3 平成18年に発生した主要な災害とその対策等 3−1 平成18年豪雪



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3 平成18年に発生した主要な災害とその対策等

平成18年は,震度5強以上の地震は発生しなかったものの,日本海側を中心とした豪雪,梅雨前線や台風による風水害,台風や前線の通過に伴う竜巻などの災害が発生し,人的被害や住家被害などをもたらした。平成17年12月からの平成18年豪雪では,気象庁が積雪を観測している339地点のうち,全国の23地点で年間の最深積雪の記録を更新した。梅雨前線の活動は活発で,全国的に大雨が発生したが,特に7月15日から24日にかけては,本州から九州にかけての広い範囲で豪雨となった。台風については,発生数は23個と平年より少なかったものの,台風第13号の上陸により,九州地方を中心に大きな被害があった。また,竜巻による被害も相次ぎ,台風第13号に伴い宮崎県延岡市で竜巻が発生したほか,11月にも前線の通過に伴い北海道佐呂間町で竜巻が発生した。林野火災による焼失面積は843haに達した。平成18年に発生した災害のうち激甚災害に指定されたものは,表1−3−1及び表1−3−2のとおり。

また,平成19年に入ってからは,3月に平成19年(2007年)能登半島地震,4月に三重県中部を震源とする地震が発生し,それぞれ最大で震度6強,震度5強を観測した。

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表1−3−1 平成18年激甚災害適用措置及び主な被災地
 
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表1−3−2 平成18年等特定地域に係る激甚災害(局地激甚災害)適用措置及び対象区域
 

クリックで拡大表示 表1−3−3 平成18年以降に発生した主な災害

クリックで拡大表示 (北海道佐呂間町における竜巻災害)

クリックで拡大表示 撮影:株式会社シン技術コンサル 提供:国際航業株式会社

クリックで拡大表示 図1−3−1 平成18年以降の自然災害の状況

3−1 平成18年豪雪

(1)災害の状況

平成17年から18年にかけての冬においては,12月から1月上旬にかけて,日本各地で低温となり,日本海側を中心に暴風を伴った大雪となった。1月中旬以降も,山沿いの地域を中心に大雪となる日がたびたびあった。この結果,気象庁が積雪を観測している339地点のうち,全国の23地点で,年間の最深積雪の記録を更新(観測開始以来の最も大きな値を記録)した。

また,12月としての最大記録を106地点で,1月としての最大記録を54地点で,2月としての最大記録を18地点で,3月としての最大記録を4地点で,4月としての最大記録を17地点で更新した。

これらの降雪等により,死者152名,負傷者2,145名,住家全壊18棟,住家半壊28棟,住家一部破損4,667棟,床上浸水12棟,床下浸水101棟の被害が発生した。この中の人的被害については,屋根の雪下ろし等の除雪作業中の死者が全体の約3/4を,65歳以上の高齢者の死者が全体の約2/3を占めている。

雪崩・土砂災害については,雪崩93件,うち,集落雪崩(住家周辺の雪崩)は28件,がけ崩れ16件,地すべり26件,土石流等7件が発生した。

ライフライン関係においては,12月22日に新潟県下越地方を中心に発生した大規模な停電など,東北,北陸,関西電力管内で延べ約1,488,800戸が停電となったほか上水道については61,091戸が断水した。電気通信関係では,携帯電話基地局133局が停波した。

道路については,全国各地の高速自動車国道,一般国道,道府県道等で断続的に降雪等により通行規制が行われた。

鉄道については,JR等の各線で運休が発生した。

公共土木施設では,河川44か所,道路(橋梁を含む)42か所で被害が発生した。

農林水産関係では,農地65か所,農業用施設237か所,林地荒廃等97か所,林道240か所,森林被害2,945ha等で被害が発生した。

文教施設では,国立学校施設4校,公立学校施設101校,社会教育・体育,文化施設等26施設,文化財等27件で被害が発生した。

社会福祉施設等では,老人福祉施設1施設,児童福祉施設5施設,障害者施設6施設,その他社会福祉施設1施設に被害が発生した。

(2)国等の対応状況

平成17 年12月28日9時に寒波・雪害対策に関する政府・与党会合を開催し,沓掛防災担当大臣(当時),北側国土交通大臣(当時)から寒波・雪害に関する報告を行うとともに,意見交換等を実施した。また,同日10時に内閣官房主催の寒波・雪害対策に関する関係省庁連絡会議を開催し,当面の対策について意見交換し,「寒波・雪害対策」を取りまとめた。平成18 年1月6日15 時及び1月13 日10 時30 分には,寒波・雪害対策に関する関係省庁連絡会議幹事会を開催した。また,6月29日11時30分にも寒波・雪害対策に関する関係省庁連絡会議を開催した。

1月10 日16 時に沓掛防災担当大臣が出席し,内閣府において大雪に関する災害対策関係省庁連絡会議を開催し,被害状況や各省庁の対応状況についての情報を共有するとともに,雪害関係省庁合同現地調査を実施することを決定した。また,1月18 日11時,2月9日14 時,3月2日11 時及び4月12 日14 時にも内閣府において大雪に関する災害対策関係省庁連絡会議を開催し,被害状況や各省庁の対応状況についての情報を共有し,今後の対応を確認した。

1月13 日10 時には,雪害関係緊急参集チーム協議を実施し,今後の対応を確認した。

1月7日には,沓掛防災担当大臣が新潟県における現地視察,1月8日には,北側国土交通大臣,松村国土交通副大臣(当時)が福井県における現地視察を実施した。また,関係省庁担当官を,1月13日に秋田県,1月16 日に長野県・新潟県へそれぞれ派遣し雪害状況調査を実施した。

