3−2 梅雨前線による豪雨



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3−2 梅雨前線による豪雨

(1) 災害の状況

梅雨前線の活動は活発で,6月前半には南西諸島で,6月後半から7月には東・西日本の広い範囲で大雨となった。特に,7月15日から24日にかけては,長野県,鹿児島県を中心に九州,山陰,近畿及び北陸地方などで豪雨となり,気象庁は「平成18年7月豪雨」と命名した。

6月10日から12日にかけて,沖縄近海で停滞した梅雨前線の活動が活発となり,6月10日から12日までの総雨量は沖縄地方の多いところで180mmを越える大雨となった。6月21日からは,九州付近で梅雨前線が活発化したため,6月21日の降り始めから7月3日までの総雨量は,九州北部地方の多いところで700mmを超える大雨となった。7月4日から10日にかけては,西日本各地で1時間雨量50mmを超える非常に激しい雨を観測した。特に,5日には和歌山県,高知県,熊本県,鹿児島県,8日,10日には長崎県で1時間80mm以上の猛烈な雨を観測した。7月11日から13日には,九州から東北地方にかけて梅雨前線の活動が活発化し,北陸から東北南部を中心に大雨となり,7月11日から14日までに東海,中国,四国及び九州地方で1時間50mmを超える非常に激しい雨を観測した。

7月15日以降は,九州から東日本にのびた梅雨前線により,九州から関東地方にかけての広い範囲で大雨となった。富山県及び長野県では,7月15日から21日までの総雨量が多いところで600mmを超え,島根県,鳥取県,兵庫県,京都府,福井県,石川県,長野県で7月の月間平均雨量の2倍を超える大雨となった。九州地方では,7月18日から24日までの総雨量が多いところで1,200mmを超え,鹿児島県,宮崎県,熊本県で7月の月間平均雨量の2倍を超える大雨となった。

これらの大雨により,死者30名,行方不明者2名,負傷者81名,住家全壊300棟,住家半壊1,258棟,住家一部破損347棟,床上浸水2,212棟,床下浸水8,427棟などの被害が発生したほか,最大で272,729名に避難指示・勧告が出された。

土砂災害については,土石流138件,地すべり118件,がけ崩れ759件が発生した。

河川については,川内川等17水系22河川ではん濫危険水位(危険水位)を超えたほか,64水系103河川ではん濫注意水位(警戒水位)を超え,各地で浸水被害等が発生した。天竜川水系天竜川では堤防が決壊した。

ライフライン関係においては,電力について,7月4日以降,九州,四国,中国,関西,中部,東京,北陸,東北電力管内で延べ約48,720戸が停電となったほか,都市ガスについては,7月4日以降,長野県内,鹿児島県内で288戸の供給停止,上水道については,鹿児島県,長野県等各地で15,524戸が断水した。電気通信関係では,鹿児島県や熊本県等で約1,100回線の電話が不通となったほか,携帯電話基地局69局が停波した。

道路については,高速自動車国道,一般国道,都道府県道,有料道路等767区間で通行規制が行われた。鉄道については,全国各路線で雨量規制等のために運休が発生した。

公共土木施設では,河川8,123か所,海岸1か所,砂防施設等556か所,道路(橋梁を含む)6,751か所,港湾4か所,下水道2か所,公園60か所に被害が発生した。

農林水産関係では,農地14,500か所,農業用施設等13,724か所,林地荒廃等2,245か所,林道等9,731か所,森林被害2ha,漁港8か所等で被害が発生した。

文教施設では,国立学校施設13校,公立学校施設100校,社会教育・体育,文化施設等44施設,文化財等32件,研究施設等1施設に被害が発生した。

社会福祉施設等では,老人福祉施設24施設,児童福祉施設12施設,障害者施設13施設,その他社会福祉施設1施設に被害が発生した。

医療施設関係では,23施設に被害が発生した。道路については,高速自動車国道,一般国道,都道府県道,有料道路等767区間で通行規制が行われた。鉄道については,全国各路線で雨量規制等のために運休が発生した。

公共土木施設では,河川8,123か所,海岸1か所,砂防施設等556か所,道路(橋梁を含む)6,751か所,港湾4か所,下水道2か所,公園60か所に被害が発生した。

農林水産関係では,農地14,500か所,農業用施設等13,724か所,林地荒廃等2,245か所,林道等9,731か所,森林被害2ha,漁港8か所等で被害が発生した。

文教施設では,国立学校施設13校,公立学校施設100校,社会教育・体育,文化施設等44施設,文化財等32件,研究施設等1施設に被害が発生した。

社会福祉施設等では,老人福祉施設24施設,児童福祉施設12施設,障害者施設13施設,その他社会福祉施設1施設に被害が発生した。

医療施設関係では,23施設に被害が発生した。

(2) 国等の対応状況

7月19日17時に沓掛防災担当大臣(当時)が出席し,内閣府において災害対策関係省庁連絡会議を開催し,被害状況や各省庁の対応状況についての情報を共有するとともに,今後の対応を確認した。7月20日17時30分には,沓掛防災担当大臣が出席し,内閣府において災害対策関係省庁局長会議を開催し,被害状況や各省庁の対応状況についての情報を共有するとともに,長野県に政府調査団を派遣することを決定した。7月24日17時30分にも,内閣府において災害対策関係省庁局長会議を開催し,被害状況や各省庁の対応状況についての情報を共有するとともに,鹿児島県に政府調査団を派遣することを決定した。

