1. 想定東海地震の断層パラメータ等について


 
1. 想定東海地震の断層パラメータ等について
 
2. ミクロ的にみた断層パラメータ等について
   
(1) 小断層による断層の近似
  3次元的に複雑な曲面構造を持つ想定震源域を、気象庁によるプレート形状を参照して、0.05度間隔に配置した多数の小断層で近似する。
(2) 走行、傾斜及びすべり角
  それぞれの小断層ごとに走行及び傾斜を設定する。すべり角は鷺谷のバックスリップベクトルの方向を参照して設定する。
(3) アスペリティの面積
  一般的に、内陸型に比べ海溝型の地震の方が、アスペリティが大きい。内陸地震については、「糸魚川—静岡構造線断層帯(北部・中部)を起震断層と想定した強震評価手法(中間報告)」では、それぞれのセグメントの約20%としており、今回の試算では、その1.5倍の約30%とする。
(4)
アスペリティのおき方
  それぞれのセグメントには、2つのアスペリティをおいて試算する。 2つのアスペリティの大きさは約7:3の比率(Somerville et al. 1999)とし、大きい方のアスペリティは、プレートのカップリングがより大きいと考えられる陸域側におく。
(5) アスペリティ全体の地震モーメント(Moa)
  アスペリティ内は、他の場所に比べてプレート間のカップリングが強い所で、破壊時にはアスペリティ以外の所よりも変位量が大きいと考えられる。そこで、アスペリティ内のプレート間のカップリングレイトを1と仮定し、アスペリティ内の平均変位量は、約150年間に相当するプレートの沈み込み量と等しいとして、この平均変位量とアスペリティの総面積から、 Mo=μDS の関係式を用いて、アスペリティ全体の地震モーメント(Moa)を推定する。 プレートの沈み込む速度は3.5cm/yrとする。
(6) 各アスペリティの地震モーメント(Moai)及び変位量(Dai)
・各アスペリティでの応力降下量を一定とし、各アスペリティの地震モーメントをアスペリティの面積の3/2乗の重みで振り分ける。         
      Moai:i番目のアスペリティのモーメント
      Sai :i番目のアスペリティの面積
・各アスペリティの変位量
 各アスペリティでの変位量(Dai)は、次の地震モーメントとアスペリティ面積との関係式から算出する。
  Moai=μDaiSai
      Dai:i番目のアスペリティの変位量
(7) アスペリティの応力効果量(⊿σa)
 各アスペリティで一定とした応力効果量は、次の関係式から計算する。
    
(8) アスペリティ以外の領域(背景領域)の地震モーメント(Mob)及び変位量(Db)
 想定震源全体の地震モーメント(Mo)から、アスペリティ全体の地震モーメント(Moa)を引いた値を背景領域の地震モーメント(Mob)とする。
 この地震モーメントと背景領域の総面積(Sb)から、Mob=μDbSb の関係式を用いて背景領域の変位量を求める。
(9) 背景領域の応力降下量(⊿σb)
 背景領域の応力降下量は、次の関係式から求める。
    
(10) 破壊開始点
 破壊開始は、地震活動から見た固着域が陸側にあること、過去の東南海地震の解析など海溝型の地震のほとんどが沈み込むプレートの深い所から始まっていることから、破壊開始点は、想定断層域の深いところにおくこととし、想定震源域の3次元形状及びセグメント分けからみて、次の2通りについて試算する。
・ セグメント2の深い所の西側に破壊開始点がある場合(破壊開始点①)
・ セグメント1の深い所の西側に破壊開始点がある場合(破壊開始点②)
なお、破壊開始点がアスペリティの内部にならないよう、調整することとする。
 
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