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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
日米耐風耐震部会:未来への準備
 
スティーブ A. カウフマン
国立標準化・技術研究所(NIST:National Institute of Standards and Technology)
建築・消防研究室
構造システム・設計グループ研究者
 
 

背景
 風と地震に関する日米合同専門委員団は、今や32年目に入ろうとしている。日米科学協力計画を構成する三件の付随計画の内の一件である、自然資源に関する日米協力計画(UJNR:the U.S.-Japan Cooperative Program on Natural Resources)の後援の下、本専門委員団は1969年に創設された。日米科学協力計画の目的は、研究成果 に関する情報を交換し、両国の利益のため科学者および技術者の交流を容易にすることである。風と地震の影響に関する専門委員団は、それぞれ特定の技術課題に責任を持っている18の日米協力計画(UJNR)専門委員団の一つである。

 風と地震の影響に関する専門委員団には、米国の19と日本の7つの省庁が参加している。強風、地震、高潮、津波が建物と他の民間構造物に与える被害を軽減する目的に沿って、技術を開発し交換するため、これらの省庁は民間組織と共に研究を行なっている。この研究は、日米の研究者が11の作業委員会で調査研究を協力して行なうことで推進されている。それぞれの作業委員会は、両国の利益となる特定の技術課題に重点を置いている。民間のライフライン工事、建物、ウオーターフロント構造物の設計と建設に関する技術的データと情報の交換、さらに強風と地震計測記録の交換のための手段を専門委員団は提供している。合同専門委員団の会議は毎年、日米交互に開催され、進行中の研究と成果 を討論するフォーラムが開かれる1週間の技術的会合と、その後の1週間にわたる技術現場視察により構成されている。

 建設省の土木研究所(PWRI:Public Works Research Institute)が、日本側の議長と事務局長を務める。国立標準技術研究所(NIST)が、米国側の議長と事務局長を務める。

 

利益と研究成果
 例年の合同専門委員団の会議と、各作業委員会のワークショップおよび打合せ会により、風と地震工学における日米研究者間に相互影響の機会がもたらされ、価値ある情報の交換が容易になり、共同研究に参加する手段が与えられる。その結果 、専門委員団に加入している組織において、建物と構造物に関する技術が大きく進歩したことが理解されるにいたった。専門委員団の活動の結果 、両国における建物と構造物に関する規約が改善され、地震が活発な他国へデータと情報の移転が行なわれた。専門委員団が達成したものの中の特徴的な事例は下記のとおり:
日本と米国の設計と研究の基礎に使用された、デジタル化した地震記録を作成し交換した;
例えば、オーストラリア、カナダ、イタリー、メキシコ、ペルー、台湾、トルコおよび北アフリカなど、地震が活発な国の利用に供するため、地震工学情報および強運動計測技術を移転した;
橋の構造の設計と建設を改善したデータを作成した;
建物の地震に対する設計標準を改善した、大規模な実験データを作成した;
地震荷重下の土壌液状化現象と安定性に対する原位置の計測方法を改善した;
高潮と津波に関するデータベースを作成し、津波と高潮警報システムの数学モデルを実証した;
風と地震工学および高潮と津波に関する現在の研究の図書館用資料を作成した;
専門委員団の会議と作業委員会のワークショップの議事録を刊行した;
新たな経済協力体制(共通の議題)のための日米枠組みに関する日米自然災害軽減イニシアチブに対し、地震科学および技術専門知識を提供した;
専門委員団の活動に関する広報用ホームページを作成した。

 専門委員団は、日米間の有効な共同研究と技術伝達の見本である。創設以来、32回の合同会議における1,900件の文書が報告され、60以上の作業委員会のワークショップと200名以上の客員研究者の交流が行なわれた。専門委員団は、日米両国の一般 社会における工事の課題に関する情報交換のため、フォーラムを開催したが、これは両国の研究議題に影響を及ぼし、建物と構造物の規約と標準の進歩のための基盤を提供するものである。

 

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