7月21日に沓掛防災担当大臣を団長とする政府調査団を長野県へ派遣した。7月25日には,嘉数内閣府副大臣(当時)を団長とする政府調査団を鹿児島県へ派遣した。

7月31日16時30分に「平成18年7月豪雨」災害復旧に関する関係省庁局長会議を開催するとともに,8月1日16時30分に「平成18年7月豪雨」被害対策等に係る関係閣僚会合を開催し,各府省における被害対策や今後の支援策等の取組について意見交換するとともに,次の5項目について申し合わせを行った。①迅速な被災者支援に万全を期すこと。②被害状況の早期把握に努めること。③必要な被災地の復旧について,地方公共団体においては可能な限り前倒して取り組むこととし,政府においては必要な支援を実施すること。④今後,台風期において,人命の保護を第一義として,防災態勢の一層の強化を図ること。⑤平成18年7月豪雨の対応に関し,検討すべき課題や実施すべき対策を整理し,今後の災害対応の充実,強化を図ること。

災害救助法については,適用日を6月15日として,沖縄県が那覇市及び中城村に対し,適用日を7月19日として,長野県が岡谷市,諏訪市及び下諏訪町に対し,適用日を7月22日として,宮崎県がえびの市に対し,鹿児島県が出水市,大口市,薩摩川内市,さつま町,菱刈町及び湧水町に対し,それぞれ適用した。

また,被災者生活再建支援法については,適用日を6月12日として,沖縄県が那覇市に対し,適用日を7月19日として,長野県が岡谷市,諏訪市,塩尻市,下諏訪町及び辰野町に対し,適用日を7月22日として,宮崎県がえびの市に対し,鹿児島県が県内全域に対し,被災者生活再建支援金支給制度を適用した。

さらに,この災害について,「平成十八年五月二十三日から七月二十九日までの間の豪雨及び暴風雨による災害についての激甚災害並びにこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令(平成18年9月8日閣議決定,9月13日公布・施行)」により激甚災害として指定し,公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助,農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置等を適用した。

各府省の対応については,次のとおりである。

内閣官房は,6月27日11時30分に情報連絡室を,7月20日18時には官邸連絡室を設置した。

内閣府は,6月26日15時30分及び7月7日16時,情報対策室を設置し,関係機関から情報収集を行うとともに,官邸,関係省庁との情報連絡を行った。

警察庁は,6月24日17時及び7月19日8時30分,災害警備連絡室を設置し,関連情報の収集,関係機関との連絡調整を行った。また,機動警察通信隊は,災害警備活動に必要な警察通信の確保に当たった。

消防庁は,6月26日19時,災害対策室を設置し,関係機関との連絡調整を行った。

防衛庁は,7月19日18時,災害対策連絡室を設置した。また,沖縄県,福井県,長野県,京都府,鹿児島県,宮崎県及び熊本県の各知事からの災害派遣要請を受け,6月13日から断続的に7月29日までに人員約2,650名,車両約460両,航空機約50機により,人命救助活動,行方不明者の捜索活動,孤立住民の避難支援,堤防決壊の予防措置,土砂流出未然防止の水防活動,給水支援活動等を実施した。

金融庁は,被災地域の銀行協会等に対し,貸出金の返済猶予等災害被災者の便宜を考慮した適時的確な措置を講ずることを要請した。

総務省は,6月26日17時5分,省内の情報収集体制を整備した。また,8月11日以降,長野県下諏訪町,鹿児島県薩摩川内市及び大口市に特別総合行政相談所を開設した。

文部科学省は,6月26日17時,災害情報連絡室を設置し,教育委員会等の関係機関から被害情報を収集するとともに,臨時休校等適切な対応をとるよう指示した。

厚生労働省は,7月7日17時52分,省内の連絡体制を整備した。

農林水産省は,7月7日16時,関係局庁連絡会議を設置した。また,被害農林漁業者等に対する資金の円滑な融通及び既貸付金の償還猶予等を図るよう関係金融機関に依頼した。

経済産業省は,6月26日15時30分及び7月7日17時,防災連絡会議を設置した。

資源エネルギー庁は,災害救助法適用市町村及び適用市町村に隣接する市町村において被災した需要家に対して,電気及びガス料金の支払期限の延長等の災害特別措置を認可した。

中小企業庁は,長野県内,宮崎県内,鹿児島県内及び沖縄県内の政府系中小企業金融機関,信用保証協会,主要商工会議所,商工会連合会,中小企業基盤整備機構,関東及び九州の各経済産業局並びに沖縄総合事務局に対し,災害に係る特別相談窓口設置を指示するとともに,政府系中小企業金融機関に災害復旧貸付の適用,政府系中小企業金融機関及び信用保証協会に既往債務の返済条件緩和等に関する企業の実情に応じた対応を指示した。

国土交通省は,6月14日19時に警戒体制を,7月19日5時には,非常体制をとり,ヘリコプターの活用等による情報収集を実施するとともに,排水ポンプ車94台,照明車59台,衛星通信車8台等を被災地に派遣した。

国土地理院は,7月19日6時,災害対策会議を設置した。また,空中写真撮影を実施し,災害状況図等を作成した。

気象庁は,計55回の大雨に関する全般気象情報の発表(6月14日から7月28日まで),大雨等に関する警報・注意報の発表,防災関係機関への気象情報の伝達等を行うとともに警戒を促した。


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