12 月28 日,沓掛防災担当大臣より雪害に対する防災態勢の強化に関する通知を発出した。3月2日には,内閣総理大臣(中央防災会議会長)から,各指定行政機関の長,関係道府県防災会議会長及び各指定公共機関の代表者に宛てて「融雪出水期における防災態勢の強化について」を発出した。

災害救助法については,1月6日,新潟県が十日町市,妙高市,南魚沼市,湯沢町及び津南町に対し,1月7日,長野県が飯山市,白馬村,小谷村,木島平村,野沢温泉村,信濃町及び栄村に対し,1月8日,新潟県が魚沼市及び上越市に対し,1月11 日,新潟県が川口町に対し,1月12 日,長野県が山ノ内町に対し,1月13 日,新潟県が長岡市,柏崎市及び小千谷市に対し,それぞれ適用した。

各府省の対応は,次のとおりである。

内閣府は,12 月27 日13 時,情報対策室を設置し,関係機関から情報収集を行うとともに,官邸,関係省庁との情報連絡を行った。また,12 月28 日14 時及び1月13 日10 時より,豪雪・寒波による生活関連物資等の価格及び供給に与える影響を最小限にし,国民生活の安定を確保するという観点から,物価担当者会議を開催した。

警察庁は,1月6日8時30 分,災害警備連絡室を設置して,関連情報の収集に当たるとともに,各都道府県警察に対して,危険箇所等を中心としたパトロールの強化,関係機関と連携した被害情報の把握及び雪崩等による大規模な雪害に対する警察広域緊急援助隊等による広域的な救出救助体制の確立等を指示した。

消防庁は,1月6日17 時,災害対策室を設置し,被害が発生した各道県からの情報収集を実施した。また,関係道府県に対して,消防機関の県内相互応援及び緊急消防援助隊の即応体制の確立,雪崩危険箇所等の把握・周知及び情報の収集・伝達体制や警戒・避難体制の確立等の対策に万全を期すよう要請した。

防衛庁は,長野県,新潟県,秋田県,北海道,群馬県及び福島県の各知事からの災害派遣要請を受け,1月7日から断続的に1月28 日までに人員約4,200 名,車両約990 両,航空機8機により,高齢者世帯,孤立予想世帯,公共施設等の除排雪,緊急車両の通行確保のための除排雪,雪崩予防措置等を実施した。

金融庁は,被災地域の銀行協会等に対し,貸出金の返済猶予等災害被災者の便宜を考慮した適時的確な措置を講ずることを要請した。

総務省は,2月9日,豪雪により多大な被害を受けた85 団体に対し,3月に交付すべき特別交付税の一部を繰り上げて交付した。また,3月14 日に3月分の特別交付税の交付決定を行い,豪雪のため2月に交付した額を含め除雪費としては過去最高となる608 億円を措置した。

財務省は,1月31 日,新潟県の一部と長野県の一部の地域について,国税の申告期限等の延長を実施した。

文部科学省は,12月27日13時30分,災害情報連絡室を設置し,教育委員会等の関係機関から被害情報を収集するとともに,臨時休校等適切な対応をとるよう指示した。また,1月31日,総合科学技術会議が科学技術振興調整費による緊急研究開発費として,「2005 − 06 冬季豪雪による雪害対策に関する緊急調査研究」を指定したことを受け,独立行政法人防災科学技術研究所が中心となり,雪崩発生予測等を行い,その結果を今後の雪崩対策や融雪期の出水,土砂対策に活かすこととした。

厚生労働省は,12 月16 日21 時30 分,省内の関係局庁の連絡体制を整備した。

農林水産省は,12 月16 日省内関係局庁連絡会議を設置し,雪害に対する技術対策等を指導した。また,被害農林漁業者等に対する資金等の融通及び既貸付金の償還猶予等を図るよう関係機関に依頼した。

経済産業省は,12 月28 日11 時,防災連絡会議を設置した。

資源エネルギー庁は,災害救助法適用地域及び隣接地域において被災した需要家に対して,電気及びガス料金の支払期限の延長等の災害特別措置を認可した。

中小企業庁は,新潟県内及び長野県内の政府系中小企業金融機関,信用保証協会,主要商工会議所,商工会連合会,中小企業基盤整備機構及び関東経済産業局に対し,災害に係る特別相談窓口設置を指示するとともに,政府系中小企業金融機関に災害復旧貸付の適用,政府系中小企業金融機関及び信用保証協会に既往債務の条件緩和等に関する企業の実情に応じた対応を指示した。

国土交通省は,1月6日13 時,豪雪対策本部を設置し,適宜適切な除雪作業及び情報提供を行った。道府県管理道路の除雪費補助については1月13 日に緊急配分(事業費約169 億円)を実施するとともに,3月22 日に追加措置(事業費約159 億円)を講じることを決定した。また,市町村道の除雪費補助については2月3日に緊急措置(事業費約55 億円)することを決定するとともに,3月22 日に追加措置(事業費約140 億円)を講じることを決定した。さらに,1月26 日,3月1日,4月18 日及び5月25 日に豪雪地帯における安全安心な地域づくりに関する懇談会を開催し,ハード,ソフト面にわたる豪雪対策について,従来の対策の再点検と今後充実・強化すべき分野を重点的に検討し,提言を取りまとめた。

気象庁は,計83 回の大雪等に関する全般気象情報の発表(平成17年11 月28 日から平成18年4月20 日まで),大雪警報・注意報の発表,新潟県,福井県,富山県及び群馬県の災害対策本部等に対する計17回の職員派遣など,防災関係機関への気象情報の伝達等を行うとともに警戒を促した。また,アメダス等により観測した降雪・積雪の状況について,ホームページを活用し,即時的な情報提供を行った。さらに,3月1日,平成18 年の冬に発生した大雪について,「平成18 年豪雪」と命名した。


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