3−3 台風第13号



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3−3 台風第13号

(1) 災害の状況

9月10日21時にフィリピンの東海上で発生した台風第13号は,発達しながら北西に進み,15日には中心付近の最大風速が55m/sと猛烈な勢力となった。台風は,勢力を維持したまま16日早朝に石垣島付近を通過し,その後,沖縄本島の西海上を北東に進んだ。17日には中心付近の最大風速が40m/sと強い勢力で九州地方に接近し,同日18時過ぎに長崎県佐世保市付近に上陸した。台風は進路を北東に保ったまま20時頃日本海へ抜け,18日21時に温帯低気圧に変わった後,東北東へ進んで20日9時に北海道の西海上で消滅した。

この台風は,強い勢力を保ったまま,沖縄地方を通過し,九州地方に接近・上陸したため,沖縄地方から九州地方にかけて暴風となり,最大瞬間風速が16日に沖縄県竹富町西表島で北東の風69.9m/s,最大風速が17日に長崎県長崎市野母崎で南東の風46m/sとなるなど観測史上最大となった所があった。また,台風と活発な前線の活動により,沖縄県,大分県,長崎県,佐賀県,福岡県,広島県の一部で降り始めからの総雨量が9月の月間平均雨量を超える大雨となった所があり,1時間雨量が16日に大分県佐伯市蒲江で122㎜,佐賀県伊万里市伊万里で99㎜など記録的な大雨となった。

また,17日14時頃には,宮崎県延岡市において竜巻による突風が発生し,細長い帯状の幅150〜300m,長さ7.5㎞の地域で被害がみられた。竜巻の強度は藤田スケール(竜巻の強さの指標の一つで最強のF5からF0まである)でF2と推定された。

この台風により,死者9名,行方不明者1名,負傷者448名,住家全壊159棟,住家半壊514棟,住家一部破損11,221棟,床上浸水189棟,床下浸水1,177棟などの被害が発生したほか,最大で107,625名に避難勧告が出された。

土砂災害については,土石流11件,地すべり1件,がけ崩れ58件が発生した。

河川については,江の川等3水系3河川ではん濫危険水位(危険水位)を超えたほか,5水系6河川ではん濫注意水位(警戒水位)を超え,各地で浸水被害等が発生した。

ライフライン関係においては,北海道,中国,四国,九州,沖縄電力管内で延べ約2,208,000戸が停電となったほか,都市ガスについては佐賀県及び宮崎県内で64戸が供給停止,上水道については長崎県,沖縄県等で10,131戸が断水した。電気通信関係では,沖縄県で43回線の電話が不通となったほか,携帯電話基地局1,022局が停波した。

道路については,高速自動車国道,一般国道,都道府県道,有料道路等294区間で通行規制が行われた。鉄道については,全国各路線で雨量規制等のために運休が発生した。JR九州日豊線南延岡駅構内では特急にちりん9号が脱線した。

公共土木施設では,河川1,108か所,海岸42か所,砂防施設等114か所,道路(橋梁を含む)773か所,港湾53か所,公園6か所に被害が発生した。

農林水産関係では,農地3,833か所,農業用施設等3,064か所,林地荒廃等224か所,林道施設等785か所,森林被害176ha,漁港施設等83か所等で被害が発生した。

