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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
日米耐風耐震部会:未来への準備
 

変革の機会
 地震と風の発生および建物と他の構造物に対するその影響について知識の交換を行なうため、風と地震の影響に関する専門委員団は、きわめて有効な手段であることに日米両国の関係者は意見を共にしている。日米の研究者間に強い連帯が生まれ、専門委員団の成功にさらに貢献することになった。今日に至るまで、作業委員会は活発で、技術情報の交換のため定期的にワークショップや会合を開き、研究者の交流の調整を行なってきた。

 省庁の優先順位の変更および予算制限が、専門委員団の運営に不利な影響を与えることになった。これらは、日米両国にまたがるものであるが、米国側で大きな問題となっている。米国の省庁の中には、専門委員団への参加を制限し、または取り止めざるを得ない所が出てきた。このため、米国側では、作業委員会のなかには指導的役割を果 たすことが難しいものが出てきた。

 その上、専門委員団を維持し、合同会議を主催する費用の負担が両側にとって大きくなってきた。作業委員会の構成と専門委員団の運営にとって、変革の選択肢を検討する機会が訪れている。

 同様に、技術現場視察も変革の機会に差しかかっている。技術現場視察の参加者は、技術研究所、監視施設を回り、風と地震発生の影響を軽減する技術を備えている民間の工学構造物を目で見ることができる。合同専門委員団の会議期間に提出される技術文書や作業委員会の報告書を補完するため、こうした視察は有益で価値あるものである。技術現場の視察の期間は、一般 的に1週間である。しかし、技術現場の視察は費用がかかり、以前に比べ建設中の大型公共事業が少なくなってきていることから、両者はこうした視察の附加価値を再検討中である。

 したがって、日米両国側は、合同専門委員団の運営を合理化し、専門委員団とその作業委員会の研究の質を維持しながら経費を削減する方法を検討している。

 

新しい運営のモデル
 2000年5月に開催された第32回合同専門委員団会議で、専門委員団のため戦略計画を策定する合同特別 委員会を設置することが決議された。計画委員会設置の動機は、合同専門委員団を合理化しかつ強化すること、および変化する技術的要請と将来の両政府の利益に応えるため、一層柔軟な体制にもっていくという熱意である。

 合同専門団の組織と運営、作業委員会の組織と構成、毎年の技術打合わせ会と現場の視察、および共同研究プロジェクトを含め、風と地震の影響に関する専門委員団の現在の構成についてあらゆる面 を評価する予定である。国内のレベルで、それぞれの側の特別計画委員会はこの作業を開始し、将来の選択肢について加入省庁と議論し、戦略計画の策定に役立つ情報収集を行なっている。両者は、戦略計画の元となる構想の輪郭を記した考え方に関する文書の草案を交換した。特別 計画委員会の初回合同会議は本年開催される予定である。

 特別計画委員会は活動の大部分を二つのきわめて重要な分野に集中する予定である。第一に、作業委員会の構成を慎重に再検討し、両国政府が期待する現在と短期的な技術的要請に対する評価を行なう。特別 計画委員会は、作業委員会の数を減らし、相互の利益につながる話題に集中し、各作業委員会における両側からの強い指導力を確実にするよう努めるものとする。

 第二に対処する分野は、合同専門委員団そのもの、すなわちその運営、毎年の技術会議、および現場視察である。特別 計画委員会は、専門委員団の運営の合理化と事務局の職員を用意する費用の削減のための選択肢を検討する予定である。計画委員会はまた、期間の短縮、会議の際の通 訳を最小限にすること、その上おそらく毎年の会議の領域の変更さえも含め、毎年の合同専門委員団会議の形式を変更することも検討する予定である。技術現場視察の期間短縮についても再検討されることになろう。技術会議と現場視察は、現在の2週間から、1週間に短縮されると予想される。

 特別計画委員会は、戦略計画に関する作業を開始するため、11月後半に合同会議を開く予定である。委員会の目的は、同会議中に戦略計画草案に関して合意に達することである。草案は、会議にしたがって再検討し意見を出してもらうため、合同専門委員団全員に回覧される予定である。合同専門委員団は、2001年初めに戦略計画を受領する方向で作業を進めることになる。戦略計画に盛られたすべての勧告が十分実行されるまで、12‐18か月の経過期間が置かれるものと予想される。

 

参照事項
編集主任オカハラ氏、(1999年)、日米協力計画(UJNR)、風と地震の影響に関する第31回日米合同会議議事録、技術覚書PWRI No.3653

 

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