雨及び豪雨による災害についての激甚災害並びにこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令(平成19年3月16日閣議決定,3月22日公布・施行)」により激甚災害として指定し,農林水産業共同利用施設災害復旧事業費の補助の特例を適用した。なお,指定にあたっては,北海道,東北地方などで漁業関係を中心に大きな被害が発生したことを踏まえ,漁業被害を適切に反映できるよう激甚災害指定基準を改正し(平成19年2月27日中央防災会議決定),この災害に遡及適用した。

各府省の対応については,次のとおりである。

内閣府は,被害情報や各省庁の対応状況についての情報収集を行った。

警察庁は,10月6日11時,災害情報連絡室を設置し,関連情報の収集,関係機関との連絡調整を行った。

消防庁は,10月6日17時25分に情報収集体制を整備し,20時には災害対策室を設置し,関係機関との連絡調整を行った。

海上保安庁は,巡視船艇や航空機により,事故に遭った船舶の乗組員の救助,行方不明者の捜索等を行った。

防衛庁は,北海道知事からの災害派遣要請を受け,10月8日から10月13日までに人員約330名,車両約100両により,避難住民の輸送支援,堤防の一部決壊に伴う復旧支援及び給水支援を行った。

農林水産省は,10月6日17時,省内連絡会議を設置した。また,被害農林漁業者等に対する資金の円滑な融通及び既貸付金の償還猶予等が図られるよう,関係金融機関に依頼した。

国土交通省は,9月15日10時に警戒体制をとった。

気象庁は,10月6日11時に警戒体制をとり,計11回の全般気象情報の発表(10月5日から10月9日まで),大雨等に関する警報,注意報の発表,防災関係機関への気象情報の伝達等を行うとともに警戒を促した。


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