文教施設では,国立学校施設19校,公立学校施設861校,社会教育・体育,文化施設等475施設,文化財等83件で被害が発生した。

社会福祉施設等では,高齢者関係施設64施設,児童関係施設84施設,障害者関係施設41施設,その他社会福祉施設3施設に被害が発生した。

医療施設関係では,9施設に被害が発生した。

(2) 国等の対応状況

台風の九州上陸を前にして,9月17日16時に沓掛防災担当大臣(当時)が出席し,内閣府において災害対策関係省庁連絡会議を開催し,沓掛防災担当大臣から国民への呼びかけ(早めの避難,むやみな外出を控えること等)を行うとともに,被害状況や各省庁の対応状況についての情報を共有したほか,①各省庁において,厳重な警戒,監視体制をとり,被害の発生に備えること。②国民に対し,暴風,高波,高潮,大雨,土砂災害等の防災情報を適切に提供し,災害時要援護者をはじめとして早期の避難対策に万全を期すること。③被害が発生した場合には,迅速に被災者の救出・救助活動,災害応急対策を実施すること。④自衛隊,警察,消防,海上保安庁等の広域救援部隊を必要に応じ迅速に派遣できるよう準備すること。⑤各省庁が緊密に連携して対応することを確認した。また,9月18日16時にも,内閣府において災害対策関係省庁連絡会議を開催し,被害状況や各省庁の対応状況についての情報を共有するとともに,今後の対応を確認した。

9月19日には,沓掛防災担当大臣を団長とする政府調査団を宮崎県へ派遣した。

適用日を9月17日として,宮崎県が延岡市に対し,災害救助法を適用した。

また,適用日を9月16日として,沖縄県が石垣市及び竹富町に対し,適用日を9月17日として,宮崎県が県内全域に対し,被災者生活再建支援法に基づく被災者生活再建支援金支給制度を適用した。

さらに,この災害について,「平成十八年九月十五日から同月二十日までの間の暴風雨及び豪雨による災害についての激甚災害並びにこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令(平成18年11月10日閣議決定,11月15日公布・施行)」により激甚災害として指定し,農地等の災害復旧事業等に係る補助の特例措置等を適用した。

各府省の対応については,次のとおりである。

内閣官房は,9月17日13時,情報連絡室を設置した。

内閣府は,9月15日17時,情報対策室を設置し,関係機関から情報収集を行うとともに,官邸,関係省庁との情報連絡を行った。

警察庁は,9月15日17時,災害情報連絡室を,9月17日13時には,災害警備連絡室を設置し,関連情報の収集,関係機関との連絡調整を行った。

消防庁は,9月17日11時,災害対策室を設置し,関係機関との連絡調整を行った。

防衛庁は,9月15日17時,災害対策連絡室を設置した。

金融庁は,被災地域の銀行協会等に対し,貸出金の返済猶予等災害被災者の便宜を考慮した適時的確な措置を講ずることを要請した。

総務省は,9月15日17時30分,省内の情報収集体制を整備した。

文部科学省は,9月15日17時10分,災害情報連絡室を設置し,教育委員会等の関係機関から被害情報を収集するとともに,臨時休校等適切な対応をとるよう指示した。

厚生労働省は,9月15日13時39分,省内の連絡体制を整備した。

農林水産省は,9月15日14時,関係局庁連絡会議を設置した。また,被害農林漁業者等に対する資金の円滑な融通及び既貸付金の償還猶予等が図られるよう,関係金融機関に依頼した。

経済産業省は,9月15日17時15分,防災連絡会議を設置した。

資源エネルギー庁は,災害救助法適用市町村及び適用市町村に隣接する市町村において被災した需要家に対して,電気及びガス料金の支払期限の延長等の災害特別措置を認可した。

中小企業庁は,宮崎県内の政府系中小企業金融機関,信用保証協会,主要商工会議所,商工会連合会,中小企業基盤整備機構及び九州経済産業局に対し,災害に係る特別相談窓口設置を指示するとともに,政府系中小企業金融機関に災害復旧貸付の適用,政府系中小企業金融機関及び信用保証協会に既往債務の返済条件緩和等に関する企業の実情に応じた対応を指示した。

国土交通省は,9月15日10時10分に警戒体制をとり,ヘリコプターの活用等による情報収集を実施するとともに,排水ポンプ車35台,照明車4台,衛星通信車2台等を被災地に派遣した。

国土地理院は,9月17日16時45分,災害対策会議を設置した。

気象庁は,9月15日6時に警戒体制をとり,計172回の全般台風情報の発表(9月10日から9月20日まで),大雨等に関する警報,注意報の発表,防災関係機関への気象情報の伝達等を行うとともに警戒を促した。また,延岡市に突風機動調査班を派遣して現地調査を実施した。


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